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フロントタイヤがリアタイヤよりも細いのはナゼ? それぞれの役目とは

バイクのニュース / 2024年1月16日 11時10分

世の中のほとんどのバイクは、どんなジャンルであれ後輪よりも前輪が細くなっています。なんとなく見た目のバランスが良いから? あまりにも普通過ぎて不思議に思いませんが、太い方がグリップが良いなら、ナゼ前輪は細いのでしょうか?

■どんなバイクも、前輪の方が細い

 バイクの前後タイヤを見ると、車種や排気量、スーパースポーツやネイキッド、オンロード/オフロードなど様々なカテゴリーによって多様なサイズが存在します。しかし、どんなバイクにも共通するのが「後輪が太くて前輪が細い」という点です。

ホンダ「レブル250」をベースにスクランブラースタイルをまとった「CL250」のタイヤサイズは、前輪が110/80-19で後輪が150/70-17となっている。前輪の幅は約110mm、後輪の幅は約150mmだホンダ「レブル250」をベースにスクランブラースタイルをまとった「CL250」のタイヤサイズは、前輪が110/80-19で後輪が150/70-17となっている。前輪の幅は約110mm、後輪の幅は約150mmだ

 少し調べてみると、国産のスポーツバイクの場合はおおむね1960年頃から、後輪が太く前輪が細いサイズになっています(ちなみに50ccのスクーターや実用車に限っては、前後輪で同じタイヤを履いている車両もアリ)。

 もう半世紀以上もこのレイアウトなので「そういうモノ」と疑問に感じないかもしれませんが、なぜ前輪は後輪より細いのでしょう? なんとなくタイヤ幅が広い方がグリップ性能が高い(滑りにくい)イメージがあり、それなら前輪も太い方が良いハズですが……。

■前後のタイヤは、役目が違う

 じつは前後のタイヤで太さが違うのは、それぞれの「役目」が異なるからに他なりません。

前輪は後輪よりも幅が狭いが、丸みの強い断面形状によって舵角が付いてバンクした際に必要なグリップ力を確保。前後輪で内部の構造なども異なる。写真はブリヂストンのスポーツツーリングタイヤ「バトラックスT32」前輪は後輪よりも幅が狭いが、丸みの強い断面形状によって舵角が付いてバンクした際に必要なグリップ力を確保。前後輪で内部の構造なども異なる。写真はブリヂストンのスポーツツーリングタイヤ「バトラックスT32」

 まず後輪は、エンジンが発揮する大きなパワー、大きな荷重を受け止め、路面に伝えるのが仕事です。直進時はもちろん、カーブの立ち上がりでは車体がまだバンクした状態でパワーを路面にしっかり伝え、強い旋回力や安定性を引き出すためには高いグリップ力が必要になります。そのため、排気量や馬力などに見合った太いサイズになります。

 それに対して前輪は、車体の傾き(正確には後輪の傾き)に追従して自然にハンドルが切れながら(専門的には「セルフステア」と呼ぶ)、「つっかえ棒」のような役目をしています。

 直進時も微妙に左右に切れながらバランスを取ることで、真っ直ぐ走ることができます。このように前輪は、つねにステアリング軸を中心として左右に首を振るように動いているので、路面に対してベッタリとグリップはしていません。むしろ自由に動くには軽量な方が有利で、後輪のように大きな荷重を受け持つわけではないので、それほど太さを必要としないのです。

 さらに専門的な部分では、旋回中の前輪は舵角(ハンドルが切れている)が付いた状態で後輪より外側の軌跡を通るため、それに合わせてキチンとグリップできる設置面積を確保できるように、後輪よりも丸みが強い断面形状になっています。

カワサキのスーパースポーツ「Ninja ZX-10R」のタイヤサイズは、前輪が120/70-17で後輪が190/55-17カワサキのスーパースポーツ「Ninja ZX-10R」のタイヤサイズは、前輪が120/70-17で後輪が190/55-17

 この前輪と後輪のそれぞれの役目は、どんなジャンルのバイクでも基本的には変わりません。そのため、どのバイクも後輪が太く、前輪が細くなるのです。

 また、前輪がもっともグリップ力を求められるのはブレーキング時ですが、強くブレーキをかけるのは車体がほぼ直立している状態に限られるので、やはりそれほどの太さは必要になりません。

 ロードスポーツ車(現行車で前輪17インチ)で比較すると、国産車も外国車も、おおむね排気量600cc以上の車両の前輪は、ほとんどが120/70ZR17M/C(58W)という同サイズで同規格のタイヤを装着しています。

■MotoGPマシンも小型ファンバイクも、やっぱり前輪が細い

 猛烈なパワー(公称250ps以上、実際は?)で最高速度350km/h以上で走る、ロードレースの頂点であるMotoGPマシンでは、最近はヒザどころかヒジまで擦るほど深く車体を傾けますが、やはり前輪が細いです。

ホンダのMotoGPワークスマシン「RC213V」も、やはり前輪の方が細いホンダのMotoGPワークスマシン「RC213V」も、やはり前輪の方が細い

 ちなみにMotoGPで使用されるタイヤは2016年からミシュランのワインメイクになっており、現在のタイヤサイズは前輪が12/60-17、後輪が20/69-17。コレはミシュランのレーシングタイヤ用の表記なので、市販タイヤのサイズ表記とは異なります。

 たとえばホンダのMotoGPマシン「RC213V」と市販スーパースポーツ「CBR1000RR-R FIREBLADE」シリーズのタイヤのサイズを比べると、後輪は外径が少しだけ大きくて幅はほぼ同じ、そして前輪はほとんど同じサイズです。

 対して、小型ファンバイクの中で人気を集めるホンダ「DAX125」では、小径で太い前後12インチのタイヤは、一見すると同じ太さに感じますが、前輪が120/70-12で後輪が130/70-12と、わずかに前輪の方が細いです。

 コミカルなスタイルを演出するためだけなら前後同サイズで良いのでしょうが、コレも前輪と後輪の役目をキチンと発揮する上での選択と言えるでしょう。

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