1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ

一体なぜ? ホンダが「E-Clutch」や「DCT」などでMT仕様をクラッチ操作不要化する理由とは

バイクのニュース / 2023年12月21日 7時10分

ホンダは、イタリア・ミラノで開催されたEICMA2023で公開した、二輪車用有段式マニュアルトランスミッション(MT)のクラッチコントロールを自動制御することでライダーの手動によるクラッチレバー操作を不要とした「E-Clutch」や、2010年に「VFR1200」で初搭載された「デュアル・クラッチ・トランスミッション」など、MTを「クラッチ操作不要」にするような技術が開発され続けています。一体なぜなのでしょうか。

■スゴイけど本当に必要? E-CluthやDCTなどのクラッチ操作が不要となる技術

 イタリア ミラノで開催されたEICMA2023で2023年11月7日、ホンダが二輪車用有段式マニュアルトランスミッション(以下:MT)のクラッチコントロールを自動制御することで、ライダーの手動によるクラッチレバー操作を不要とする技術、「E-Clutch(イークラッチ)」を発表しました。

イタリア ミラノで開催されたEICMA2023でホンダが世界初公開したライダーの手動によるクラッチレバー操作を不要とする技術「E-Clutch(イークラッチ)」。手動でのクラッチ操作も可能ですイタリア ミラノで開催されたEICMA2023でホンダが世界初公開したライダーの手動によるクラッチレバー操作を不要とする技術「E-Clutch(イークラッチ)」。手動でのクラッチ操作も可能です

 2010年に発売された「VFR1200」においては、MTのダイレクト感はそのままにクラッチ操作とシフト操作からライダーを解放し、高次元のスポーツライディングや利便性を提供する技術「デュアル・クラッチ・トランスミッション(DCT)」が初搭載され、以降、ゴールドウイングやアフリカツイン、X-ADV、レブル1100などDCTを採用するモデルが続々と登場しています。

 これらは、MT仕様車のクラッチ操作を不要にする、とても便利な技術ではありますが、クラッチ操作も含めてMTを操る操作感が好きという、私(先川知香)のようなライダーとしては、どうしても、ひとつの疑問が浮かんでしまいます。

 それは、「どうしてホンダは、MTをわざわざATのようにするんだろう?」という疑問。マニュアル操作が嫌なら、スクーターに乗ればいいんじゃないの? という素朴な疑問をホンダのE-Clutch開発担当者にぶつけてみました。

E-Clutch(イークラッチ)が搭載されたホンダ「CB650R」E-Clutch(イークラッチ)が搭載されたホンダ「CB650R」

―――MT仕様のバイクを選ぶ人は、クラッチミートなどの操作性を楽しむ事を好む人が多いと思うのですが、ホンダとしてはE-ClutchやDCTなど少しATに寄せた技術を開発に力を入れて、将来的にMTをどのような位置づけにしたいのでしょうか?

 ホンダとしてモーターサイクルの一つの重要な要素としてマニュアルトランスミッションを好む方が多いことは理解しており、今後もマニュアルトランスミッション搭載モデルは市場に投入していきます。

 今回E-Clutch技術を発表しましたが、この技術の大きな特徴としてライダーは任意のタイミングでクラッチレバーを握るだけで通常のマニュアルクラッチ操作を可能としています。

 ここからも分かるように、クラッチ操作を希望するシーンではそれを選べる選択幅を持たせており、マニュアルトランスミッションの重要性を反映させた新技術だと考えています。

―――E-Clutchの技術説明時に、E-Clutchなどで操作を補助することで、バイクの操作が上手くなった感覚となり、より走りを楽しんでもらいたいというような説明がありましたが、バイクの操作が『上手くなったような感覚』というのは、本当に上手くなっている訳ではなく、E-Clutchの介入ありきの上手くなったという事になってしまうと思うのですが、そうなるとライダー自身の運転技術は向上していないのに、上手くなった感覚で通常のMTバイクに乗ってしまうと、少し危険ではないかと思うのですが、そういった点はどのように考えているのでしょうか。

 E-Cluthはライダーのライディング技術を向上させるものではなく、「操る楽しさ」を求めるライダーにライディング体験の質を向上させることを狙った技術です。

 クラッチレバー操作なしで、スムーズな発進、変速、停止が可能となり、より快適にライディングの楽しさに集中でき、「思い通りに走りたい」という想いをサポートします。

 デュアル・クラッチ・トランスミッション(DCT)が搭載されたホンダ「レブル1100T DCT」 デュアル・クラッチ・トランスミッション(DCT)が搭載されたホンダ「レブル1100T DCT」

―――E-Clutchは自身で操作するMTではなく、ATに近付けるような技術を導入し、趣味的にMTに切り替えられるよ! というものに感じるのですが、MT操作が煩わしい(不安? など色々と理由はあるとしても)けど、スクーター型のATバイクではなくMTバイクのデザインが好きというユーザー向けという事であれば、E-ClutchやDCTなどの導入ではなく、MTバイクの形をしたATバイクを作るという発想にならない理由はどこにあるのでしょうか?

 E-Cluthはライダーのスキルやライディングシーンに応じてマニュアル操作に切り替えられる幅を持たせており、ひとつめの質問の回答にもあるように、マニュアルトランスミッションへのニーズを反映したものと考えています。

 初心者などには発進や停止時に、クラッチ操作を不要とするE-Clutchでエンストの不安を払拭します。

 スポーティな走りを求めるシーンではスムーズで、クイックシフターよりも早い変速を実現。一方で、マニュアル操作の「操る楽しさ」を求める場面では、MTへ切り替えることで通常のマニュアル車としてライディングが可能となります。

 そんなE-Cluthの特徴と有効性を踏まえ、まずはCB650R、CBR650Rへ投入いたしました。

※ ※ ※

 ホンダの回答によると、E-CluthやDCTなどの開発は、MT車をAT化するものではなく、あくまでMT車の走りを安心して楽しめるようにするものとのことでした。

 確かに、バイク初心者の時はエンストが怖くて、バイク自体の操作に集中できなかったり、信号待ちで発進できないという事もあり、エンストしない技術というのは、バイクに慣れる為には重要なのかもしれません。

 なお、見た目だけの問題ならMT仕様のバイクに多いデザインで、そのままAT化できないのかという疑問に対しては、「技術的には可能ですが、E-CluthやDCTなどでATのように走れるバイクにした方が、コスト面で効率がいい」とのことでした。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください