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「トラッカー」……フラットトラックレーサーを元ネタにしつつ、日本で独自に進化したカスタムスタイル カスタム用語集Vol.21

バイクのニュース / 2024年1月26日 17時10分

2000年代のバイクシーンといえば、ストリートバイクブームを思い浮かべる人も多いでしょう。当時は、トラッカーカスタムを施したTWやSRが街に溢れました。では、この「トラッカー」とはどのようなカスタムなのでしょうか。

■ FTR250の代用カスタムとしてTWに注目!?

 TWやSR、FTRにグラストラッカーといったストリートバイクは、これまでバイクに興味がなかった若者をも巻き込んで、一大ブームとなりました。ストリートバイクの多くは幅広いハンドルやフラットシートを装着し、エアクリーナーボックスを取り払った軽快なカスタムが施されていました。それが「トラッカー」と呼ばれるカスタムスタイルです。

SR400をベースにしたトラッカーカスタム。フラットシートをはじめ、レーサーのイメージは薄いと言えるでしょう。(カスタム製作:モーターガレージグッズ)SR400をベースにしたトラッカーカスタム。フラットシートをはじめ、レーサーのイメージは薄いと言えるでしょう。(カスタム製作:モーターガレージグッズ)

 ストリートバイクが注目を集めたのは、ファットタイヤを履いた独自のスタイルを持つトレールバイク・TW200をベースにしたカスタムがきっかけでした。不人気車だったTWを格安で入手した若者がハンドルやシートなどを交換し、街中の足として乗り出したのです。

 ただし、もともと彼らはTWに乗りたかったわけではないようです。本当に注目されていたのは、1986年にホンダが発売したFTR250。アメリカのフラットトラックレーサーを強く意識したスタイリングで登場しましたが、当時、フラットトラックレースは日本ではほとんど馴染みがなく、一度もモデルチェンジをすることなく生産を終了してしまったのです。

 ところが1990年代後半、東京の一部の若者がFTR250に注目。ファッションの一部として乗るようになったのです。しかし、当時からほとんど現車がなかったため、FTR250に乗るライダーを見て真似したいと思っても車両がない……。そこでTWをベースにしたカスタムマシンが代用車として選ばれたのです。

■ ストリートカスタムブームでスタイルを確立

トラッカーは街中での乗りやすさを重視するため、トラッカーハンドルはマストですトラッカーは街中での乗りやすさを重視するため、トラッカーハンドルはマストです

 トラッカーカスタムはSRやエストレヤなど、他の空冷単気筒モデルにも波及していきます。さらにホンダから空冷単気筒223ccエンジンを搭載したFTRが発売。スズキはグラストラッカーを発売し、本格的なストリートバイクブームへと突入していくのです。

 しかし、いわゆる「トラッカーカスタム」はあくまでもTWカスタムがイメージのベースであり、FTR250はもちろん、アメリカのフラットトラックレーサーをオマージュしているわけではありません。そのため、幅広のダートトラックハンドルこそマストアイテムにはなっていますが、フラットシートの装着など、レーシーなイメージとはかけ離れたスタイリングが主流になりました。レーサースタイルを意識したFTRですら、当時はサイドカバーを取り払い、フラットシートを装着したカスタムが人気だったのです。

 トラッカーとは、フラットトラックレーサーである「ダートトラッカー」を略し名称ではありますが、決してレーサーレプリカではない……独自のスタイルを持つカスタムなのです。

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