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懐かしい車載専用バイク「モトコンポ」を知ってる?一体どんなバイクだったのか

バイクのニュース / 2024年1月11日 9時10分

ホンダは、2023年11月に折りたたんでクルマに積載できるバイク「モトコンパクト」を発売しました。実はこれは過去に販売されていた「モトコンポ」というモデルが復活した姿。モトコンパクトの基となった車両モトコンポとは、いったいどのようなバイクだったのでしょうか。

■折りたたんでクルマに積める!?「モトコンポ」ってどんなバイク?

 空前のバイクブームだった1980年代。とくに50cc以下の原付の人気は群を抜いており、各メーカーから次々に新たなバイクが登場して販売台数を大きく伸ばしていた時代です。

ホンダ「シティ」のトランクに積み込むことができた「モトコンポ」ホンダ「シティ」のトランクに積み込むことができた「モトコンポ」

 そんななか「モトコンポ」という、クルマのトランクに積める一風変わった折りたたみ式の原付バイクが、ホンダから販売されていました。昔のバイクが好きな人や年配のライダーであれば、一度は耳にしたことがあるバイクかもしれません。

 そしてホンダは、2023年11月にモトコンポを彷彿させる北米市場向けの「モトコンパクト」を発売しました。車名がよく似ているだけでなく、折りたたんでクルマに積むことができる点もモトコンポと同じです。

「モトコンパクト」は、ハンドルとシートを折りたたんで、平たい箱状のボディに収納可能「モトコンパクト」は、ハンドルとシートを折りたたんで、平たい箱状のボディに収納可能

 ハンドルとシートを折りたたんで、平たい箱状のボディに収納可能。折りたたんだ状態ではボディの厚さはわずか9.4cmしかなく、長さが74cm、高さ53.6cmで重量は約18.7kgで非常にコンパクトでスリムな車体が特徴です。また持ち運びしやすいように取っ手が装備されており、クルマに積み込んだり、ちょっとした移動でキャリーケースのように気軽に持ち運びができるようになっています。

 旧モデルとの大きな違いは、新型のモトコンパクトは電動モーターと内蔵されたバッテリーによって駆動する電動バイクということ。フル充電の状態から最大で約19kmの航続距離を実現し、アメリカの110Vの家庭用電源を使用し、3.5時間で充電が完了します。

「モトコンパクト」を楽しむMotoGP参戦中の中上貴晶選手「モトコンパクト」を楽しむMotoGP参戦中の中上貴晶選手

 そして最高時速は約24km/hとなっており、のんびり街中を移動するのに最適な性能です。価格は995ドル(約15万円)で、米国ホンダとアキュラのディーラーで購入できるようです。なお、日本での発売は現時点では発表されていません。

 では、新型モトコンパクトの原形となった「モトコンポ」とは、いったいどのようなバイクだったのでしょうか。

1981年に登場した原付一種トランクバイク「モトコンポ」1981年に登場した原付一種トランクバイク「モトコンポ」

 モトコンポは、レジャー需要が高まりつつあった1981年に登場しました。折りたたみ式のバイクといえば同社の原付モデル「モンキー」がすでに販売されていましたが、モトコンポは4輪車「シティ」のトランクにぴったり収まるよう、同時に開発された50ccの原付バイクです。

 そのため発売日も同じで、 “4輪+2輪” の6輪ライフをテーマに旅先でのレジャーを思う存分楽しんでもらおうというのがコンセプトでした。クルマにバイクを積むという斬新な発想は、2輪と4輪の両方を手掛けるホンダだからこそ生まれたアイデアだったのかもしれません。

モトコンポの折りたたまれた状態は、ボックス型のボディに前後のタイヤだけが取り付けられたようなルックスモトコンポの折りたたまれた状態は、ボックス型のボディに前後のタイヤだけが取り付けられたようなルックス

 モトコンポの折りたたまれた状態は、ボックス型のボディに前後のタイヤだけが取り付けられたようなルックスです。それを走行状態にするには、フラットなボディ上部にあるパネルをキーで外し、格納されているハンドルとシートをポップアップしてミラーとステップを固定すれば完成。小さな車体でシンプルな構造ながら、公道走行に必要な保安部品はしっかり装備されていたため、組み立てればすぐ走り出すことができました。

 トランクバイクとして設計されているため、超小型で軽量というのがモトコンポの最大の特徴です。全長は118.5cm、ハンドルとステップの収納時の高さは54cmで幅は24cmと、非常にコンパクトになります。さらに重量も42kgと一般の原付バイクに比べると軽量なため、大人の男性であれば持ち上げてクルマのトランクに積み込める重さでした。

 また、ボディが傾いても燃料タンクやオイルなどが漏れにくい構造になっているほか、車体サイドにフックが用意されていて、シティの荷台に固定できるようにデザインされています。

モトコンポのスペックは、49ccの2サイクルエンジンで最高出力は2.5ps、変速機のない自動遠心クラッチを採用モトコンポのスペックは、49ccの2サイクルエンジンで最高出力は2.5ps、変速機のない自動遠心クラッチを採用

 ちなみにモトコンポのスペックは、49ccの2サイクルエンジンで最高出力は2.5ps、変速機のない自動遠心クラッチを採用。そのため、安定して走れる速度は30km/h程度で、出せても40km/hがやっとの性能でした。

 今見るといろいろと新鮮に感じる点のあるモトコンポですが、当時は思いのほか売れずに販売は低迷していたそうです。背の高いトールボーイデザインのシティはよく売れたものの、モトコンポはディーラーの在庫処分として叩き売りされていた経緯があります。

 また当時の新車価格は8万円でしたが、不人気車として3万円まで値引きされたり、3色あったカラーを3台セット10万円で販売されていたこともあったようです。結局、セールスの不振は解消されないまま1985年に生産終了となりました。

 また原付バイクとしては軽いモトコンポですが、クルマのトランクに積み込むとなると40kgを超える重量がネックとなっていたようです。各メーカーから多くの原付が販売されていた時代だったため、日常的に使うならもっと性能の良いスクーターを購入するという人が多かったのも、あまり売り上げが伸びなかった理由かもしれません。

 しかし、生産終了の翌年に連載がスタートした漫画「逮捕しちゃうぞ」にモトコンポが登場したことで一躍脚光を浴びるように。その後、じわじわと人気が高まり現在では中古市場では、状態の良い車両になると50万円を超えることも珍しくないようです。

※ ※ ※

 ホンダのモトコンポは、シティのトランクに積み込めるように開発された原付バイクでした。しかし、実際にはクルマに積んでレジャーに出かけるという人はあまりいなかったようです。

 発売当時はまったく人気がなかったモトコンポですが、アウトドアブームの現代になってようやく、そのユニークな発想が認められるようになったといえます。そう考えると、モトコンポは時代を先取りしすぎたバイクなのかもしれません。

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