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工具のハナシ 6mmのボルトは10mmのスパナで回す??

バイクのニュース / 2023年12月8日 11時10分

バイクは様々な種類やサイズのボルトやナットで組み立てられています。したがって整備やカスタムで使う工具も、様々な種類やサイズが必要ですが、ボルトやナットと工具ではサイズの呼び方が違うため、ちょっと厄介です。

■工具は「二面幅」、ボルトは「呼び径」のサイズで呼ぶ

 難しい整備や修理はプロにお願いするとして、オイル交換など愛車のメンテナンスや、ちょっとしたカスタムは自分でやってみたいと思うライダーは多いようです。そんな作業に必要な「工具」ですが、締めたり緩めたりするボルトやナットと、サイズの呼び方が異なるコトをご存知でしょうか。

車両のメンテナンスやカスタムの作業で必要な工具車両のメンテナンスやカスタムの作業で必要な工具

 たとえば「工具」と聞くとハンドツールの「スパナ」を思い浮かべる人も多いと思います。スパナには「10」や「12」といった数字が表記されています。これはメトリック=メートル法の工具の場合、スパナの口の「二面幅」のサイズが10mmや12mmという意味です。そのため、一般的に「10mmの片口スパナ」とか「10mm-12mmのコンビネーションレンチ」などと呼ばれています。

 それでは、10mmの片口スパナで回せるのは、何mmのボルトでしょうか? 答えはもちろん10mm……ではありません。

スパナに表記されるサイズの数字は、スパナの口の二面幅をmm(ミリ)で表している。写真のスパナは10mm-12mmコンビネーションレンチスパナに表記されるサイズの数字は、スパナの口の二面幅をmm(ミリ)で表している。写真のスパナは10mm-12mmコンビネーションレンチ

 じつはボルトのサイズは、ネジが切ってある部分の太さで呼ぶことが一般的で、ここの太さを「呼び径」と言い、たとえば「6mmのボルト」という呼び方をします(実際にはボルトの頭から下の「首下長さ」や、ネジ山の間隔の「ピッチ」といった規格も重要ですが、ここでは割愛)。

 ところがボルトの頭の二面幅は、呼び径と異なります。そのため、呼び径6mmで頭の二面幅が10mmのボルトは、10mmのスパナで回します。端的に言えば「6mmのボルトは10mmのスパナで回す」です。

 ……少々ややこしいですね。

呼び径が6mmで頭の二面幅が10mmのボルト。一般的に「6mmのボルト」と呼ぶ。ナットも二面幅が10mmでもボルト穴が6mmの場合は「6mmのナット」と呼ぶ。どちらも回すのに使う工具は「10mmのスパナ」呼び径が6mmで頭の二面幅が10mmのボルト。一般的に「6mmのボルト」と呼ぶ。ナットも二面幅が10mmでもボルト穴が6mmの場合は「6mmのナット」と呼ぶ。どちらも回すのに使う工具は「10mmのスパナ」

 近年のバイクは「六角穴付きボルト」、いわゆる「キャップスクリュー」が増えており、このボルトを回すには「六角棒レンチ」や「ヘキサゴンビット」を使います。

 六角棒レンチの場合も二面幅のサイズで呼び(例:6mmの六角棒レンチ)、キャップスクリューの頭の六角穴の向かい合う二辺の幅に合うサイズを用います。

 しかしキャップスクリューの場合も、ネジが切られた呼び径の太さと、頭の六角穴の二辺の幅は異なるのです……。

■ボルトの「頭」に合った工具を揃える

 ここまででも工具に触れたことが無い人には難解だと思いますが、厄介なのはこれだけではありません。じつは六角ボルトもキャップスクリューも、呼び径(太さ)に対してボルトの頭の二面幅のサイズは一定ではありません。

キャップスクリューも呼び径の太さで呼ぶ。写真は「8mmのキャップスクリュー」で、使用する工具は「6mmの六角棒レンチ」となるキャップスクリューも呼び径の太さで呼ぶ。写真は「8mmのキャップスクリュー」で、使用する工具は「6mmの六角棒レンチ」となる

 たとえば、呼び径8mmの六角ボルトの場合、頭の二面幅はメジャーなモノでも12mmと13mmがあります。

 国産バイクに使われる純正の8mmのボルトやナットは大抵が12mmですが、他の機械やホームセンターで売っている8mmボルト・ナットの多くは13mmが一般的です。そのため呼び径8mmのボルトを回すには、少なくとも12mmまたは13mmのスパナが必要になります。

 キャップスクリューの場合も同様で、同じ呼び径のボルトでも頭の六角穴のサイズに種類があるので、それに合わせた六角棒レンチが必要です。

 ……と、文字で読むとかなり難易度が高く感じますが、実際に工具を使っているとスグに慣れます。問題なのは工具を揃える時ですが、作業するボルトの頭や六角穴のサイズを測って合わせれば問題ありません。

 そしてカスタム等でボルトやナットを購入する時は、前述したように「首下長さ」や「ピッチ」も関わるので、サンプルになるボルト類や取り付ける対象物を用意して、それに合う工具を探せば間違いはないでしょう。

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