まるで迷路!首都高はなぜ難しいと感じる人が多いのか?
バイクのニュース / 2023年12月9日 9時10分
首都高での運転は難しく、困ったことのあるライダーも多いはず。では、どのような理由で運転が難しいと言われているのでしょうか。また、運転が難しい構造になってしまったのにはどのような理由があるのでしょうか。
■首都高での運転が難しいのはなぜ?他の高速道路にはない特殊な構造
首都圏に住んでいるライダーの間では、首都高速道路、通称首都高の難しさは言わずと知れたこと。自分で利用したことこそないものの、その難しさは噂に聞いたことがあるという人も多いでしょう。
実際、首都高はバイク事故の危険性が高く、日本で唯一「自動二輪車の2人乗り禁止エリア」が存在する路線となっています。
首都高はバイク事故の危険性が高く、日本で唯一「自動二輪車の2人乗り禁止エリア」が存在する路線
では、どのような理由で首都高での運転は難しいと言われているのでしょうか。
首都高が難しい理由として代表的なのが、急カーブの多さです。首都高では通常の高速道路では考えられないようなカーブが連続しており、多くのライダーやドライバーを苦しめています。
さらに、都心のビル群の間を縫うように走る首都高には多くの上り坂や下り坂が存在します。カーブの箇所が坂になっていることも珍しくなく、運転をさらに難しくしています。
首都高が難しい理由として代表的なのが、急カーブの多さ
また、急カーブの多さと同じくらい有名な首都高の特徴として、「右側からの合流」が挙げられます。通常、料金所などから本線への合流は左側からおこなうもの。しかし首都高では、右側から合流せざるを得ない箇所が数多く存在します。
右ハンドルのクルマで合流する際、左後方は非常に確認しづらいもの。このことは一見、ライダーには関係ないように思えるかもしれませんが、そんなことはありません。バイクで本線上を走っている際、合流してくるクルマがバイクに気づかずに突っ込んでくるリスクがあります。
では、そもそもなぜ首都高はこのような特殊な構造になったのでしょうか。その背景には、日本の戦後から高度経済成長期にかけての特殊な事情がありました。
■首都高の歴史に迫る!運転の難しい構造には戦後特有の事情が
首都高といえば運転が難しいと言われるほどに、首都高が複雑な道路になってしまった背景には、どのような事情があるのでしょうか。時代は高度経済成長期に遡ります。
昭和42年環状線建設現場(参照:首都高速道路株式会社)
戦争が終わり経済が復興する1950年代、都心部では自動車台数が爆発的に増加し、交通渋滞が深刻な問題になります。自動車の増加に対して道路整備が遅れており、1965年には完全に交通麻痺状態になってしまうとも予測されていました。
そこで首都高速道路の計画が本格的に構想され、1958年に計画が決定します。
そしてその後一年と立たぬうちに、1964年東京オリンピックの開催が決定しました。選手団の移動が渋滞に巻き込まれてしまえばオリンピックの成功に影響が出ます。空港と都心を結ぶ路線が急ピッチで建設されることになりました。
建設期間を短縮するため、建設の際には高速道路の大部分を公用地の上に建設し、用地買収にかかる時間を省くという方法が取られました。
そのため当時建設された路線の大部分は既存の幹線道路の上や、河川上に建設されています。なかでも河川上に建設された部分は河川に沿って曲がるため、結果として通常の高速道路では見られないカーブが多くなっています。
日本橋の上を通る首都高都心環状線
首都高が河川の上を通っている例としては、日本橋の上を通る都心環状線が有名でしょう。周辺の地図を見てみると、川のカーブに沿って道路が建設されていることがよくわかります。
結果、空港と都心を結ぶ路線は無事にオリンピック開催の直前に開通しました。このように、私有地を避けつつ、最小限のスペースに急ピッチで建設が進んだため、首都高にはカーブが多くなっているといえます。また、右側からの合流が多いのも同じ理由です。
※ ※ ※
首都高の運転が難しいのは、カーブや右側からの合流が多いからであると言えます。そしてその背景には、都心の渋滞解消や、オリンピック開催に向けて急ピッチで建設が進められたという高度経済成長期特有の事情がありました。
2019年、前述の日本橋の上を通る路線が地下化されることが決定しました。これによって数十年ぶりに、日本橋は日の目を見ることになります。
このように地下化が進むことは、同時に、高度経済成長期の面影を残す急カーブなどが減っていくことを意味します。少し寂しく思えますが、安全に運転できる路線が増えるのは喜ばしいことだと言えるでしょう。
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