自転車乗員の想定体重は65kg!? 子供と買い物の荷物を載せたら……

前後のチャイルドシートに子供たち、かごには夕飯の食材がどっさり……毎日の暮らしの中で、そんな状態で自転車に乗るのは日常茶飯事ですが、じつは、自転車の最大積載量は決まっています。一般的な電動アシスト自転車（e-BIKE）を例に見てみましょう。

■とにかく丈夫な自転車、だけど……

　重たい荷物をたっぷり載せて坂道をぐいぐい上っていく自転車も、じつは悲鳴をあげているかもしれません。厳格な規格に基づいて頑丈に作られている自転車ですから、日常使いで重さが原因で壊れてしまうことは滅多にありません。しかし、日常的に負荷がかかりすぎると、タイヤやブレーキシューなどの消耗部品や、電動アシスト自転車（e-BIKE）ではバッテリーなどへの負荷も大きくなってしまいます。

自転車乗員の想定体重は65kg!? 子供と買い物の荷物を載せたら……

　そもそも、自転車の荷台に積載可能な荷物の重さは、前後の荷台を合わせて30kgまで、と法律（道路交通法および各都道府県の道路交通規則）で制限されています。

　そしてそのルールを含め、日本工業規格（いわゆるJIS規格）が定めた基準に従って各メーカーは自転車を作っています。シティサイクル（ママチャリ）と子乗せ自転車では、見た目からして頑丈さが違います。

　荷台に注目してみると、リアチャイルドシートを取り付ける場合は、27kgまでの負荷に耐えられる「クラス27」という基準の荷台が装備されている自転車を選ぶ必要があります。近年はキャリヤの表面に刻印したり、フレームのどこかにシールを貼るなど、容易に消えない方法でクラスが明示されているので、チャイルドシートを取り付けることができるかどうかは簡単に確認することができます。

　ここまでは荷台の話ですが、「運転者の体重は関係ないのだろうか？」という疑問もあります。体重が45kgと90kgの人では重さが倍違います。先述したJIS規格では、自転車の乗り手の体重は65kgを想定しているそうです。もちろん90kgの人が乗ったからといってすぐに壊れてしまうということではありませんが、部品の消耗や劣化が早くなることはあるようです。また、市販の自転車の中には、体重が重い人向けもあるのでご安心を。

　では、諸々を考慮して一般的な「前後子供乗せ可能な電動アシスト自転車（子供乗せe-BIKE）」に子供を乗せた場合でシミュレーションしてみましょう。

　各メーカーや車種によって多少の前後はありますが、一般的な子供乗せe-BIKEは、乗員の体重と積載重量の合計90kgが最大積載量と設定されているものが多くなっています。意外と少ないような気もしますが……自分の自転車は大丈夫でしょうか。

　リアチャイルドシートに載せても良い子供の体重は22kg以下となっているので、チャイルドシート本体が5kgだとしたら、合計27kgになります。その場合は乗員の体重は63kgまでOKということになります。

　フロントチャイルドシートはどうでしょうか。前に乗せても良い子供の体重は15kg以下となっています。シートそのものの重さが3kgだとしたら、合わせて18kgになり、後ろの27kgも合算すると、乗員の体重は45kg未満となってしまい、これには無理があります……もう少し子供の体重が軽いうちでないと、前後に乗せるのは重量オーバーとなってしまうのです。

　あらためて考えてみると、「じつは重量オーバーだったかも……」と気づく人も多いのではないでしょうか。たくさんの買い物の荷物を載せた場合は、なおさら注意が必要です。

　自転車の耐久性と言うより、子供や買い物の荷物など、車体前後に重量物がある状態では自転車の操作が困難になり、とくに走りだしや低速ではバランスをとることが難しくなります。無用な転倒を引き起こす前に、普段使っている自転車の積載可能な重量をチェックすることで、自分が不安なく安全に運転できる重量配分を考えてみるのも良いのではないでしょうか。