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ホンダのM・マルケス選手との別れ それを惜しむファンの姿 バレンシアGPでパドックぶら歩き。

バイクのニュース / 2023年12月23日 13時10分

2023年シーズンのMotoGP最終戦、バレンシアGPが開催されたリカルド・トルモ・サーキットのパドックをぶらりと歩いていると、ふと、いつもと違う様子が目に入りました。そこには、ひとつの「お別れ」があったのです。

■ファンの様子に見る、いつもと少し違うパドックの雰囲気

 MotoGPバレンシアGPに取材へ行ったわたし(伊藤英里)は、パドックの雰囲気に、少し、いつもと違うものを感じました。バレンシアGPは11月24日から26日にかけて、スペインのリカルド・トルモ・サーキットで行なわれた、2023年シーズンMotoGPの最終戦です。

レプソル・ホンダのレーシングスーツ姿のマルケス選手とは、2023年でお別れレプソル・ホンダのレーシングスーツ姿のマルケス選手とは、2023年でお別れ

 金曜日のお昼時にぶらりとパドックを歩いていると、ファンを集めるピットがありました。チャンピオン争いを繰り広げていた、フランセスコ・バニャイア選手とホルヘ・マルティン選手のピット周辺です。チャンピオン争いは今シーズンも最終戦にまで持ち込まれたため、それぞれのファンが、バニャイア選手、マルティン選手の出待ちをしていたのです。

 そしてもうひとつ、ひときわファンを集めるピットがありました。マルク・マルケス選手のピット周辺です。マルケス選手は2023年シーズンをもって、11年間所属したホンダのファクトリーチームを離れ、2024年からドゥカティのサテライトチームのライダーとなります。

「ホンダといえば、マルケス選手。」そんな強烈なイメージが、ファンの脳裏に焼き付いているのでしょう。そこに集まっていたファンは、「ホンダのマルケス選手」との別れを惜しんでいるように見えました。ホンダのファクトリーチームからマルケス選手が離れるということ、その事実の大きさを、あらためて感じた光景でした。

 マルケス選手のホンダとしての最後のレースは、ほかにも色濃く影響していて、例えば、マルケス選手とともに「Gracias Marc(ありがとう、マルク)」と書かれた巨大な幕がかかり、囲み取材が行なわれたホンダのホスピタリティでは、マルケス選手とMotoGPマシン「RC213V」のイラスト、そして「ありがとう」という文字がデザインされた、スペシャルな背景になっていました。

バレンシアGPでのマルケス選手の囲み取材の様子。背景はスペシャル仕様バレンシアGPでのマルケス選手の囲み取材の様子。背景はスペシャル仕様

 さて、そんなバレンシアGPのパドックですが、今回は夜の様子を紹介してみたいと思います。わたしがメディアセンターを出るのは、いつも、仕事に一区切りをつけた夜8時以降。この時間帯になると、ピット側のエリアは静かです。けれど、ホスピタリティエリアは少し、違います。

夜のパドック。土曜日、ホスピタリティエリアの一部はパーティー会場のような雰囲気夜のパドック。土曜日、ホスピタリティエリアの一部はパーティー会場のような雰囲気

 ホスピタリティというのは、ライダーが食事をしたり、チームスタッフが打ち合わせをしたり、チームがゲストをもてなしたり、ときに囲み取材が行なわれたりもする、移動式の建物です。どのチームのホスピタリティも豪華で巨大。2階建てのホスピタリティもあります。

 とくに土曜日、ホスピタリティエリアの一部では、大音量で音楽がかかっていて、その場にいる人は食事をしたり、お酒を飲んだりしています。まるで、音楽のライブイベントのような雰囲気なのです。そこにいる人たち──おそらくゲストなのでしょう──が、「サーキットにいること」「この場所でMotoGPの空気に混じっていること」それ自体をとても楽しんでいるのだなあ、と感じられて、うきうきした楽しい気持ちが伝わってきて、わたしはこの雰囲気がけっこう好きです。

日中の明るい時間に、メインストレート前の建物(メディアセンターが入っている)から見たリカルド・トルモ・サーキット。スタジアム型サーキットなので、コース全体が見渡せる。奥が6、7コーナー日中の明るい時間に、メインストレート前の建物(メディアセンターが入っている)から見たリカルド・トルモ・サーキット。スタジアム型サーキットなので、コース全体が見渡せる。奥が6、7コーナー

 今年は、いくつかのMotoGPのパドックをぶらぶらと歩きました。とくにヨーロッパは陸地が続いているため、トレーラーで移動するので、パドックに並ぶ大きなトレーラーも、豪華なホスピタリティも、大きくは変わりません。けれど、やっぱり、そのパドックによって流れる雰囲気が、少しずつ違います。

 2023年のバレンシアのパドックは、少しだけのさみしさ、そんな空気が混じっていたように感じたのでした。

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