クルマでは一般的なのに、なぜバイクには「ターボ」が無いの?
バイクのニュース / 2024年1月30日 11時10分
現代のクルマはスーパーカーから軽自動車まで「ターボ」を装備するモデルが多くありますが、なぜバイクには無いのでしょうか? ターボでパワーが出るなら、バイクもターボ付きがあっても良いと思いますが……。
■ごく短期間、ターボ付きのバイクは存在した
「ターボ(ターボチャージャー)」は「過給機」の一種です。バイクやクルマのガソリンエンジン(内燃機関)は、空気とガソリンを混ぜた混合ガスを“吸い込み”、爆発してパワーを発生します。対する過給機付きのエンジンは、混合ガスを“押し込む”ことで、より大きなパワーを発揮します。ちなみに前者をNA(自然吸気)エンジン、後者を過給エンジンと分けて表現することもあります。
市販量産車初のターボバイクであるホンダ「CX500 TURBO」(1981年)は、排気量498ccの水冷V型2気筒エンジンにターボチャージャーを装備し、ホンダ初の電子制御式燃料噴射装置によって最高出力82馬力を発揮。翌1982年には排気量を673ccに拡大した「CX650 TURBO」(100馬力)を発売
ターボの構造を簡単に解説すると、排気ガスの力で風車を回し、その風車と同軸に備わった空気ポンプが吸気を圧縮してエンジンに押し込みます(過給する)。
元々は空気の薄い高空を飛ぶ飛行機のために開発された技術ですが、クルマの場合は同排気量の自然吸気エンジンより大きなパワーを出せるのがメリットです。
熟年ライダーなら記憶があるかもしれませんが、1970年代に盛り上がった“スーパーカーブーム”では、多くの高性能スポーツカーがこぞってターボを採用していました。
国産乗用車では、1979年に日産のグロリア/セドリックが初めてターボを装備。当時はオイルショックでガソリン価格が高騰していたため、ハイパワーよりもターボのもうひとつのメリットである省燃費をウリにしていました。その後、続々とターボ車が増加して現在に至る……という形です。
しかしバイクにおいては、現在はメーカー製の市販量産車で「ターボ」を装備したバイクは存在しません……が、過去には日本の4メーカーでターボ装備のバイクを販売していました。ただし、いずれも輸出専用車だったので、国内モデルとしては販売されませんでした。
ヤマハ「XJ650 turbo」(1982年)は、排気量653ccの空冷4気筒エンジンにキャブレターで燃料供給し、最高出力は90馬力を発揮
世界初の市販量産ターボ車は、1981年にホンダが発売した「CX500 TURBO」でした。翌1982年にはヤマハが「XJ650 turbo」、スズキが「XN85」を発売しました。
じつは1981年に開催された東京モーターショーには、カワサキのプロトタイプ車も合わせて、国内4メーカーのターボバイクが揃って展示されたのです。その後カワサキは、1984年に市販モデルの「750 TURBO」を発売しました。
国内の4輪乗用車でターボ車が登場して間もなく、ターボバイクも発売されて最高出力はいずれもベースとなったエンジンの1.5倍ほども発揮していました。にもかかわらず、ターボバイクはどのメーカーもほぼ一代限りで生産終了し、その後は市販されていないのです。
■なんでターボバイクは流行らなかった?
クルマ(4輪乗用車)はターボが盛り上がったのに、なぜターボバイクはほぼ一代限りで姿を消してしまったのでしょうか?
スズキ「XN85」(1982年)は、排気量673ccの空冷4気筒エンジンで最高出力85馬力を発揮
原因は色々と考えられますが、まず当時の日本ではターボバイクの認可が下りず、逆輸入車しか購入できませんでした。しかも当時の免許制度では大型自動二輪免許(正しくは自動二輪免許の「限定解除」)は運転試験場の“一発試験”でしか取得できず、現実的に排気量400ccを超える大型バイクに乗るのが困難だったこともあります。
また、ターボ特有のスロットルを開けた瞬間のタイムラグ(ターボラグと呼ぶ)が、バイクという乗り物の特性に合わなかった部分も大きいでしょう。ちなみに、現在の4輪ターボ車は技術の進化によって、ほとんどターボラグを感じないレベルになっていますが……。
ほかには、ターボチャージャーや補器類などによる重量増も、軽さを美徳とするバイクには不向きだったとも言えます。
カワサキ「750 TURBO」(1984年)は、排気量738ccの空冷4気筒エンジンで最高出力112馬力を発揮
このように、諸々の事情でバイクのターボは普及しませんでした。
時代は流れ、現代の1000ccクラスのスーパースポーツモデルは、ターボ無しで200馬力以上を発揮するようになりました。また小中排気量車も十分なパワーを発揮し、良好な燃費も実現しているため、いまではバイクにおいてはターボの有効性が少ない……とも考えられます。
そして発売当時もかなりレアな存在だったターボバイクは、現在はコアなファンに珍重される存在となっています。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
5リッター「V8・NA」搭載! レクサス「最新スポーツ“セダン”」に反響多数!? 「本当に良い」「あっぱれ」 もはや“国宝級ユニット”搭載の「IS500」は今欲しい1台か
くるまのニュース / 2024年9月26日 10時40分
-
全長3.6m! ダイハツの新型「爆速コンパクトカー」復活に期待大! 超スパルタンな「ターボ×四輪駆動」採用した“走り特化”モデル「クロス4」が凄かった!
くるまのニュース / 2024年9月22日 11時10分
-
「縦置きエンジン」ってナニ? どこが「タテ」なの?
バイクのニュース / 2024年9月13日 11時10分
-
「V型16気筒エンジン」搭載したスーパーセダン! 400馬力を“6速MT”で操る「爆速モデル」が楽しそう! “世界最強セダン”目指した「7S」とは
くるまのニュース / 2024年9月2日 22時10分
-
他を寄せ付けないほどの人気を博したツーリングワゴン! スバル2代目「レガシィ ツーリングワゴン」とは
バイクのニュース / 2024年9月1日 17時10分
ランキング
-
1使用済みのペットボトルを「水筒代わり」に使用している母。不衛生な気がするのですが節約になるのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年9月26日 6時0分
-
2ラブホ従業員が驚いた客の行動「高齢者の団体が“12時間”のフリータイムを利用して…」
日刊SPA! / 2024年9月26日 15時52分
-
3ノートパソコンが壊れてしまう前兆・サインはある? 分かりやすいポイントをパソコンのプロが解説
オールアバウト / 2024年9月26日 20時15分
-
4「うわっ!」と思わず声が…山間部に突如現れる珍名所「アダルト保育園」。中には「だんみつの部屋」も
日刊SPA! / 2024年9月26日 15時51分
-
5ギャル曽根の「さつまいもの食べ方」が至福すぎる “調味料2つだけ”これは覚えたい
Sirabee / 2024年9月24日 4時30分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください