雪国に設置されている謎の箱「砂箱」の使い方とは
バイクのニュース / 2023年12月23日 9時10分
雪国を走行していると、「砂箱」と呼ばれる不思議な箱が設置されているのを目にすることができます。いったいどのようにして使用する物なのでしょうか。
■謎の箱「砂箱」その使い方とは
雪の多い地域の交差点などでは、「砂箱」と呼ばれる謎の箱が設置されている光景を目にすることができます。冬でも雪があまり降らない地域に住んでいる人にとっては、まったく馴染みのないものかもしれません。
北海道には多くの「砂箱」があちこちに設置されている
とくに北海道には多くの「砂箱」があちこちに設置されていて、道民にとってはごく当たり前のものとなっています。では、雪国の道路で見かける「砂箱」は、いったい何のために設置されているのでしょうか。
この砂箱は、北海道を中心に雪国ではおなじみのもので、札幌市内の交差点や坂道などに約4000か所も設置されているそうです。箱の中を見てみると「滑り止め材」と書かれた砂の入った袋がたくさん詰め込まれています。砂といっても海岸や砂場にあるサラサラとした粒の細かい砂ではなく、石を細かく砕いた目の粗いザラザラした砂です。
砂箱に入っている砂の正体は、凍結した路面にまいてスリップするのを防ぐためのもの。冬のあいだ、道路に降り積もった雪が踏み固められると、凍ってツルツルと滑りやすくなり非常に危険です。そのような凍結して滑りやすくなった路面に砂箱の砂をまくことで、クルマや歩行者のスリップ事故を防いでいます。
滑り止め材として使われているのは、2.5ミリから5ミリまでの大粒の砂です。固くて丈夫な火山岩で作られており、砕石工場で細かく砕いて滑り止め効果を発揮できる最適な大きさになるように仕上げています。岩を砕いて作ることで砂の表面がザラザラと角張り、これが凍結した路面に突き刺さってグリップ効果を生み出しているとのこと。
砂袋は、市の職員や除雪業者が定期的に巡回して補充しています。砂袋の大きさは3kg入りのものと1.5kg入りのものに加え、まきやすさや持ちやすさを考慮したペットボトル入りのものもあり、設置場所によっても違いがあるようです。
路面が凍結して「滑るかな」と思ったら砂箱から袋を取り出して無料で使うことができる
路面が凍結して「滑るかな」と思ったら砂箱から袋を取り出して、誰でも無料で使うことができます。砂をまくことで自身だけでなく、後ろから歩いてくる人やクルマなどのスリップ防止になるので、自治体では積極的に砂をまくように協力を呼び掛けているそうです。
砂のまき方は、特にむずかしいことはありません。まず、砂箱から砂袋を取り出し、袋の端に切り口があるので切り取って開封します。そして、ツルツルした路面で危ないと感じる場所に直接砂をまいていくだけです。
このとき1箇所に集中して砂をまくのではなく、少しづつ広範囲にまくのがポイント。使い終わった空の袋やペットボトルは、砂箱に設置されている「空袋入れ」や「容器入れ」に戻します。
春になると雪がとけて、道路や歩道には砂だけが残っている状態になります。使い終わった砂は、清掃業者や地域住民、ボランティアの人たちなどの協力によって回収されるそうです。
使い古した砂は角が削られて丸くなり、グリップ力を失ってしまうため、滑り止めとして再び使うことはできません。道路の路盤材として再利用されていたこともあったようですが、現在では埋め立て処分されています。
砂箱には滑り止めの砂袋のほかにも、「融雪剤」や「凍結防止剤」を置いている自治体もある
なお、砂箱には滑り止めの砂袋のほかにも、「融雪剤」や「凍結防止剤」を置いている自治体もあるそうです。
融雪剤は一度に多くの雪をとかすことができ、雪が積もった道路にまくのに適しています。一方の凍結防止剤は、雪をとかす効果が長続きするため、降雪が予想される道路にまいておくと凍結を防ぐことができるのが特徴です。
これら融雪剤などの主成分は、塩化ナトリウムや塩化カルシウムで、いわゆる塩が含まれています。融雪剤がまかれた道路を走行すると、バイクが錆びる原因になるため注意が必要です。
春先になって雪がなくなっても、雪どけ水には塩分が残っている場合があります。ツーリングなどで融雪剤がまかれた道路を走ったあとは、なるべく早く洗車をおこないボディやパーツに付着した塩分を洗い流すようにしましょう。
※ ※ ※
札幌市に設置されている砂箱は、緑色のボックスタイプのものが多いようです。しかし、砂箱のデザインにはとくに決まりはないため、地域によってさまざまなデザインの砂箱を見ることができます。たとえば、手作り風の木箱のようなものや動物の形をしたもの、ドラム缶を使ったものなどバリエーションが豊かで見ているだけでも楽しめます。
郊外にある砂箱は、基本的に季節にかかわらず設置されたままになっているそうです。もし、暖かくなって北海道にツーリングに行く機会があるときは、ちょっと変わった「砂箱」を探しながら走るのも楽しい旅になるかもしれません。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
知らなかった…!「滑り止め装着規制」と「チェーン規制」はベツモノ!? 「スタッドレス」タイヤはどこまで「対応可能」なのか?
くるまのニュース / 2024年11月28日 10時30分
-
「スゴい事故」発生も…「夏タイヤ履いてるなんて信じられんッ!」 批判の声多数! 夏タイヤで雪道走ると違反? 正しい交換時期の目安とは
くるまのニュース / 2024年11月23日 5時50分
-
車の「タイヤチェーン」なぜ“都市部”でも必要? 「スタッドレス装着」でも「必須」の場合も! 本格“冬シーズン”到来で準備したいこととは
くるまのニュース / 2024年11月19日 9時10分
-
ワークマンで滑らない冬に!2900円の氷雪耐滑ブーツは防水&暖かい!
&GP / 2024年11月16日 21時0分
-
北海道は局地的な強い雪が続く 明日朝は路面凍結にも注意
ウェザーニュース / 2024年11月7日 15時45分
ランキング
-
1AirPodsの音がぶちぶち途切れてしまう……原因は? 試すべき対処法はある?
オールアバウト / 2024年11月29日 21時25分
-
2一人暮らしの同僚は毎食「コンビニ弁当」です。「光熱費もかからないから、作るより安上がり」と言っていますが、そんなことないですよね?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月29日 5時50分
-
3ついに日本政府からゴーサイン出た! 豪州の将来軍艦プロジェクト、日本から輸出「問題ありません!」 気になる提案内容も明らかに
乗りものニュース / 2024年11月29日 6時12分
-
4Z世代が知ってる50代以上の女優 3位篠原涼子さん 2位天海祐希さんを抑えた1位は演技力半端ないあの人
まいどなニュース / 2024年11月29日 15時40分
-
5ワークマンの「着る断熱材」がスゴイ! 寒さも暑さも感じない「無感覚アウター(レディース)」を着てみた
Fav-Log by ITmedia / 2024年11月23日 9時50分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください