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気付いてた?道路標示の「止まれ」が漢字表記に変わった理由とは

バイクのニュース / 2023年12月10日 9時10分

ひらがなで道路上に「とまれ」と書かれた道路標示がいつの間にか、漢字表記の「止まれ」に書き換えられている事に気がついている人は意外と少ないかもしれません。いったいどういった理由で、漢字表記に変更されているのでしょうか。

■いつの間にか増えていた漢字表記の「止まれ」

 公道を走行するときは、道路標識や道路標示の指示に従って運転することで、道路の安全や秩序が保たれています。なかでも一時停止を意味する「止まれ」の道路標示は、街中の至るところに設置されているので、最も身近な標識のひとつといえるかもしれません。

 一時停止については、道路交通法43条において「道路標識などで指定されている場合は、停止線の手前、もしくは交差点の手前で一時停止をしなければならない」と定められています。

漢字表記が増えてきた「止まれ」の道路標示漢字表記が増えてきた「止まれ」の道路標示

 検察庁のデータによれば、2022年の一年間に検挙された交通違反のうち、もっとも多かったのが「一時不停止」で、146万6131件にのぼるとのこと。これは、交通違反で検挙された全体の約4分の1を占め、1日あたり4000件以上が一時不停止で検挙されている計算になります。

「止まれ」の表示は街のいたるところで見かけるため、うっかり見落として違反にならないよう、十分に注意しなければなりません。もし、停止線で停まらずに検挙された場合は「指定場所一時停止等違反」となり、違反点数2点に加え二輪車で6000円、原付には5000円の反則金が科せられます。

 なお現在は、ひらがなと漢字の「止まれ」が混在している状態であるため、どちらの表記であっても意味は変わりません。

 しかし、今あるひらがなの路面標示は、全国的に順次漢字の「止まれ」に書き換えられていく予定。すでにひらがな表記の「とまれ」は数が激減しており、いずれ消えゆく運命にあるようです。

 いったいどういった理由で、漢字表記に変更されているのでしょうか。

ひらがなの「とまれ」が漢字に変更されているのは警視庁から各都道府県の警察への通達によるもの。ひらがなの「とまれ」が漢字に変更されているのは警視庁から各都道府県の警察への通達によるもの。

 それは平成10年(1998年)に、警察庁から各都道府県の警察に、漢字の「止まれ」に変更するよう通達が出され事が理由。

 漢字表記に統一されてからだいぶ経ちますが、全国的に無数にあるひらがなの「とまれ」をすべて漢字に書き直すには、かなりの時間がかかります。そのため、今でもひらがな表記の「とまれ」が場所によっては残っているというわけです。

 では、意味が同じなのに、なぜ大変な作業をしてまで漢字表記へ書き換えをする必要があるのでしょうか。むしろ、子どもにもわかりやすいひらがな表記のほうがよいのではないかと考える人もいるでしょう。

 変更の理由については、ひらがなの「とまれ」は3文字ではじめて意味がわかりますが、「止まれ」であれば漢字の「止」ひと文字だけでも意味が通じやすい為とされています。

 たとえば、夜間など標識が見えにくいときなどでも、ヘッドライトに照らされた路面の「止」だけ見えれば、一時停止場所だとすぐに運転者は理解できるという訳。これが、ひらがなの「と」だけでは、そうはいきません。

 わかりやすさに加え、見えにくい状況でも「止」のひと文字だけで標示の意味が伝わるように、「とまれ」から漢字表記の「止まれ」に変更されたようです。

「止まれ」の道路標示は法的効力がない「法定外表示」に当たるが、法的効力がある一時停止の道路標識もほぼ一緒に設置されている「止まれ」の道路標示は法的効力がない「法定外表示」に当たるが、法的効力がある一時停止の道路標識もほぼ一緒に設置されている

 現在では漢字表記がスタンダードになりつつある道路標示の「止まれ」ですが、じつは法的効力がない「法定外表示」にあたります。

 法定外表示には道路標識などの意味をわかりやすくしたり、運転者に注意喚起をするなどの役割があり、各都道府県の公安委員会(警察)、または道路管理者が設置しています。つまり、「止まれ」単体での標示だけでは法的な規制はなく、あくまでも道路標識の補助としての役割にとどまっているということ。

 たとえば、「カーブ注意」や「スピード落とせ」、「徐行」などの路面標示も法定外表示にあたります。しかし、法的効力がないからといって、「止まれ」の停止線で一時停止しなかったとしても違反にならないかといえば、そうとも言い切れません。なぜなら、道路に「止まれ」と書かれた場所には、法的効力がある一時停止の道路標識もほぼ一緒に設置されているから。

 そのため、停止線を無視して通過すれば、違反となる可能性が高いという訳です。

「止まれ」の道路標示は法的効力がない「法定外表示」に当たるが、法的効力がある一時停止の道路標識もほぼ一緒に設置されている「止まれ」の道路標示は法的効力がない「法定外表示」に当たるが、法的効力がある一時停止の道路標識もほぼ一緒に設置されている

 ごくまれに、標識を設置したあとに道路の形状が変わり、標識が外されたあとに「止まれ」の標示だけが残っているケースもあるそう。そのような場所以外では、道路標示を無視すると違反になる可能性が高いことを覚えておきましょう。

 なお、古い道路標示のなかには、かすれて文字が読み取れないほど消えかけてしまっている場合があります。とくに通学路となる道路などでは、子どもの安全を考えて一刻も早く改善しなければなりません。

 ではこのような場合、勝手に書き直しをしても問題ないのでしょうか。

消えかけた道路標示を勝手に書き直すと罰則の対象となる消えかけた道路標示を勝手に書き直すと罰則の対象となる

 道路上の路面標示は法的効力がなくても、交通法規(交通安全)に影響するもの。そのため自分の判断で勝手に補修などをおこなうと、処罰の対象になる可能性があります。

 道路交通法第76条(禁止行為)では、以下のように記載されています。

「何人も、信号機若しくは道路標識等又はこれらに類似する工作物若しくは物件をみだりに設置してはならない」

 この規定に違反した場合は、6か月以下の懲役または10万円以下の罰金が科せられることがあるため、安全のためや急いでいるからといって、むやみに書き直しをすることのないよう、くれぐれも注意してください。

 なお、道路標識および路面標示には、公安委員会が設置したものと、道路管理者が設置したものがあります。

「止まれ」や停止線などの路面標示に関しては、公安委員会が管理しているため、文字が消えかかっているといった不具合がある時は、警察に修繕を依頼しましょう。

 ちなみに、公安委員会(各都道府県警察)や道路管理者の窓口では、「標識BOX」(道路標識意見箱)というものが設置されています。これらは標示が消えかかっていたり、標識が壊れているなど、道路標識などが好ましくない状態である場合に、道路の利用者が意見を投函することが可能。 また、意見はメールでも受け付けられており、国土交通省のホームページに設置されているので、気になる人はチェックしてみてください。

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