フロント21インチでオフも本気! スクランブラー1200Xなら旅先で出くわす難所もヘッチャラ
バイクのニュース / 2024年1月17日 12時10分
未舗装路も苦手にしない。いいや、ダートも好んで走りが楽しい。オフロード性能の高さに定評のあるトライアンフのスクランブラー1200シリーズが、2024年式で新型となりました。バイクジャーナリストの青木タカオさんは、日本の田舎道に多い舗装が荒れて、道幅の細いワインディングも気持ちよく走れると、好印象を持った様子です。
■人気のモダンクラシックが新型に!
トライアンフのスクランブラー1200シリーズが、2024年式でフルモデルチェンジされました。
トライアンフ『Scrambler 1200X』に試乗する筆者(青木タカオ)
ラインナップはスタンダードの『Scrambler 1200X』と、オフロードでの走破性を高めた上級仕様『Scrambler 1200XE』の2本立て。
スチール鋼管製ダブルクレードルフレームに、ボア・ストローク=97.6×80mmで排気量を1197ccとする水冷4ストSOHC4バルブ並列2気筒を搭載。最高出力90PS(66kW)/7000rpm、最大トルク110Nm/4250rpmは変わりませんが、XEは足まわりがより強化されています。
オフロードでの走破性を高めた上級仕様『Scrambler 1200XE』
両モデルとも、シンプルな丸いヘッドライトやニーグリップ部にエグリを入れた燃料タンク、クロススポーク仕様のホイール、座面が平らなダブルシート、2本出しのアップマフラーといった伝統的な装備で、普遍的かつトラディショナルなスタイルを持ちます。
そんなエイジレスなフォルムで人気を博すのが、トライアンフのモダンクラシック。往年のレトロスタイルを現代に踏襲しつつ、最新技術が盛り込まれています。
■由緒あるトライアンフのパラツイン
スクランブラーはトライアンフの伝統であり、筋金入りのバイク好きとして知られる名優スティーブ・マックイーンが映画「大脱走」(1963年公開)で鉄条網をジャンプし飛び越えたシーン(友人のバド・イーキンズによる)はあまりにも有名ですが、そのバイクこそトライアンフであり『TR6』というバーチカルツインエンジンを積んだモデルでした。
劇中でマックイーンが草原を駆け抜けたように、現代版スクランブラーもまたスタイルだけでなく、高いダート走破力を持っています。
フロントホイールをオフロードバイクが採用することの多い大径21インチを装備
注目はまず、フロントホイールをオフロードバイクが採用することの多い大径21インチとしている点です。未舗装路で衝撃を受けてもハンドルを取られにくく、穏やかな操縦性を発揮します。
ブロックパターンも選べるタイヤサイズ(90/90-21)で、トライアンフの開発陣がいかにダートでの性能を重視したかがわかるポイントとなっています。
XEの標準ノーマルタイヤは天候や路面を問わないエンデューロストリート Metzeler Touranceで、ラリーレイドのためのPirelli Scorpion Rallyをオプションで設定。選択肢は豊富で、撮影車は前輪をMetzeler Karoo Street、後輪(150/70-17)をKaroo 3にしていました。
■ゆったりとしたライポジ
今回乗ったのはスクランブラー1200X。身長175cm/体重66kgの筆者がまたがると、地面におろした足はカカトが若干浮くものの、シート前方が絞り込まれる形状などによって足つき性は悪くありません。シート高は820mmで、オプションで用意されるローシートなら795mmに下げることもできます。
スクランブラー1200Xのシート高は820mm、身長175cmの筆者がまたがると、地面におろした足はカカトが若干浮くものの、シート前方が絞り込まれる形状などによって足つき性は悪くない
幅広なバーハンドルがゆったりとしたアップライトな乗車姿勢をもたらし、大径21インチのホイールとストローク量に余裕のあるサスペンションの影響からライダーの視線を高くしています。
車体重量は228kgで、リッターオーバークラスであることを考えれば、押し引きなど取り回しで軽快感さえ感じさせてくれます。
