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バイクではどうなってるの? クルマではもはや当たり前の安全装備やEV技術

バイクのニュース / 2024年1月14日 17時10分

クルマではぶつからない技術や電動化、自動運転などが話題になっていますが、バイクはどうなのでしょうか? クルマとは条件が違いつつも、路上を走るという点で同じ乗り物だけに、気になるところです。そこで今回はイタリアで行なわれたECIMA2023で、日本のサプライヤー、日立Astemoが公開した最先端の技術について聞いてみました。

■クルマとバイクの違いはどこに?

 クルマではぶつからない技術や電動化、自動運転などが話題になっていますが、バイクの先進安全技術はどのようになっているのでしょうか? 

 車体の大きさや、乗る人がむき出しなど、運転条件は大きく違いますが、公道を走るという点で同じ乗り物だけに、気になるところです。

 そこで今回はイタリアで行なわれたECIMA(ミラノモーターサイクルショー)2023で、日本のサプライヤー、日立Astemoが公開した最先端の技術について聞いてみました。

イタリアで行なわれたECIMA(ミラノモーターサイクルショー)2023で、日本のサプライヤー、日立Astemoが公開した最先端の技術のデモ展示イタリアで行なわれたECIMA(ミラノモーターサイクルショー)2023で、日本のサプライヤー、日立Astemoが公開した最先端の技術のデモ展示

 人間が運転して、路上を速い速度で走るという点ではバイクもクルマも同じです。つまり、そもそも危険な乗りモノと言え、クルマの場合はニュースで見かけるように、高齢者を中心とした踏み間違いが社会問題となっています。

 ひと口に安全性と言っても多岐にわたり、さまざまな最新技術が開発され、なかには実用化されているものもあります。また、電動化もクルマでは大きな話題になっていて、いくつかの課題は残されているものの、続々とEVモデルが登場している状況です。

 そんなクルマに対してバイクは特殊で、一番大きな違いは、バイクはスペースが限られていることから、安全装備の搭載や電動化に制限があるというのが実際のところ。これをどう解消するか?今回はイタリアで行われたECIMA2023で、日立Astemoが公開した最新技術に焦点を当て、考えていきたいと思います。

 ちなみに日立Astemoは、日立オートモーティブがケーヒン、ショウワ、日信工業を合併したサプライヤーで、幅広い得意分野を武器にさまざまなシステムを開発しているメーカーです。

■バイクならではのぶつからない技術

 安全装備で一番わかりやすくて、一番我々に恩恵があるのが衝突軽減技術でしょう。できれば完全に回避、無理でもできるだけスピードを落とし、被害を軽くすることを目的にしてクルマでは普及が急速に進んでおり、当たり前の存在にもなっています。

 基本となる障害物の検知方法は、カメラやレーダー、赤外線などを使っていて、制御レベルも高度なもの。ちなみにこれらの技術をさらに高めていくと、高度な自動運転へとつながっていきます。

会場ではバイクに装着したカメラからの画像をAIで処理し、人やクルマ、バイクも認識できているなど、実際の解析状況をモニターで見ることができた。会場ではバイクに装着したカメラからの画像をAIで処理し、人やクルマ、バイクも認識できているなど、実際の解析状況をモニターで見ることができた。

 一方のバイクはというと、安全装備についてはABSがやっと義務化され、普及したといったところでしょう。一定速度で走るクルーズコントロールは一部の高級モデルのみに搭載されていますが、まだ一般的とは言えません。

 そんなバイクの安全装備で問題になるのが、装備の大きさに対する搭載スペースで、クルマのようにたくさんの装置を搭載することは不可能です。

 それを日立Astemoでは、カメラに絞ることでコンパクト化に成功。EICMA会場にも、カウルの下やミラーなどに実際にカメラを入れ込んだ、でも展示も行われていました。ただしカメラの場合、ひとつだでは距離感を掴みにくく、人間がふたつの目で周囲の状況を判断しているように、ふたつのカメラが装着されているのが特徴。さらに言うと大きくなってしまうレーダーなどは使用していないのが、今回公開された日立Astemoのシステムです。

 カメラからの画像をAIで処理し、人やクルマ、バイクも認識できているなど、会場では実際の解析状況をモニターで見ることができました。

 ただ面白いのがバイクの特性に制御を合わせているところで、たとえばクルマならメーター内で警告灯が点滅したり、警告音が鳴りますが、バイクの場合は気が付きにくいのでエンジンの振動を利用。ぶつかる危険性が高まると急ブレーキをかける制御も、バイクではライダーがその反動で飛んで行く危険性もあるので、そこを上手にアシストできるようになっているとの事。

