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小さなトレーに食事が凝縮された機内食で、「F1アブダビGP」に出会った

バイクのニュース / 2024年1月6日 12時10分

MotoGPの取材でヨーロッパへ移動する旅の中で、楽しみにしているのが「機内食」です。基本的に飛行機の中でしか食べられないし、1回の食事に関することが、小さなトレーに集まっている様子が、わたし(伊藤英里)は好きなのです。MotoGPバレンシアGP取材の道中では、機内食との出会いが8度ありました。

■何度食べても、ワクワクしてしまう

 機内食が好きです。どちらかと言えば、食べることへの興味が薄いくらいのわたし(伊藤英里)ですが、機内食は少し別です。ワントレーに全てが詰まっていることに、そそられます……。

成田空港からアブダビ国際空港までのフライトで、1回目にサーブされた機内食。クリームソースのペンネが美味しかった。成田空港発のフライトだったからなのか、カトラリーのほかに箸もついていた成田空港からアブダビ国際空港までのフライトで、1回目にサーブされた機内食。クリームソースのペンネが美味しかった。成田空港発のフライトだったからなのか、カトラリーのほかに箸もついていた

 小さなトレーの上には主菜があって、副菜、パンとバター、デザートがあります。それぞれの器はこぼれないように蓋がついていたり、アルミホイルで覆われていたりします。

 わずかな隙間にカトラリーと紙ナプキンが置かれ、味付けを追加するための塩と胡椒がどこかにこっそりといるのです。「食べること」が凝縮された場所でありながら、いつもの食事風景とはまるで違う……そんなところに惹かれるのです。

 機内食を食べるくらい長いフライトを経験するようになったのは、わたしがMotoGPの取材を始めてからのことでした。すでに何度も機内食を食べているというのに、未だにワクワクしてしまうから不思議です。

 そして2023年11月下旬、MotoGPバレンシアGPの取材のために乗った、バルセロナ(スペイン)と東京を往復する飛行機でも、やっぱりそわそわと機内食を待っていたのでした。

 成田空港を発って1時間ほど経ったころ、エティハド航空の機内食とご対面です。今回の取材では合計8食の機内食を味わいましたが、最初の機内食が、いちばん好みに合っていました。

成田空港からスペインのバルセロナ・エル・プラット空港まで、乗り継ぎのアブダビ国際空港の豪華さに度肝を抜かれる。そのへんにある椅子やソファまでデザインが凝っている成田空港からスペインのバルセロナ・エル・プラット空港まで、乗り継ぎのアブダビ国際空港の豪華さに度肝を抜かれる。そのへんにある椅子やソファまでデザインが凝っている

 キャビンアテンダントに「パスタとライス、どちらにしますか?」と聞かれ、パスタをチョイス。このとき「ああ、しまった」と、すぐに後悔しました。「これから日本食とはしばらくお別れなのだから、ライスにすればよかったなあ」と。けれど、クリームソースのペンネがとても美味しかったので、後悔なんてさっぱりと消えてしまいました。

 それから3回の機内食を食べて、スペインのバルセロナ・エル・プラット空港に着陸したのは、成田空港を発った翌日の朝7時30分でした。スペインの朝はまだ薄暗く、滑走路をゆっくりと移動する飛行機の窓から、きらきらと光る照明が見えました。

 往路で最後に食べた機内食は、おそらく朝食用メニューであろう「オムレツ」または「パンケーキ」という選択肢。いつもなら絶対に選ばないパンケーキをチョイスしたらジャムが甘すぎて、今度こそ後悔しました。逃げ場がない、絡みつくような甘さなのです。なんなら、胃まで「甘い」と感じている気さえします。甘いものが苦手だというのに、どうしてパンケーキを選んでしまったのか……。旅の時間は、少し自分を変えるのかもしれません。

アブダビ国際空港からバルセロナ・エル・プラット空港までのフライトで、2回目の機内食。パンケーキのメニューにもパンが付いている。パンケーキはパンに入らないのだろうか、と思うアブダビ国際空港からバルセロナ・エル・プラット空港までのフライトで、2回目の機内食。パンケーキのメニューにもパンが付いている。パンケーキはパンに入らないのだろうか、と思う

 MotoGPバレンシアGPの取材は9日間にわたり、バレンシアGPのあとに行なわれた、公式テストまでカバーしました。このころになると、「日本に帰ったら何を食べようかな」と考え始めます。

「卵かけごはん……寿司……ラーメン……」

 わたしは日本食から長く離れていられないのです。だから、復路の機内食への期待値は往路よりも低め。なぜなら、復路のエティハド航空では日本食らしいものが出てこないと分かっていたからです。このときわたしが求めていたのは、白いごはんと納豆、みそ汁なのです。

 けれど、復路のフライトではこんなことがありました。乗り継ぎのアブダビ国際空港から成田空港までのフライトで、機内食を受け取って食べようとすると、小さなケーキの上にチョコレートプレートが乗っていることに気が付いたのです。

 機内の薄暗い照明の下でよくよく目を凝らして見ると、「FORMULA1 ETIHAD AIRWAYS ABU DHABI GRAND PRIX」と書かれています。

アブダビ国際空港から成田空港までのフライトで提供された1回目の機内食のデザート。薄暗い機内でチョコレートプレートの文字が小さすぎたが、「FORMULA1 ETIHAD AIRWAYS ABU DHABI GRAND PRIX」を見逃さなかったアブダビ国際空港から成田空港までのフライトで提供された1回目の機内食のデザート。薄暗い機内でチョコレートプレートの文字が小さすぎたが、「FORMULA1 ETIHAD AIRWAYS ABU DHABI GRAND PRIX」を見逃さなかった

 わたしが取材した2023年シーズンのMotoGP最終戦、バレンシアGPが行なわれていた同じ週末に、アブダビではF1の最終戦が行なわれていて、エティハド航空がそのタイトルスポンサーだったようなのです。

 思いがけないところで「モータースポーツ」を見つけると、嬉しくなるものです。わずかな疑問は……往路ではこの小さな興奮に出会えず、最終戦がもう済んだところで出てきたということですが、きっと、些末なことでしょう。チョコレートプレートは甘かったけれど、味わい深い心持ちがしました。

 小さなトレーに1回の食事が詰まった機内食にも、発見があり、思いがけない楽しみがあります。だからきっと、いつもワクワクしてしまうのです。

 そうしてまた、次の機内食に思いを馳せるのでした。

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