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ウチの地元がアニメ『スーパーカブ』の舞台に! リアル住民とファンが育てる“聖地巡礼”がどんどん大きくなっている

バイクのニュース / 2023年11月3日 12時0分

アニメ『スーパーカブ』で再現された山梨県北杜市の風景。アニメで描かれた場所をバイクで訪れる旅は、静かな町に町おこしの期待を感じさせます。最初は地元の人も戸惑い気味でしたが、そんな“聖地巡礼”を温かく見守り、ゆっくりと育ててきた地元の有志たち。放送から3年目を迎え、アニメを知らなかった住民にも関心が広がっています。

■4000人が訪れたイベントも、最初は地元の有志数人と、居合わせた数人のファンだけだった

 アニメ『スーパーカブ』は、山梨県で生活する独り暮らしの女子高生“小熊”がホンダ「スーパーカブ」を手に入れたことをきっかけに、世界観を大きく広げていく成長物語です。原作は今もオンライン上で連載が続いています。舞台となった北杜市は、首都圏からの手軽なツーリングスポットとなっているエリアで、アニメで描かれたシーンを、リアルで追体験できると注目が集まりました。

実在する店舗「スーパーおの」(北杜市武川町)は、アニメの中でもほぼ同じ風景で描かれている実在する店舗「スーパーおの」(北杜市武川町)は、アニメの中でもほぼ同じ風景で描かれている

 2021年4月に初めて地上波で放送され、約3カ月で終了しましたが、翌年4月には北杜市に隣接する韮崎市で、TVアニメ放送1周年を記念したスタンプラリーの開催式が行なわれました。

 北杜市に実在する店舗「スーパーおの」は、アニメの主人公“小熊”がバイク通学するシーンに登場する、おなじみの店です。ファンにとっては“聖地巡礼”に欠かせない場所として知られ、その縁で同店の小野桂一店長が「北杜アニメツーリズム協議会」の会長を務めることになりました。

 スタンプラリー開会式は協議会が手掛ける初めての大がかりなイベントでした。小野会長が、当時の様子を話します。

「50人、100人集まってくれたらいいのかなと思っていたところ、600人くらいの人が集まり、会場となった「JR韮崎駅」がパンクしてしまうほどの状態で、用意した駐車場を急いで広げてもらったほどでした。初日で1000人、1カ月で3800人がスタンプラリーを完走してくれました。最終的に4000人以上が参加してくれたと思います」

 放送2周年となった2023年は、4月と10月(※現在進行中)、2回のスタンプラリーが実現し、4月からは北杜市の協力も得ることができました。イベント開催時に限らず、物語を追体験する旅は動画投稿サイトなどに数多くアップされています。

 しかし、北杜市の人気は最初から期待されていたものではないと、小野会長が振り返ります。

「北杜アニメツーリズム協議会」の会長も務める「スーパーおの」店長、小野桂一さん。掲げているのは2023年秋の「北杜市スタンプラリー」(10/14~11/12)完走記念のオリジナルポスター「北杜アニメツーリズム協議会」の会長も務める「スーパーおの」店長、小野桂一さん。掲げているのは2023年秋の「北杜市スタンプラリー」(10/14~11/12)完走記念のオリジナルポスター

「アニメに登場するのは、北杜市でもごく一部の地域だけです。そこにスポットを当てることは自治体として難しい。地域で知られていないこともあり、今のようなことは誰も考えていませんでした。アニメを見た我々の中で面白そうだから一緒にやろうかなんていう仲間が5~6人ぐらい集まったんですかね」

 2021年はコロナ禍でもあり、住民が数人でできることは、登場人物の誕生日を祝うことでした。「スーパーカブ」に乗る小熊の誕生日が6月6日と発表されたタイミングで、ケーキを持って集まりました。

 場所は甲斐駒ヶ岳など南アルプスを臨む「釜無川ポケットパーク」。物語では小熊やその友だちで郵便カブに乗る“礼子”や、自転車からリトルカブに乗り換える“椎”が、学校帰りに雑談した場所です。そこが地元の有志とアニメファンを結びつけることになりました。

「皆さんもそれぞれの場所で、お祝いして楽しんでくださいみたいな感じで、写真を撮ってSNSで協議会の設立をお知らせを兼ねて発信しようという程度しか考えていませんでした。でも、そこにはファンの方が何人か来ていました。たまたま居合わせたその何人かの人たちと一緒にお祝いをしました。(郵便カブに乗る)礼子の誕生日祝いをした8月2日にも、やはりファンの人が駆け付けてくれました。何の呼びかけもしなかったのですが、そこからですね」(小野店長)

■増え続けるファンと地元の記念グッズ、展示スペースが売り場をじわり浸食

「スーパーおの」の店内は、地元とファンの接点になっています。自動扉を抜けると、レジかごの積まれた奥で等身大パネルの登場人物が迎えてくれます。購入商品をバッグ積めするスペースの壁際には、製作者やファンが描いた色紙や書籍、模型、写真など放送から3年間の“足跡”が展示されています。

レジかごの前から『スーパーカブ』推しの雰囲気がじわじわ。ツーリングの休憩スポットにも最適だレジかごの前から『スーパーカブ』推しの雰囲気がじわじわ。ツーリングの休憩スポットにも最適だ

「展示は最初、ほんの少ししかなかったんですよ。それが毎回来てくれるファンの人だけでなく、いろいろな人から、いろいろなものを贈っていただけるようになって。(※主人公の友だちが郵便カブに乗っているので)地元の郵便局長会からも郵便カブのミニチュアをお贈りいただいたりしました」(小野店長)

 その中でも、最も大きなものは小野店長が愛用する実物の「スーパーカブ」です。じつは近所の人から譲り受けたものでした。

「この武川町の知り合いが所有していたスーパーカブですが、その方がこれだけファンの人たちが来てくれるのであれば、バイクが置いてあった方が喜ぶんじゃないか、って実際に持ってきてくださって。最終的には、私が譲り受けて所有者になって展示することになりました。地域の人たちが訪れるアニメファンの人たちをすごく大切にしてくれるというか、本当によく思ってくれている。アニメファンの人が増えてくるにつれて、知らなかった人も『スーパーカブ』の存在を知ってくれて。また何かイベントをやるんだね、頑張ってねなど、徐々に地域の方たちから声をかけられるようになりました」

店内に展示されたポスターやイラストなど、ほとんどは『スーパーカブ』のファンによる寄贈だ店内に展示されたポスターやイラストなど、ほとんどは『スーパーカブ』のファンによる寄贈だ

『スーパーカブ』に出演した声優の七瀬彩夏や、スピンオフ・コミック『スーパーカブRei』の漫画を担当したさいとー栄の、イベント飛び入り参加も続きました。

 小野会長ら協議会は、次の一手でさらなる地元のPRを考えています。

「今年10月のスタンプラリーから(聖地だけでなく)、ファンの人たちも行ったことがないような場所とか飲食店をSNSで紹介しています。最初は何回もイベントに参加してくれるファンの人たちが来たら必ず立ち寄るような場所を。僕たちのほとんどが北杜市に住んでいるので、自分たちの仕事をしながらオススメの場所と。ほかにも、いろんな人たちにこういうふうにファンが来てますよっていうような情報発信を日々行なっています」

 アニメファンとライダーの聖地巡礼が、北杜市に活気をもたらずエンジンになろうとしています。

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