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ベスパ「GTS」シリーズの魅力 「クラシック150」と「スーパースポーツ300」で実感

バイクのニュース / 2024年2月3日 11時10分

イタリアの老舗ブランド「Vespa(ベスパ)」がラインナップする「GTS」シリーズの中から、排気量が異なる「GTSクラシック150」と「GTSスーパースポーツ300」に試乗しました。

■ホンダ「スーパーカブ」との共通点

 イタリアの老舗ブランド「Vespa(ベスパ)」が手がけるスクーターには、大昔からラージボディとスモールボディの2種類が存在します。近年のラージボディの代表格は「GTS」シリーズで、2005年の登場時は排気量250ccクラスのみでしたが、後に125cc/150cc/300ccが追加され、現在の日本では「クラシック150」、「スーパー150」、「スーパースポーツ300」、「スーパーテック300」、という4機種がラインナップしています。

ベスパ「GTS Super Sport 300」に試乗する筆者(中村友彦)ベスパ「GTS Super Sport 300」に試乗する筆者(中村友彦)

 当記事で紹介するのは「クラシック150」と「スーパースポーツ300」で、試乗前に2台の細部をじっくり観察した私(筆者:中村友彦)は、以前から抱いていた大雑把で突飛な持論、“ベスパはイタリアのスーパーカブ説”……を思い出しました。

 と言うのも、ベスパとホンダの「スーパーカブ」には、時代に応じてさまざまな変化を遂げつつも、昔ながらの特徴を頑なに守り続けてきた、という共通点があるのです。

 まずベスパは、伝統の「2ストローク単気筒エンジン+ハンドチェンジ」を1980年代から段階的に廃止しましたが、1946年型「Vespa 98」に端を発する「スチール製モノコックフレームと片持ち式フロントサスペンション」を現在も維持しています。

 そしてスーパーカブは、2000年代に「スチール製バックボーン+プレスモノコック構造のフレーム」と決別しながらも、「4ストローク水平単気筒エンジン+自動遠心式クラッチ」という構造は1958年型「C100」から変わっていません。

 もちろん、日常域を重視した特性や愛嬌抜群のルックスも、ベスパとスーパーカブに通じる魅力です。まあでも、厳密に言うならスーパーカブに近いベスパは、当記事で取り上げるラージボディではなく、車重が軽くて排気量が125/150ccクラスのスモールボディのほうでしょう。

■2023年型で堅実な仕様変更を実施

 歴史やキャラクターに加えて、モデルチェンジ後の変更点が門外漢には分かりづらいことも、ベスパとスーパーカブの共通点と言えそうです。

ベスパ「GTS Classic 150」に試乗する筆者(中村友彦)ベスパ「GTS Classic 150」に試乗する筆者(中村友彦)

 例えば「スーパーカブC125」は、2022年型でエンジンの変更を筆頭とする地道な改善を受けていますが、外観から2021年型以前との差異が判別できる人は決して多くはないはずです。

 そしてベスパの「GTS」シリーズも、2023年型で足まわりの刷新や灯火類のフルLED化、スマートキーやトラクションコントロールの導入といった進化を遂げているのですが、パッと見の印象は従来型とあまり変わりません。

 そういった事実を考えると、この2機種にとって変化は必ずしも良いことではないのでしょう。と言うより、そもそもベスパとスーパーカブオーナーの多くは、改善はOKでも、劇的な変化は望んでいないと思います。

 今回試乗する「クラシック150」は、2023年から新たにラインナップに加わったモデルですが、価格が同じ64万9000円の兄弟車、「スーパー150」との違いは各部のカラーのみです。一方の「スーパースポーツ300」は、他機種ではメッキ/バフ仕上げのパーツをブラックアウトしていることが特徴で、価格はTFTメーターを装備する「スーパーテック300」より3万3000円安い88万円です。

■モノコックフレームならではの乗り味

 ホイールベースが1334mmで車重が120~130kg前後のスモールボディと比べれば、車格が大きくて車重が重いのに、「クラシック150」(=1385mm・150kg)と「スーパースポーツ300」(=1380mm・163kg)は、他社のスクーターとは一線を画する、キビキビしたフィーリングを味わわせてくれます。その理由としては、座面が高めでウレタン硬めのシート、自然に背筋が伸びるライディングポジション、前後12インチのタイヤなども挙げられますが、一番大きな要素はモノコックフレームでしょう。

ベスパ「GTS Super Sport 300」カラー:グリーンオリーブベスパ「GTS Super Sport 300」カラー:グリーンオリーブ

 逆に言うなら、外装が骨格を兼ねるモノコックフレームは、パイプフレーム+樹脂製外装の一般的なスクーターとは異なる資質を備えているのです。もっとも現在の基準で剛性や運動性などを考えるなら、モノコックはパイプより必ずしも優位ではありません。また、モノコックフレームを採用するすべてのスクーターが、ベスパに通じる乗り味を実現しているわけでもありません。

 とはいえ、ベスパのキビキビしたフィーリングには、モノコックフレームが確実に貢献しているはずです。そしてこの骨格の勘所を熟知しているからこそ、同社のスクーターは他社のライバル勢とは一線を画するダイレクト感や軽快感、操る楽しさが味わえるのだと思います。

■速さの300と、軽さの150

 実際に「GTS」シリーズを購入するとなったら、悩みの種になるのが、150と300のどちらを選ぶかです。もちろん、速さでは最高出力が23.8HPの300(150は15.6HP)、軽さなら150に軍配が上がるのですが、2台を同条件で比較しなければ、150のパワーに物足りなさを感じることや、300の重さ(と言っても、他社の250ccスクーターより軽量)がマイナス要素になることは無さそうです。

ベスパ「GTS Classic 150」ベスパ「GTS Classic 150」

 ちなみに現在の私は、僅差で150に軍配を上げたい……ような気がしています。

 と言うのも、個人手に昔から大より小に惹かれる傾向があって、例えばホンダ「PCX」やヤマハ「NMAX」なら兄貴分の160や155より弟分の125、ハーレーダビッドソンの「スポーツスター」なら、1200より883に好感を抱いていました。

 言ってみれば、シャシーがエンジンに勝っているキャラクターが好みで、「GTS」の場合は300より150のほうが、モノコックフレームならではの魅力が分かりやすいと感じたのです。

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