これって違反じゃないの？ バイクで大音量を流しながら運転する行為

大きなスピーカーを積み、大音量で音楽を流しながら走るバイクを見かけた事があると思います。この、大音量で音楽を流しながらバイクに乗る行為は、何らかの違反に問われないのでしょうか。

■迷惑行為となるか判断するための、明確な数値は存在しない

　バイクはクルマのように遮るものがなくオープンなので、スピーカーから音楽を流しながら走行すると音が周囲に丸聞こえになってしまいます。

　しかしバイクの走行中はヘルメットの着用が必須。スピーカーから音楽を流していたとしても、ヘルメットに遮られてうまく聞き取るのは難しいでしょう。ヘルメットを着用したままスピーカーからの音楽を聞くためには、かなり大きな音量で再生しなければなりません。

　そうなれば騒音と化して周囲に迷惑をかけてしまう可能性もありますが、この行為は法律や規制に引っかかる事はないのでしょうか。

バイクのスピーカーに関する具体的な規定はなく、大音量で音楽などを再生していても違反にはならない

　実はバイクのスピーカーに関する具体的な規定はなく、大音量で音楽などを再生していても違反にはなりません。しかし、道路交通法の第70条には「道路、交通および当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」と規定されていて、大音量で音楽を聴くことで安全運転義務違反とみなされることもあるようです。

　とはいえ違反の基準となる音量は明確化されていないため、取り締まりは警察官個人の判断によることが多いようです。

　一方で、自治体ごとの騒音に対する規定は決められており、たとえば東京都道路交通規則第二章第8条によると、「高音でカーラジオ等を聞き、又はイヤホン等を使用してラジオを聞く等安全な運転に必要な交通に関する音又は声が聞こえないような状態で車両等を運転しないこと」と明記されています。

　つまり消防車や救急車などの緊急車両の音や、パトカーからの警察官の指示音声、他の車両が警告のために鳴らしたクラクションの音などを聞き取れないほどの音量で、音楽などを再生する事は違反に該当するという訳です。

消防車や救急車などの緊急車両の音や、パトカーからの警察官の指示音声、他の車両が警告のために鳴らしたクラクションの音などを聞き取れないほどの音量で、音楽などを再生する事は違反に該当する

　また環境省による「自動車騒音の規制」というものも存在。バイクの場合は国際基準「R41-04」に調和した規制が設けられており、主にマフラー音に対する規制が厳しく設定されています。

　排気量や年式により音量の規定値は異なるものの、規定値よりも大きい音量で走行している場合は「整備不良」とみなされ、取り締まりの対象となります。

　つまりマフラーからの音量やスピーカーからの音量も、騒音とみなされない音量で走行することが必要であるということです。

■周りに迷惑をかけずに音楽を楽しみながら走行する方法は？

　では、周囲に騒音とみなされないように音楽を聴くには、どうすればよいのでしょうか。身近なアイテムとして真っ先に挙げられるのが、イヤホンの使用です。

　では、バイクの運転中にイヤホンを使用することは違反には当たらないのでしょうか。

イヤホンの使用は周囲の音が確認できれば問題はない

　東京都交通規則にもあったように、イヤホンの使用は周囲の音が確認できれば問題はありません。しかし、カナル型などの密閉性の高いイヤホンは周囲の音を感知しづらくなるため、バイクに乗る際は使用を避けた方が無難です。ただし、中にはイヤホンの使用自体、禁止されている地域もあるよう。

　ツーリングなどで県をまたぐことによって取り締まりの対象となる場合があるので、イヤホンの使用自体できるだけ避けたほうがよさそうです。また各都道府県によっても規定は細かく異なるので、お住いの地域はどのような規則があるのか確認しておくことも大切。

　イヤホン以外の周囲に迷惑をかけずに音楽を楽しめる方法として、ヘルメット内部にスピーカーを内蔵する方法や、インカムを使用して音楽を楽しむという方法もあり、どちらもイヤホンを装着するよりも周囲の音が聞こえる状態で走行することができます。