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「おまえは風だ。」 50年経っても胸が躍り、こころが叫ぶ ホンダ「CB400FOUR」

バイクのニュース / 2023年12月25日 19時40分

日本のバイクが工業製品として世界をリードするタイミングで、1974年に新登場となったホンダ「CB400FOUR」は、ミドルクラスに投入されたカフェレーサースタイルのバイクです。国内では免許制度などに翻弄されつつ、「排気量400ccクラスで4気筒」という形式を確立し、伝説のバイクとなりました。

■華麗なカフェレーサー・スタイルと、輝く「4 into 1」集合マフラー

 ホンダは1969年の「CB750FOUR」とともに、高出力をスムースに発揮する直列4気筒エンジンを登場させました。1971年には「CB500FOUR」(1974年に「CB550FOUR」へモデルチェンジ)、1972年には「CB350FOUR」など、各排気量車に展開していきます。

ミドルクラスの4気筒エンジンと集合マフラーを採用したホンダ「CB400FOUR」は、1974年の発売から50年近く経った現在でもファンの間では大人気ミドルクラスの4気筒エンジンと集合マフラーを採用したホンダ「CB400FOUR」は、1974年の発売から50年近く経った現在でもファンの間では大人気

 現在では国内外の多くのメーカーが4気筒エンジンを搭載する大型バイクを発売し、ポピュラーな存在となっています。しかし1970年代は、高性能の象徴とも言えるホンダの4気筒エンジンが、ライダー達の垂涎の的でした。

「CB350FOUR」はこのクラスの最高級車として、「CB750FOUR」同様の4本マフラーを装備していましたが、ホンダが1974年に発売した「CB400FOUR」には、全く新しいスタイリングを与えました。

 欧米では短めのハンドルにバックステップという前傾ポジションのスポーツバイクが流行しており、この頃からバイクメーカーも「カフェレーサー」と呼ばれるカスタムシーンを意識したモデルを市場に投入し始めます。

 そんな時代に誕生した「CB400FOUR」は、直列4気筒エンジンに集合マフラーを装備し、動力性能でもデザインでも、新鮮な驚きをミドルクラスのライダー達に提供したのです。

「CB400FOUR」の特徴である4本のエキゾーストパイプ。4本が並んだまま集合する美しい曲線「CB400FOUR」の特徴である4本のエキゾーストパイプ。4本が並んだまま集合する美しい曲線

「CB750FOUR」と同様にSOHCを採用するエンジンは、最高出力37ps/8500rpmを発揮しました。4つの強制開閉キャブレターから吸入された混合気は、燃焼した後に美しくメッキされた流麗なカーブを描く4本のエキゾーストパイプを経て、1本のマフラー部分に集合されて排気されます。

 集合チャンバーと呼ばれる一時膨張室では、4気筒の燃焼順序にしたがって他の気筒の排気を促進する効果が繰り返し行なわれて出力を向上します。

 その後マフラー内では3つのセパレーターで遮られながら消音効果を高めつつ、さらにマフラー筒は肉厚で透過音を防ぎ、これらによって低くたくましい排気音となっていました。

 出力向上と消音効果、さらに軽量化という、バイクに求められる技術的難問の答えは研究とテストを繰り返し、ホンダならではの「4 into 1」と呼ばれる高効率集合排気システムにたどり着いたのです。

 結果的にその集合マフラーの機能美は、「CB400FOUR」の個性を強く印象付けることになります。

 走行性能を左右するフレームは、ねじれ剛性と強度を兼ね備えるセミダブルクレードル型。市街地から高速道路、ワイディングまで、快適に走れるフロントディスクブレーキや6速ミッションを装備していました。

 細身ながら14リットルの容量を確保した燃料タンクはデコレーションが少なく、そんな「走りに徹した」という表現が似合うシンプルなデザインです。

各種インジケーターが充実した2眼メーターと短めのハンドル。エンジン回転数のレッドゾーンは10000rpmから各種インジケーターが充実した2眼メーターと短めのハンドル。エンジン回転数のレッドゾーンは10000rpmから

 ちなみに、デビューした1974年の自動二輪免許では、運転できるバイクの排気量に制限はなく、ざっくり「原付と排気量無制限」というシンプルな構成でした。

 しかし翌1975年に施行された運転免許制度改正では「中型限定自動二輪」が新設され、自動二輪免許に「400cc以下」が設定されます。それを超える排気量のバイクに乗るためには、運転免許試験場での厳しい一発試験に合格する必要がありました。いわゆる「限定解除」です。

 したがって、排気量408ccの「CB400FOUR」の初期型は「中型限定自動二輪」では運転できないということになります。そんな状況を受けて、ホンダは1976年に排気量398ccの「CB400FOUR-I」と「CB400FOUR-II」を発売します。

 すでに「CB350FOUR」の生産は終了しており、当時としては中型限定の二輪免許で乗ることが許される、唯一の4気筒マシンでした。なお、集合マフラーを採用したホンダ車のラインナップとしては、1975年に「CB500FOUR-II」、1977年に「CB750FOUR-II」などがデビューしています。

ホンダは各排気量帯に高性能な4気筒エンジンを投入。「CB400FOUR」の初期型の排気量は408ccだったが、その後398ccにホンダは各排気量帯に高性能な4気筒エンジンを投入。「CB400FOUR」の初期型の排気量は408ccだったが、その後398ccに

 排気量400ccクラスの「CB」は、1977年の「HAWK-II(CB400T)」で2気筒エンジンとなりますが、1981年の「CBX400F」で4気筒が復活。1989年の「CB-1」や、1992年には「CB400 SUPER FOUR」が登場しました。

 現在ではすっかり数を減らした「400ccクラス4気筒」ですが、その時代のバイクは今でも根強いファンの間で愛好されています。そんな歴史を築いたホンダ「CB400FOUR」(1974年)の当時の販売価格は、32万7000円です。

■ホンダ「CB400FOUR」(1974年型)主要諸元
エンジン種類:空冷4ストローク直列4気筒SOHC8バルブ(1気筒あたり2バルブ)
総排気量:408cc
最高出力:37ps/8500rpm
最大トルク:3.2kg-m/7500rpm
全長×全幅×全高:2050×705×1040mm
始動方式:セル/キック併用
車両重量:183kg
燃料タンク容量:14L
フレーム形式:セミダブルクレードル
タイヤサイズ(F):3.00S18-4PR
タイヤサイズ(R):3.50S18-4PR

【取材協力】
ホンダコレクションホール(栃木県/モビリティリゾートもてぎ内)

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