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【海外】イギリスのバイクの歴史が集約された『ナショナル・モーターサイクル・ミュージアム』

バイクのニュース / 2024年1月17日 19時40分

イギリスのバーミンガム近郊にある『ナショナル・モーターサイクル・ミュージアム』を訪れました。そこは、イギリスのバイクの歴史を知ることができる、貴重な資料が並ぶ素晴らしい場所でした。

■とにかく膨大!! 貴重な資料がぎっしり詰まっている

 2023年、わたし(伊藤英里)は8月下旬までの6カ月ほど、イギリス・ロンドンに滞在していました。ロンドンを拠点にしてMotoGPを取材することが滞在の大きな目的だったのですが、その間、できるだけバイクやレースに関連するミュージアムやイベントに足を運んでもいました。そして『The National Motorcycle Museum(ナショナル・モーターサイクル・ミュージアム)』は、訪れた場所のひとつです。

ミュージアムは5つのホールに分かれており、入口にはそれぞれのテーマが説明されているミュージアムは5つのホールに分かれており、入口にはそれぞれのテーマが説明されている

「イギリスにいるのなら、ナショナル・モーターサイクル・ミュージアムはマストですよ」と教えてくれたのは、『バイクのニュース』でもおなじみのモーターサイクル・ジャーナリスト、小林ゆきさんです。

 イギリスと言えば、シャーロックホームズ・ミュージアムとストーンヘンジばかりを思い浮べたわたしです。すぐさまそこに行く計画を練ったのでした。

 ナショナル・モーターサイクル・ミュージアムは、バーミンガム空港からほど近い場所にあります。バーミンガムはイギリス第2の都市と呼ばれる大都市で、ロンドンから北西へ約180kmの位置です。

 バーミンガム・インターナショナル駅でタクシーをピックアップしてミュージアムへ向かうよう伝えると、ドライバーさんに「どちらの建物に行くの?」と尋ねられました。

「“どちら”……?」

 質問の意味がわからず、「どういうこと?」と話を聞けば、ミュージアムには会議などが行なわれる建物が敷地内にあるのだそうです。

 到着してタクシーを降りると、確かに、すぐ隣にそれらしき建物がありました。この日も会議があったらしく、ミュージアムを楽しもうという雰囲気とは明らかに違った、びしっとスーツを着込んだ人たちが出入りしています。それを見ただけでも、かなり大きな敷地の中にある施設であるとわかります。

『The National Motorcycle Museum(ナショナル・モーターサイクル・ミュージアム)』『The National Motorcycle Museum(ナショナル・モーターサイクル・ミュージアム)』

 そして実際にミュージアムに入ってみると、やはり、かなりの大きさでした。入口をくぐり、カフェの中にある受付でチケットを購入します。入場料は、大人一般で15ポンドです。ミュージアムのホームページから事前に購入することもできますが、当日に買い求めてもまったく問題ありませんでした。

 チケットを購入する受付があるエリアはカフェやショップにもなっていて、仕事の第一線から退いたらしいイギリス紳士たちが談笑していたりもしました。ここにも、さりげなく歴史あるバイクが置かれています。

 ふと隅に目をやると、マン島TTレースのレースゲーム機がありました。画面は真っ暗。今でも稼働しているのでしょうか。確かめられなかったのが、なんとも悔やまれます。なにしろ今回は、閉館時間までミュージアムにかかりきりで、時間がなかったのです。

 ミュージアムのホールは5つに分かれており、それぞれにテーマが設けられています。ホームページの説明によると、1900年初頭以降のイギリスの歴史的なバイクが1000台以上も所蔵されているのだそうです。

 1984年にオープンしたミュージアムですが、2003年に起こった火災により、甚大な被害を受けました。ミュージアムのスタッフなどがバイクの修復に尽力して、火災から1年後の2004年12月に再オ―プンしたということです。

5つのホールは、それぞれが膨大な数のバイクで埋め尽くされている5つのホールは、それぞれが膨大な数のバイクで埋め尽くされている

 一度は大きな災難に遭いながら、これほど貴重なバイクがこれほどの数、集められていることに、ひどく感銘を受けました。メーカーの垣根を超え、イギリスのバイクが一堂に会している様子は圧巻です。

 年代ごとに並べられているので、チェーン、サスペンション、タンクの形、タイヤの形状、エンジンの排気量や馬力など、バイクがどのように進化していったのかを知る上でも、非常に貴重な場所だと感じました。

 じっくりと見ながら歩いていると、あっという間に時間が経ってしまいます。なにしろものすごい数のバイクが並んでいて、その1台1台が貴重なもので、そこに丁寧な説明が書かれているのですから。

 おまけに壁には、その時代の様子を撮影した写真が飾られているのです。当時のバイク乗りがどんな格好で走っているのか、どんな道でレースをしていたのか、戦時中、バイクがどんな役割を担っていたのか……これもまた貴重な資料であることは間違いありません。そしてなにしろ、膨大なのです。

バイクとともに、壁にはびっしりと当時の写真が張られてもいるバイクとともに、壁にはびっしりと当時の写真が張られてもいる

 ミュージアムの中に、ぽつんとソファが置かれていました。ぎっしりと並ぶバイクに囲まれながら、腰を下ろして一息つきます。もしかしたら、こうして同じように一息つく人がいるのかもしれないな……と思いながら。

 ミュージアムに展示された170のメーカーのうち、現存するメーカーは数えるほどしかありません。けれど、わたしはイギリスの街を歩いていて、日本とは少し違ったバイクの根付き方を感じていました。それは、時間の長さに比例するものだろう、とも。

 ナショナル・モーターサイクル・ミュージアムには、100年以上に及ぶイギリスのバイクの歴史と、それを裏付けるものが詰まっているように思います。

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