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不動車のホンダ「ベンリイC92」をエンジンのプロがレストア! お気に入りのキャブレターを取り付け【vol.8】

バイクのニュース / 2024年1月31日 10時10分

老舗内燃機屋「井上ボーリング」で、年間700台ものヘッド再生を行うベテランヘッド技師が、不動車となったホンダ「ベンリイC92」の再生とモディファイを行う連載。第8回目は、お気に入りのキャブレターを限られたスペースに収まる様に取付けます。

■キャブレターマウント用のマニホールドを制作

 数年前に会社で誰でもエンジョイ耐久 “DE耐!”に参加していた時期があり、その際に使って以来すっかり気に入ってしまい、自分のスズキ「GS750」にも組み込んでいる、ヨシムラ製MJNキャブレター。

 DE耐のマシン用キャブレターはミクニ製のTM-MJNとケイヒン製のCRmini-MJNの2種類があり、絶対的なパワーではCRmini-MJNの方が上でしたが、セッティングの許容範囲が広くて楽な上に、燃費も優れるTM-MJNはフラットバルブのお陰で前後長が短く、インストールしやすい為、ベンリイC92にピッタリなのです。

左:TM-MJNキャブレターと右:C92純正キャブレター左:TM-MJNキャブレターと右:C92純正キャブレター

 しかしながら、ベンリイC92純正キャブレターは本体を直接シリンダーヘッドにナットで留める構造で、前傾したシリンダーヘッド側の取り付け面が垂直になっていて、水平にマウントされますが、TM-MJNはインテークマニホールドにゴムパイプで接続する構造な上に、ベンリイCD125のキャブレターは前傾された状態でマウントされる為、ヘッド側の取り付け面も前傾しています。

 またベンリイC92はキャブレター後方のフレームカバーがデザイン上のポイントになっており、シリンダーヘッドとフレームカバーの間に収まらなければ、取り付ける事ができません。

キャブレター後方のフレームカバーはC92のデザインに不可欠キャブレター後方のフレームカバーはC92のデザインに不可欠

 出来合いのインテークマニホールドで都合よく使える物などある筈も無いので、これはアルミの端材から旋盤やフライス盤等を使い、削り出す事にします。

 ゴムパイプ取り付け部は既製品と同寸法としつつ、フランジ部は出来るだけ短くなるように製作。角度は製作途中でシリンダーヘッドにあてがって、クランクケース上面と垂直になるように何度も確認し、微調整をしていきました。

■フレームカバーの加工

インテークマニホールドをアルミの端材から削り出して制作インテークマニホールドをアルミの端材から削り出して制作

 何とかTM-MJNキャブレターを水平にマウント出来るようになりましたが、フレームカバーをあてがってみると、僅かにキャブレターに干渉して、付けられなかったので、当たる部分をリューターで削って無事に取り付ける事が出来て、ひと安心。

 キャブレターの位置が10㎜ほど高くなっていますが、これくらいなら問題は無さそうです。

干渉部分をリューターで削って無事にフレームカバーを取付け干渉部分をリューターで削って無事にフレームカバーを取付け

 ここまでの作業でエンジンを車体に載せる準備は整いましたが、まだ車体側が手付かずの状態なので、次回は車体側の状態確認や、手直しの作業を紹介します。

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