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フロントフォークの謎の蛇腹!「フォークブーツ」ってなに?

バイクのニュース / 2023年12月28日 9時10分

バイクの前輪を固定しているフロントフォークは、路面からの衝撃を吸収し、バイクの操作に大きく影響する重要なパーツ。このフロントフォークに、ゴムでできた蛇腹のパーツが取り付けられているのを目にすることがありますが、このパーツにはいったいどういった役割があるのでしょうか。

■謎の蛇腹パーツ「フォークブーツ」って?

 バイクは、大小さまざまな形をした多くのパーツによって造られています。そのうち前輪を固定しているフロントフォークは、路面からの衝撃を吸収し、バイクの操作に大きく影響する重要なパーツです。

フロントフォークに、ゴムでできた蛇腹の部品のことをフォークブーツというフロントフォークに、ゴムでできた蛇腹の部品のことをフォークブーツという

 このフロントフォークに、ゴムでできた蛇腹のパーツが取り付けられていることがあります。この謎の蛇腹のパーツは、いったい何のためにあるのでしょうか。

 バイクのフロントフォークに取り付けられている蛇腹のパーツは「フォークブーツ」と呼ばれるもの。すべてのバイクに取り付けられているわけではなく、現在ではクラシカルなスタイルのバイクに見られることがあるパーツです。

 愛車をスクランブラーな雰囲気にしたい場合などに、フォークブーツを取り付けるだけで簡単にイメージを変えられるのでバイクのカスタムとしても人気があります。パーツの価格も1000円前後、高くても5000円ほどなので、バイク初心者でも気軽にカスタムにチャレンジしやすい点も人気の秘密と言えそうです。

 フォークブーツはバイクの見た目を変えるパーツとして人気がありますが、本来の役割はフロントフォークの保護。保護するといってもフロントフォーク全体ではなく、主にインナーチューブの保護が目的です。

フロントフォークに採用されているテレスコピック式(写真:正立フォーク)フロントフォークに採用されているテレスコピック式(写真:正立フォーク)

 現在のほとんどのバイクのフロントフォークに採用されているのが、テレスコピック式というもの。テレスコピック式とは、望遠鏡(テレスコープ)のように重なり合った太さの違うパイプが伸び縮みすることで、サスペンションの役割をするフロントフォークのことです。望遠鏡のような見た目から、その名が付けられました。

 また、インナーチューブとは、テレスコピック式フロントフォークの細いほうのパイプのことを指し、太いほうのパイプのことはアウターチューブといいます。なお、テレスコピック式フロントフォークには、インナーチューブが上部にある「正立フロントフォーク」と、インナーチューブが下部にある「倒立フロントフォーク」の2種類があります。

 そして、フォークブーツが使われるのが正立フロントフォークのバイクです。インナーチューブの部分をフォークブーツで覆うことで、飛び石でキズがつくのを防いだり、サビや汚れを防止することができます。

 また、太さの違うフロントフォークの中にはオイルが充填されています。この内部にあるオイルとスプリングによって、路面からの衝撃を吸収し、跳ね返りの減衰力を生み出すダンパー機能が働く仕組みです。内部にはオイルが漏れないように、オイルシールという部品で密閉してあります。さらにフロントフォークの外側には、ダストシールというパーツがあり、ホコリやゴミなどが入らないように守られています。

しかし、オイルシールとダストシールはどちらもゴム製なので、劣化すると固くなったり、亀裂が入るなどしてオイル漏れのトラブルが起こる可能性があるというわけです。

異物が入るのを元から防ぐというのもフォークブーツの役割のひとつ異物が入るのを元から防ぐというのもフォークブーツの役割のひとつ

 そういったリスクの際も、蛇腹のフォークブーツが活躍します。広い範囲をカバーできるのでインナーチューブ全体を覆って、異物が入るのを元から防ぐというのもフォークブーツの役割のひとつです。

 しかし現在は、新車で販売されているバイクでフォークブーツを付けているのは、一部の車種に限られています。その理由としては、オイルシールとダストシールのメンテナンスをしていれば、フォークブーツがなくてもオイル漏れなどのトラブルはほぼ起きないからです。

 また、現在のテレスコピック式が登場したのは1949年で、それ以前のフロントフォークはスブリングがむき出しの状態のものでした。その頃の日本は未舗装の道路がほとんどで、少し走るだけでスプリングが汚れたり石が挟まったりなどしたため、フォークブーツを付けてガードするようになったのがはじまりです。

 テレスコピック式が普及し、外側にあったスプリングがフロントフォークの中に入れられるようになりました。こうしてスプリングを守るという本来の役割がなくなり、バイクに取り付ける意味がなくなったため、フォークブーツは使われなくなったようです。

 フォークブーツは、現在でもインナーチューブを守るという役割がありますが、それよりもバイクの見た目を変える目的で取り付けられることが多いといえるでしょう。自分でカスタムして取り付ける人が多いですが、現在販売されている現行モデルのなかにもフォークブーツを装着したモデルがいくつかあります。

現在販売されているフォークブーツを装着したモデルのホンダ「CL250」現在販売されているフォークブーツを装着したモデルのホンダ「CL250」

 たとえばホンダでは「GB350 S」「CL500/250」のほか、125cc以下のモデルでは「CT125ハンターカブ」「クロスカブ110/50」「スーパーカブ110/50 プロ」の5車種がラインナップ。また、カワサキでは「メグロK3」「W800」「エリミネーターSE」の3車種がフォークブーツ搭載モデルとなっています。

※ ※ ※

 フロントフォークの外側に付いたスプリングを保護するために使われていた「フォークブーツ」。時代の流れとともにその役割も変化し、現在ではバイクをクラシカルな雰囲気にするのに一役買っています。

 フォークブーツはあまり目立たないパーツですが、取り付けるだけで見た目にボリュームがでたり、力強いイメージを与えることができます。愛車のスタイルに物足りなさを感じている人は、フォークブーツを取り付けてカスタムしてみれば、印象がガラリと変わるかもしれません。

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