将来ETCが使えなくなる!? ETCの2030年問題とは

ツーリングなど、高速道路を利用する機会の多いライダーにとって、ETCは欠かせない存在です。しかしETCが将来使えなくなるという噂が、まことしやかに囁かれています。「ETCの2030年問題」とはいったいどのようなものなのでしょうか。

■ツーリングのお供「ETC」が使えなくなる!?2030年問題とは

　現在ではバイク用のETC車載器が、各メーカーから多数販売されるようになり、バイクにETC車載器を取り付けて高速道路を利用し、ツーリングを楽しむライダーも増えてきています。

　そんなEETCが将来使えなくなるという噂を、耳にしたことはありませんか。これは、ETCの「2030年問題」と呼ばれる事象が関係しており、近いうちに現在バイクに搭載しているETCが使えなくなる可能性があるというもの。

　さらには「2022年問題」という事象も関係しています。

2022年問題は、電波法関連法令の改正により、2022年12月1日以降に一部のETC車載器が使えなくなるというもの

　まず2022年問題は、電波法関連法令の改正により、2022年12月1日以降に一部のETC車載器が使えなくなるというもの。この2022年問題で使用できなくなるのは、現行の電波法の規格をクリアしていないETC車載器で、具体的には2007年以前に製造されたごく一部の製品が対象です。

　電波法関連法令が改正され適用されたのは2005年12月ですが、経過措置期間が2年間設けられ、2007年12月に全面適用されました。この法改正により一部のETC車載器の使用が禁止されますが、新基準へ移行してもETCシステムは変わらないため、対象の車載器でもETCゲートを通過することは可能です。ただし、取締りを受けた場合は電波法違反として処罰の対象となる可能性もあるので注意してください。

　なお、新型コロナウイルスの影響により関連設備の整備に遅れが生じたことにより、総務省は2021年に「当分の間」移行期間を延長すると発表。2024年1月現在も、猶予期間は継続中です。

2030年問題とは、ETCシステムのセキュリティ機能を新しい規格に変更するために生じる影響のこと

　そんな2022年問題はごく一部の限られた製品が対象ですが、「2030年問題」ではより多くのETC車載器が影響を受ける事が予想されています。

　ちなみに、2030年問題とは、ETCシステムのセキュリティ機能を新しい規格に変更するために生じる影響のこと。現在のETCシステムは新旧どちらの規格にも対応していますが、遅くとも2030年までには旧セキュリティ規格のETC車載器は使えなくなると言われているのです。

　なお、現行の、つまり旧規格のセキュリティ問題は今のところありません。このまま問題のない状態が続けば、約7年後の2030年までに規格変更が行われる予定。しかし、現行の旧セキュリティ規格に重大な問題が発生した場合は、前倒しで規格変更がおこなわれる可能性もあるので、まずは現在使っているETC車載器が新旧どちらの規格なのか、早めにチェックしておくとよいでしょう。

ETC2.0でも旧規格の車載器が存在する

　新旧のセキュリティ規格の見分け方は、「車載器管理番号」を確認する方法と「ETC車載器本体」を確認する方法の2通り。

　車載器管理番号の確認方法は、取扱説明書や保証書、車載器セットアップ申込書などに記載されている19ケタの車載器管理番号をチェックします。この管理番号の最初の数字（一番左の数字）が「1」なら新規格対応モデル、「0」なら旧規格対応モデルです。

　ETC車載器本体の確認方法は、新規格モデルには「ETC」のロゴの下に「●●●」のマークがあり、旧規格モデルにはマークがありません。なお、「ETC」のロゴの上に「DSRC」と入っている場合も旧規格モデルです。

　また、「ETC2.0」と書かれた車載器でカード挿入付近に「■」のマークがなければ新規格モデルで、マークがあれば旧規格モデル。ちなみにこのETC2.0は、2016年に本格的に導入された規格。比較的新しいETC車載器なので、2030年問題は無関係と思われがちですが、油断は禁物。

　実はETC2.0でも旧規格の車載器が存在するため、2030年問題の影響を受けてしまう可能性はゼロではありません。ETC2.0の車載器を取り付けている場合も、念のため必ず規格をチェックするようにしましょう。