一体どんなメリットがあるの？ 「交通反則通告制度」が採用されている理由とは

日本では「交通反則通告制度」という制度が導入されています。いったいどのような制度なのでしょうか。

■一般的に「青切符」と呼ばれる交通反則通告制度とは？

　交通反則通告制度とは、運転中の「軽微な」交通違反について、一定期日までに「反則金」を支払うことで刑事手続きを省略する制度のことです。

　軽微な交通違反を「反則行為」と呼びますが、反則行為とは一体どのようなものなのでしょうか。また、どのような仕組みで刑事手続きが省略されるのでしょうか。

悪質ではなく、かつ危険性の低い交通違反をした場合に科せられるのが反則金

　反則行為に該当する交通違反は、駐停車違反や信号無視、30km／h未満の速度超過、一時停止違反などが該当します。

　こうした、悪質ではなく、かつ危険性の低い交通違反をした場合に科せられるのが反則金で、反則行為に該当する交通違反をすると、「反則金仮納付書」、通称「青切符」が警察官から渡されます。

　そして、本来であればすべての交通違反について刑事手続きがおこなわれ、刑事手続きが進められると公訴提起がなされ、刑事裁判や家庭裁判で審判を受けることになるのです。

　しかし交通反則通告制度の適用により、一定の期日までに反則金を納付すれば刑事手続きが省略されるというわけです。こうした反則行為の場合にのみ、交通反則通告制度が適用されるのには理由があります。

反則金を支払うことによって刑事手続きを免除することで、役所や裁判所、運転者の負担を減らすことを目的とした制度が「交通反則通告制度」

道路交通法が施行された1960年以降、違反による取締り件数は年々増加。そのため、違反行為の軽重に関わらず膨大な違反事件の処理をすると国家と国民の双方にかなりの時間と労力を要するため、1967年の法改正によって交通反則通告制度が導入され、1968年から施行されることになったのです。

　つまり、反則金を支払うことによって刑事手続きを免除することで、役所や裁判所、運転者の負担を減らすことを目的とした制度ということ。

　しかし、交通反則通告制度が適用されない人もいます。それは無免許運転者や、酒酔い・酒気帯び運転者、交通違反により交通事故をおこした人です。

　こういった人は、軽微な反則行為をおこなった場合でも交通反則通告制度が適用されず、刑事手続きが進められることになる点も覚えておいてください。

■反則金は何に使われているの？

　青切符を受け取った場合、翌日から7日目までが反則金の納付期限となっており、交通違反の内容によって3000円から4万円の納付が必要となります。

　反則金は本人または代理人が最寄りの銀行、信用金庫または郵便局で納めなければなりません。コンビニや現金書留による郵送での支払いはできないので、注意してください。

　期限内に反則金を納付することで、手続きはすべて完結します。

反則金を納付しなかった場合は、道路交通法違反事件として刑事手続きに移行する事になる

　もし納付期限までに反則金を納付できなかった場合は、青切符の表面に出頭日と出頭場所が記載されているので、記載されている日に出頭すると新しい納付書が交付されます。

　新たに交付された納付書は、交付された翌日から10日以内に納付することが必須。出頭しなかった場合は、青切符を渡された日から概ね1か月後に新たな納付書などが送付されますが、郵送料が加算されます。

　住んでいる県外で交通違反をした場合で、納付期限内に納付できなかった際も、郵送により再交付され、郵送料加算となります。

　なお、反則金を納付しなかった場合は、道路交通法違反事件として刑事手続きに移行する事になるので要注意。

　こうして納付された反則金は、まず国に納められたのち「交通安全対策特別交付金」として都道府県や市町の、信号機や道路標識、道路照明、歩道やガードレールといった交通安全施設に使用されます。

　分配方法としては、交通事故の発生件数や人口の集中度なども考慮され、各都道府県市町村に届けられるそう。

　交通安全対策特別交付金に関する政令も設定されており、交通安全対策特別交付金は交通安全設備の設置や管理以外の目的では使用できないよう定められています。