警察庁が主催する原付免許で乗れる125ccバイク「新基準原付」の走行評価が終了 2023年12月に決定
バイクのニュース / 2023年11月30日 12時0分
2025年の環境規制強化で、このままだと排気量50ccのガソリンバイクの新車が国内から消えることになります。そこでこの規制に対応する新しい免許基準が生まれようとしています。排気量50ccまでしか運転できない原付免許でしたが、排気量125ccまでの一部のバイクの運転を可能とする“新基準”の策定です。警察庁の有識者検討会では、2023年12月の新基準報告書公表に向けた走行評価が行なわれました。
■排気量125ccと50ccを乗り比べで評価
2025年の環境規制強化で、このままだと排気量50ccのガソリンバイクの新車が国内から消えることになります。そこでこの規制に対応する新しい免許基準が生まれようとしています。排気量50ccまでしか運転できない原付免許でしたが、排気量125ccまでの一部のバイクの運転を可能とする“新基準”の策定です。
ホンダ「CB125R」(排気量124cc)。運転には「普通自動2輪小型限定」以上の免許が必要な125ccクラスのバイクが、「新基準原付」(最高出力4kW、排気量51~125cc)として原付免許、普通自動車免許でも可能に……?
原付免許の新基準の検討は、現行の道路交通法施行規則に定められた原動機付自転車の基準「総排気量については50cc、定格出力については0.6kW」という規程の中の排気量を125ccとし、さらに、新たに最高出力基準を導入して、原付免許で運転できる125ccバイクの部分制限できるかを見極めます。
警察庁が2023年9月に立ち上げた「二輪車車両区分見直しに関する有識者検討会」では、現行の原付バイクより車体の大きな125ccバイクを「新基準」とした場合、原付の実技講習を受けずに普通免許で運転する人や高齢者でも、違和感なく運転することが可能かどうかが焦点になっています。
有識者検討会では同年10月、日本自動車工業会などの協力で12台のバイクを用意。現行基準の原付バイク、現行の125ccバイクを新基準に合わせた「新基準原付」、そして現行の125ccバイクの3区分に分類し、運転技能試験官12人による走行評価を行ないました。
また、一般運転者に対して試乗会を実施し、安全性や運転のしやすさについてアンケートを実施しました。
前述のとおり、新基準が導入されたとしても、すべての125ccバイクの運転が原付免許所持者に許されるわけではありません。有識者検討会では「125ccの二輪車の最高出力を現行の原付バイクと同等レベルに制御することにより、原付免許で運転できる車両として区分できるか」ということがテーマです。
そこで、現行の基準にはない「最高出力を4kW以下に制御する」ことが決まっています。
■試験官と一般の2本だて評価 不正改造の防止も
検討会の走行評価には、ホンダのバイクで「PCX」、「リード125」、欧州市場向けの「Vision110」、変速のあるバイクとしてリターン式の「CB125R」とロータリー式の「スーパーカブ110」の5台が用意されました。
新基準原付の走行評価で使われた車両は12台。現行の原付、新基準原付、現行の小型二輪を、技能試験官と一般利用者が乗り比べる。検討会の報告書には、その結果が盛り込まれる(警察庁開示資料より)
新基準に合わせて、最高出力は3.8~4.0kWの範囲で調整されています。例えば、市販の「PCX」は最高出力9.2kW、最大トルク12N・mですが、新基準原付では3.9kw、7.5N・mに制御されています。
技能試験で合否の評価を行なっている試験官は、これら3種類の車両を乗り比べて直進、曲線走行、低速、切り返し、制動などの項目ごとに、現行原付と新基準原付の運転の違いを評価。場所は運転免許試験場の技能コースが使われました。
現行原付は4台あり、現行「スーパーカブ50」と新基準「スーパーカブ110」のように、同じモデルでの比較も含め「易しい」から「難しい」までの5段階で評価しています。その結果について、警察庁運転免許課は、報告書の作成に影響するとして公表していません。
走行評価に投入された車両は試験車両で、そのまま新基準で市販されるわけではありません。検討会では日本自動車工業会が新基準が導入された場合の不正改造防止措置についても意見を述べ、スロットルの開度を物理的に制御することや、燃料噴射コントロール、エンジンコントロールユニットによる制御で改造を防止すると話しています。
検討会は2023年12月に第3回が開催され、年内に報告書が公表される予定です。
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