レーシングライダーの石塚健選手が「肩関節鏡手術」を報告!プロライダーを悩ます「脱臼癖」とは!?
バイクのニュース / 2023年11月24日 11時10分
レーシングライダーの石塚健選手が、プロライダー達を悩ませる「脱臼癖」について教えてくれました。
■王者マルク・マルケスも悩ませた「脱臼癖」とは
皆さんこんにちは!レーシングライダーの石塚健です。季節の変わり目、すっかり冬のような寒い日々が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか?
僕はというと、シーズンオフに入ったタイミングで以前から悩まされていた、右肩の脱臼癖を治す手術を受けました。
これまでに何度も脱臼を繰り返していて、レースやトレーニングでの転倒などで、簡単に抜けてしまうのが脱臼癖。2018年のMotoGP日本グランプリで、マルクス・マルケス選手がウイニングラン中に脱臼し、その場で治したというエピソードが記憶に新しいと思いますが、レーシングライダーの中には、この脱臼癖に悩んでいる選手も多いと思います。
退院直後の石塚健選手
僕自身、今年のシーズンイン直前となる3月にもトレーニング中に抜けていて、既に関節もかなりゆるくなっていて、少しの衝撃で簡単に抜けてしまう上に、そのたびにもの凄い痛みを感じるので、これまでも手術を考えることは多々あったのですが、どうしてもレースのスケジュールやタイミングが合わず受けられずにいました。
というのも、この手術には種類がいくつかあるのですが、僕が受けたのは肩関節鏡手術。内視鏡で行うことができるのですが、簡単に言えば関節を縫い合わせる手術になるのでどうしても復帰までに時間がかかります。
術後1か月間は手術した部位の固定が必須で、そのあと軽めのリハビリを開始。術後2か月目から本格的なリハビリを行うことができ、完全な競技復帰までは、半年を見ておいた方がいいとの事でした。
脱臼癖が付く発端となった2018年の全日本ロードレース選手権SUGOラウンドを走る石塚健選手
ちなみに、これまでの大きな脱臼歴を少し振り返ると、1回目は5歳か6歳の時に、兄弟で遊んでいた際に引っ張られて抜けてしまいました。
その時は、脱臼癖というほどの感覚はなかったのですが、この脱臼癖が始まったのは2018年の全日本ロードレース選手権、SUGOラウンドでのこと。スタート直後に3コーナーでハイサイドを起こして転倒。肩から着地してしまい脱臼し、意識が飛びそうなくらい痛かったのを覚えています。
2019年のCEV レプソルインターナショナル選手権のデビュー戦となるエストリルラウンドでも、雨の予選中で序盤はいい位置に付けていたのですが、フロントが切れ込み転倒。この時から、脱臼したのがすぐに分かるようになりました。
初めての海外でのレースという事もあり、病院には行かず自力で元に戻せたのですが、翌日のレースはかなり厳しい状況となってしまいます。
それから暫く再発はなかったのですが、2022年の2月にも250ccのバイクでトレーニング中に脱臼。驚いたのが、この時は転倒をしていないという状況で、バンクセンサーが縁石に引っかかり、少し引っ張られただけで抜けてしまったのです。
救急車で搬送していただいたのですが、コロナ禍ということもあり中々診てもらえる病院が見つからず、ようやく見つかっても到着してまずはPCR検査から。陰性の結果が出て、ようやく診てもらえるという事で2時間程ひたすら痛みに耐えました。
そして、最近では今年の3月のトレーニング中。もう、右肩はボロボロです(笑)
■手術の様子とその経過
そんな中、今年参戦した世界耐久選手権は9月の中旬には最終戦を迎えシーズンが終わるということで、タイミングはここしかないと思い、実は約1年前から病院と話し合い、計画を立てていました。
入院中の食事。毎回必ずふりかけが付いてくる
ようやくその時を迎えいよいよ手術の為の入院へ。久しぶりの入院と、なんだかんだで初めての手術に少し緊張していましたが、病室に入ったらいつも通りPC作業をしたりして、翌日の手術に備えました。
病院の食事は質素で少し薄めに味付けされていましたが、とても美味しく感じました。それとなぜか毎回必ずふりかけが付いてくるのも、面白かったです。笑
そして翌朝、予定通りオペが行われました。術前は3時間程で終わると聞いていたのですが、終わってみれば5時間以上かかったと聞き、想像以上に大変な手術だったんだなと実感。2日後には無事に退院することができ、5週間程経過した現在は少しずつ動かせるようになり、軽めのリハビリが始まったところです。
また、軽めのランニングや自転車にも乗れるようになり、今まで当たり前にしていたことがようやくできるようになった喜びを噛み締めている今日この頃。
まだまだ痛みもあるし、本格的なリハビリもこれからになりますが、もう少しで脱臼を心配することなくバイクに乗れると思うと、とても嬉しいです!
少しでも早く復帰し、バイクに乗れるよう頑張っていきたいと思います。
ということで、なんだか痛々しい報告になってしまいましたが、とにかく寒い時期は怪我もしやすい上に、いつにもまして痛い時期ですので、皆さんくれぐれも、バイクに乗る際は怪我には注意してくださいね!
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