スクランブラー1200XEは前後サスがさらに長いことから、シート高は870mmにアップ
スクランブラー1200XEは前後サスがスクランブラー1200Xよりも長いことから、シート高は870mmにアップ。車体重量は230kgとなります。
■リラックスしたままスポーティな走りも
足まわりの充実ぶりには、目をみはるものがあります。インナーチューブ径45mmの倒立式フロントフォークは、従来のショーワ製からマルゾッキへ変更。ホイールトラベル量は1200Xでは170mm、1200XEでは250mmと余裕がたっぷりとあります。
インナーチューブ径45mmの倒立式フロントフォークは、従来のショーワ製からマルゾッキへ変し、フレームはスクランブラー1200シリーズ専用設計
フレームはスクランブラー1200シリーズ専用設計で、マルゾッキ製ピギーバックリザーバータンク付きリヤサスペンションはXがプリロード調整機能付き、XEはフルアジャスタブルとしています。
ホイールトラベル量はフロント同様に1200Xが170mm、1200XEでは250mmと充分なものにしています。
1200Xでオンロードを走りましたが、舗装が荒れて砂が浮いているスリッピーな道も不安でアクセルを開けられないなんてことにならない
前後サスはスムーズに動き、路面追従性に優れます。1200Xでオンロードを走りましたが、舗装が荒れて砂が浮いているスリッピーな道も不安でアクセルを開けられないなんてことになりません。
不等間隔爆発となる270度位相クランクのパラレルツインはトラクション性能に優れ、小気味よい鼓動とともにスロットルレスポンスの良さを感じつつ、路面にしっかりと駆動力を伝えてくれます。
パンチの効いた力強さを持ちながら、トルクにムラがなく扱いやすいので、肩の力を抜いてスポーツライディングが楽しめます。
1200ccの大排気量車であることを忘れさせてくれるほど、リズミカルにコーナーを駆け抜けることができる
ツーリング先で出くわす曲がりくねった細い道も軽快。1200ccの大排気量車であることを忘れさせてくれるほど、リズミカルにコーナーを駆け抜けることができるのでした。
■進化した電子制御
新型スクランブラー1200X/XEは電子制御も大きく進化し、コンチネンタルとの共同開発による高性能な慣性計測ユニット(IMU)が、コーナリングABSやトラクションコントロールを司ります。
ライディングモードは「スポーツ」「ロード」「レイン」「オフロード」「ライダー(任意に設定)」の5つが選ぶことができる
ライディングモードは「スポーツ」「ロード」「レイン」「オフロード」「ライダー(任意に設定)」の5つが選べ、1200ではTFT/LCDハイブリッド多機能メーターで、12000XEはフルカラーTFTメーターを見ながらハンドスイッチによって直感的に設定できる点も報告しておきましょう。
また、XとXEの相違点はブレーキ周りにもあり、フロントは1200Xがニッシン2ピストンアキシャルキャリパー+310mmディスクであるのに対し、1200XEはブレンボ4ピストンM4.30ラジアルキャリパー+320mmディスクにアップグレードされています。
リヤブレーキはニッシン製シングルピストンフローティングキャリパー+255mmローターで、スイングアームは両モデルともアルミ製。ただし、1200XEはアルミ地を活かしたソリッドな仕上げとなっています。
■車体色を含め大いに迷う
見た目だけでなく、ダートを含め走りの性能を追求し、高い次元で獲得しているスクランブラー1200シリーズ。車高が上がることを苦にせず、旅先でオフロードも積極的に入っていきたいのなら1200XE、オンロード重視で足つき性も重視するのなら1200Xというチョイスになると思います。
トライアンフ『Scrambler 1200X』と試乗を終えた筆者(青木タカオ)
『Scrambler 1200X』が186万2000円~、『Scrambler 1200XE』は208万8000円~。価格を含め、両モデルともとても魅力的です。
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