全部同じでは飽きを誘う 人気の軽ワゴンとハーレー新型に見る開発事情
バイクのニュース / 2023年12月27日 17時0分
レーシングドライバーの木下隆之さん(筆者)は、人気の軽ワゴン各種とハーレーの新型2機種、その開発事情の違いが興味深いと言います。どういうことなのでしょうか?
■微妙な仕様違いで低価格、ではツマラナイ
軽自動車の世界では、圧倒的な居住空間を備えた背の高いワゴンが人気です。ホンダは「N-BOX」と「N-BOXカスタム」をリリースし、販売で不動の首位を独走しています。ダイハツも「タント」と「タント・カスタム」をこのジャンルに送り込み奮闘。これまでは多くのファンに支持されていました。
ハーレー・ダビッドソン「X350」(左)/「X500」(右)
そしてこのジャンルに、スズキは「スペーシア」と「スペーシア・カスタム」を刷新して投入しました。フルモデルチェンジのタイミングがライバルのやや後発という意味では、後出しジャンケンのようでもあり、ヒットの予感がします。
それにしても、僕(筆者:木下隆之)がこのジャンルで興味深いと思うのは、この3メーカーすべてが、比較的ファニーな印象のベースモデルと、やや能動的なカスタムを用意していることです。あえて言うならば、女性的と男性的、家庭的とスポーツフィール、日常と非日常。二段構えのモデル構成としていることです。
3メーカーとも、標準モデルに対して野生的な造形のモデル名を「カスタム」としていることは、偶然ではないでしょう。
動力性能も同様な味付けであり、標準車はNAエンジン(ターボではない自然吸気エンジン)が主体であり、カスタムには強力なターボエンジンを与えていることも特徴です。
ただし、エンジニアリングには大きな違いはありません。例えばスペーシアを例にとれば、ベーシックモデルもカスタムも、走りを左右する点でタイヤの銘柄しか違いがないのです。
ターボが組み込まれているか否かによってパワー差があるのにも関わらず、ボディやフレームはもちろんのこと、サスペンションもスプリングも共通です。
厳密に突き詰めるならば、前後重量配分も絶対的なパワーも異なるわけですから、それぞれのサスペンション系に細工をしなければなりません。ですが、味付けの違いはタイヤの特性だけに頼っているのです。
これにはコストエフェクトに敏感な軽自動車という性質が影響しています。それぞれに作り分ければ、その分生産コストが高くなります。それは価格に転嫁せざるを得ません。それでは価格的な競争力に劣ります。そのため、タイヤだけの変更でフィーリングを色分けするという手法が取られているわけです。
というような昨今のクルマ開発事情に慣れていると、話題のハーレー・ダビッドソン新作である「X350」と「X500」の作り込みには腰を抜かしかけます。いずれも、正真正銘「ハーレー」ブランドであることに違いはありませんが、パワー特性の異なる並列2気筒エンジンを搭載しています。
フレームもサスペンション形式も異なります。タンクやシートの形状にも違いがあります。ハンドルの形状も、ウインカーの造形すら別のモノが組み付けられているのです。
ライディングフィールも異なります。「X350」はステップが後退しており、タンクを抱え込むようなレーサースタイルのライディングポジションであり、車体との一体感が強調されています。
一方の「X500」は、ステップは平均的な位置にあり、アップライトな姿勢になります。ハンドルは幅広く、それでいてヒラヒラと舞うように走ります。同じハーレー「X」シリーズでありながら、まったく違うバイクのようなのです。
そしてこの「X」シリーズの最大の売りは、安価であることです。「X350」が69万9800円、「X500」が83万9800円(いずれも消費税10%込み)。近い排気量クラスの国産バイクと、ほぼ同レベルの値付けです。
つまり、スペーシアの開発手法の例にあてはめれば、コストダウンを進めたはずなのに、わざわざ仕様を作り分けている。それでいて安価な設定に抑えている。その点が、じつに興味深く思えました。
ともあれ、金太郎飴のようにどれもこれもフィーリングが共通しているのも飽きを誘います。個性が溢れているという点では、歓迎すべきことかもしれませんね。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
新車150万円台で「6速MT」あり! イチバン安い「普通乗用車」どんなモデル? 「国産ダントツ安価」でも装備は必要十分! めちゃ“リーズナブル”な「トヨタ車」とは
くるまのニュース / 2024年11月23日 14時10分
-
なぜ「SUV風ハイトワゴン」人気になった? たった“6年”で「超売れ筋」へと変化… 「N-BOX」「タント」までも設定 「アウトドア仕立て」支持される理由とは
くるまのニュース / 2024年11月14日 20時10分
-
10月に「日本イチ売れたクルマ」は“軽”じゃない! 小型SUV&「背の高い軽」は根強い人気? 「トヨタ勢」はトップを席巻… 販売台数ランキング発表
くるまのニュース / 2024年11月8日 5時50分
-
約150万円! マツダの新型「5ドア・軽SUV」に注目! “鼓動”感じる「ターボエンジン」搭載&「大径ホイール」採用! 期待の「タフ顔モデル」フレアクロスオーバーとは!
くるまのニュース / 2024年11月5日 8時10分
-
スペーシア ギア vs N-BOX JOY!最新軽スーパーハイトワゴンのドッグフレンドリーポイント比較【青山尚暉のわんダフルカーライフ】
レスポンス / 2024年11月4日 18時30分
ランキング
-
1AirPodsの音がぶちぶち途切れてしまう……原因は? 試すべき対処法はある?
オールアバウト / 2024年11月29日 21時25分
-
2一人暮らしの同僚は毎食「コンビニ弁当」です。「光熱費もかからないから、作るより安上がり」と言っていますが、そんなことないですよね?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月29日 5時50分
-
3Z世代が知ってる50代以上の女優 3位篠原涼子さん 2位天海祐希さんを抑えた1位は演技力半端ないあの人
まいどなニュース / 2024年11月29日 15時40分
-
4「今、ここで死にたい」患者の言葉に医師はどう対応すべきか
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月30日 8時15分
-
5ワークマンの「着る断熱材」がスゴイ! 寒さも暑さも感じない「無感覚アウター(レディース)」を着てみた
Fav-Log by ITmedia / 2024年11月23日 9時50分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください