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心地よい旋回を生み出すマツダの制御技術と、身体でこなすバイクの前輪荷重

バイクのニュース / 2024年1月24日 16時50分

レーシングドライバーの木下隆之さん(筆者)は、バイクはカラダをフロントタイヤに預けると気持ちよくコーナリングできる気がすると言います。どういうことなのでしょうか?

■クルマもやってる荷重移動

 バイクはバランスで走る乗りものだと僕(筆者:木下隆之)は認識していますが、カラダをフロントタイヤに預けるようにしてコーナリングを始めると、旋回が鋭く感じるから不思議です。体重をかけ過ぎるのも不安ですが、ちょっとだけ前屈みになるだけで、気持ちよくコーナリングができるような気がします。

マツダの制御技術「G-ベクタリング・コントロール」に、ブレーキによる車両姿勢安定化制御(直接ヨーモーメント制御)を追加した「G-ベクタリング・コントロール・プラス」の作動イメージ(MAZDA公式動画より)マツダの制御技術「G-ベクタリング・コントロール」に、ブレーキによる車両姿勢安定化制御(直接ヨーモーメント制御)を追加した「G-ベクタリング・コントロール・プラス」の作動イメージ(MAZDA公式動画より)

 おそらく前輪荷重が増えることで、フロントタイヤの反応が良くなるからではないかと推察します。タイヤのグリップはある程度までは荷重に比例して高まるものです。タイヤを路面に押しつけることで、タイヤの性能が引き出しやすくなるというわけです。

 マツダのクルマは、その特性を巧みに利用しています。マツダ車のほとんどに組み込まれている「G-ベクタリング・コントロール・プラス(G-Vectoring Control Plus)」は、前後輪の荷重変化を意図的に発生させることで、旋回性能を高めるものなのです。

 たとえば、ある一定の速度で走行しながらコーナリングを開始したとします。ドライバーがステアリングを切り込んだことを判断すると、クルマが自動でエンジンパワーを絞ります。ドライバーがアクセル操作をしていないにも関わらず、です。

 それによってクルマはわずかに前のめりになります。同時に前輪荷重が増え、ハンドルの切れ角以上に応答性を高めるというわけです。

 とはいうものの、穏やかなドライビングで制御を感じることはほとんどありません。日常のドライビングではドライバーが気がつかない程度に優しく応答性を高めるものなのです。

 ややラフに操作すれば、確かに減速感を伴うことで制御を意識することはありますが、G-ベクタリング・コントロール・プラスは速く走るための機能ではなく、スムースに走ることを目的に開発されているので、過剰な制御感覚はありません。

 マツダのスポーツカーにももちろん組み込まれていますが、とくにスポーツ走行を意識することのないSUVにも採用していることがそれを証明しています。

 大袈裟なシステムを組み込む必要がないことも特徴です。コンピュータにそうするようにプログラミングしているだけですから、重量増を招くわけでもありません。コストアップも発生しません。

 強制的に前後輪の駆動トルクをコントロールすることで旋回性を整えている機能も存在しますが、マツダはこの軽微な制御で優しく操縦性能を整えているというわけです。

 ことほどさように、荷重変化はその度合いがわずかであっても、確かに有効です。体重移動がダイレクトにコーナリングフィールに反映されるバイクであれば、この理論を活用しないのは残念ですね。

 カーブに差しかかったら、ちょっとだけ前屈みになって、フロントのタイヤに体重を預けてみると、よりスムースなコーナリングができるかもしれません。

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