 また、路面のギャップを感知したら、サスペンションを制御してスムースに乗り越えられるようにするなど、バイクに特化した性能となっている点が印象的でした。

 この制御が実現できるのは、さまざまな分野のサプライヤーが集結してできた日立Astemoというメーカーの強みと言っていいでしょう。

■サスペンションの対応力をさらに向上

 ギャップを感知したら、サスペンションを制御してスムースに通過させるというシステムについて前述しましたが、日立Astemoは以前、減衰力制御システムとしてEERA(イーラ)を発表し、大きな話題となりました。

 そのEERAについても、今回のEICMAで2世代目を発表。最大の特徴は今までコンピュータが別になっていた物が、すべてがひとつになったこと。

減衰力制御システム「EERA(イーラ)」の2世代目減衰力制御システム「EERA(イーラ)」の2世代目

 現物を見ると小さな部品なのですが、その中にコンピュータも含めたシステムがすべて入っていて、ショックアブソーバーの上に付けるだけというシンプルなものへと進化しています。

 シンプルなので搭載の制限がほとんどなく、たとえばリヤサスペンションだけに付けるといったことも可能になるため、ハイエンドだけでなく、ミドルクラスのバイクにも採用できる可能性が出てきたのは注目すべき点でしょう。

 前述したようにギャップを感知したらサスペンションを柔らかくして衝撃を和らげ、安定して走れるようにすることもできるようになれば、バイクに乗る楽しさも倍増するかもしれません。

■気になる電動化の最前線を探る

 クルマの場合、電動化まっしぐらと言った感じですが、その点バイクは地道に進んでいるというのが現状です。

 クルマとバイクの大きな違いは、バッテリーとモーターの積載性にあり、航続距離、パワーなどEVの性能は簡単に言ってしまうとバッテリーとモーターの大きさによって決まってしまいます。スペースに余裕があるSUVをベースにした電気自動車が多いのは、このため。

 そう考えると、バイクにはスペースに余裕がほとんどないのは事実です。そこで日立Astemoではどういった技術を開発しているのでしょうか。

EICMAの日立Astemoブースに展示されていた電動化技術のデモモデルEICMAの日立Astemoブースに展示されていた電動化技術のデモモデル

 ポイントは3つとのことですが、中心となるのはEアクスル。クルマでは増えている技術で、モーターと直流から交流にするインバーター、デフをひとつにしたものをこう呼んでいます。

 アクスルというとシャフト、つまり棒のイメージですが、電動化の時代では単純な棒ではなく、システム全体をシャフト的にとらえるということ。バイク用でもギアは入っていて、エンジンの位置に搭載されます。EICMAの日立Astemoブースに展示されていたデモモデルでは、チェーンがまだ使われていた点がバイクらしいポイントでした。

 メリットは高効率かつコンパクトになることで、たとえば駆動システムがサスペンションアームを兼ねているスクーターなら、そのまま入れ替えることも可能です。

EICMAの日立Astemoブースに展示されていた電動化技術のデモモデルにはEMUとBMSも搭載。EICMAの日立Astemoブースに展示されていた電動化技術のデモモデルにはEMUとBMSも搭載。

 そしてこのシステムをアシストするのが2つ目と3つ目の技術で、それぞれEMUとBMSと呼ばれるもの。日本語にするとEVシステムマネージメントユニットとバッテリーマネージメントシステムになります。

 EMSはアクセル開度を読み、パワーのEアクスルに指令を出す役割で、キーロックとも通信し、防犯機能もプラスされている点が、日立Astemo製の特徴とのこと。

 BMSはバッテリーの電圧・電流、温度を監視したり、残量を計算したりするもので、故障時の安全なシャットダウンもここで制御する、電動車の要的なシステム。ただ、デモ用バイクに付いていたのは4輪用の大きなもので、現在、バイク用にコンパクトなものを開発中とのことでした。

 安全装備、電動化の進捗状況は、どちらもクルマとはかなり差があるのではと思っていましたが、実際はバイク用に特化したシステムや技術が着実に開発されている状況。

 近い将来、それらの機能を搭載したバイクが、各メーカーからリリースされるのが楽しみです。

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