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使った事ある?バイクの「ニュートラル」や「キルスイッチ」を使うタイミングとは

バイクのニュース / 2024年2月29日 16時10分

バイクにはさまざまな機能が備わっていますが、全ての機能の使い道を把握できている人はそう多く無いと思います。では、「ニュートラル」や「キルスイッチ」は、いつ使用すればよいのでしょうか。

■いつ使えば良いのかよく分からないバイクの機能

 ギア付のバイクは、シフトチェンジをおこないアクセルをひねることで走行することができます。そして、ギアシフトの1速と2速の間にあるのが「ニュートラル(N)」。いつ使用すればよいのか、疑問に思った事のある人もいるでしょう。

 また、ハンドルの右グリップの横にある赤いスイッチも、ほとんどのバイクに付いていますが、何のためのスイッチかわからない人や、一度も使ったことがないという人も多いと思います。

 これらは、いったい何のために付いているのでしょうか。

ニュートラルは、ギア(ミッション)がエンジンに動力を伝えていない状態のことニュートラルは、ギア(ミッション)がエンジンに動力を伝えていない状態のこと

 まずニュートラルは、ギア(ミッション)がエンジンに動力を伝えていない状態のこと。その為、ギアがニュートラルに入っていると、アクセルを回してもタイヤは動かないのでバイクは走ることができません。

 一方、左足のシフトレバーを操作してギアを入れてアクセルを回すとエンジンに動力が伝わるため、タイヤが回転してバイクは動き出します。

 教習所では、クラッチレバーを握り(クラッチを切る)、ギアを1速に入れてブレーキをかけた状態で信号待ちをするように教わるのが一般的です。

 なぜならクラッチは、エンジンで発生する動力をギアに伝えたり、切り離したりするための装置のことで、レバーを握るとクラッチが切れる為、動力を遮断でき、レバーを離すと動力を伝えることができるからです。

 つまり、「クラッチレバーを握る」のは、ニュートラルと同じ状態になるというわけ。

教習所では、クラッチレバーを握り(クラッチを切る)、ギアを1速に入れてブレーキをかけた状態で信号待ちをするように教わるのが一般的教習所では、クラッチレバーを握り(クラッチを切る)、ギアを1速に入れてブレーキをかけた状態で信号待ちをするように教わるのが一般的

 ではなぜ、教習所ではニュートラルではなく1速に入れたままクラッチを握るように教えているのでしょうか。

 その理由は、すぐに発進できることと安全面の2つ。ニュートラルで信号待ちをしている場合は、クラッチを握って左足でシフトレバーを1速に入れるという動作をしなければ発進できません。

 一方、クラッチを握っているだけなら、これらの動作を省いてクラッチをつなぐだけで、信号が青に変わってからすぐにスタートできるメリットがあります。

 また、信号が青に変わって発進しようとした際に、ギアがうまく1速に入らないといったことも少なくありません。そのような、慌ててしまう事態を避けられる上に、すぐにバイクを動かすことができるので、後続車の接近など危険が迫っている場面でも、すぐに移動できます、

 このように、迅速にスタートできることは安全面でも大きなメリットとでしょう。

信号待ちでニュートラルにしておけば、クラッチレバーから手を放すことができる信号待ちでニュートラルにしておけば、クラッチレバーから手を放すことができる

 ただ、信号待ちのたびにクラッチレバーを握りっぱなしでは疲れるという意見もあるかもしれません。

 特に長距離のツーリングなどでは、信号で止まるたびにクラッチレバーを握り続けている場合と、そうでない場合との疲労の蓄積度が大きく違ってきます。

 しかし信号待ちでニュートラルにしておけば、クラッチレバーから手を放すことができるので、リラックスできるのがメリット。信号が青に変わってからスタートするには、確かにひと手間かかりますが、信号が変わるタイミングを見計らって準備しておけば、クラッチレバーを握りっぱなしの時に比べて、ほぼタイムラグなく発進することが可能です。

 なおバイクの信号待ちでのやり方は、とくに法律で決められているものではありません。教習所では、クラッチを握って1速で信号待ちをする方法で教わりますが、長距離の運転で疲れをためるほうが集中力を欠き、安全面でマイナスに働くことも十分ありえます。

 そのためタイミングにもよりますが、信号待ちの時間が長くなりそうな時は、体力の消耗を最小限に抑えるためにニュートラルを使うのもおススメです。

 また、ギアを1速に入れてクラッチを握ったままだと、クラッチに負担がかかります。クラッチ全体を覆っているクラッチハウジングというパーツの摩耗が進み、クラッチの切れが悪くなるなどの不具合が起こることも少なくありません。

 クラッチレバーを握った状態でも、クラッチハウジングとクラッチ板は軽く擦れあっているので、摩擦熱による変形や劣化がおきる可能性も考えられます。そのためニュートラルで信号待ちをしたほうが、バイクにとってはやさしい運転と言えるでしょう。

 なお、坂道や傾斜のある駐車場でバイクを停める場合は、ニュートラルよりも1速に入れておいたほうが、ギアが噛み合って動かなくなるので安定します。

 この方法は、地震が起きた時などにバイクが動いて転倒するのを防止するのにも応用できるので、駐車するときは常にギアを入れておいたほうが安心かもしれません。

■使ったことある?「キルスイッチ」の使い方

 続いて、バイクの右ハンドルの横に付いている赤いスイッチ。これは何のために付いているのでしょうか。

 このスイッチは、緊急時にエンジンを強制的に停止させるための「キルスイッチ」と呼ばれるもの。一部のスクーターや小型バイクなどを除き、ほとんどのバイクに装備されています。

バイクの右ハンドルの横に付いている赤いスイッチは緊急時にエンジンを強制的に停止させるための「キルスイッチ」と呼ばれるものバイクの右ハンドルの横に付いている赤いスイッチは緊急時にエンジンを強制的に停止させるための「キルスイッチ」と呼ばれるもの

 キルスイッチを使うことが想定されるシーンは、転倒時や故障などのトラブルの際。たとえば、バイクが右側に転倒してスロットルグリップが障害物や路面に引っかかり、アクセルが回った状態になった場合などです。

 そうなると、タイヤやチェーンが空回りしてバイクが動いてしまうおそれがあり、二次災害の危険性が高まります。

 また、アクセルワイヤーが切れるなど、バイクの故障によりアクセルが戻らなくなった場合でも、キルスイッチを使うことでエンジンを停止させることが可能です。

 キルスイッチには時計回りの丸い矢印マークが描かれており、×印がついている方を押すことでエンジンを緊急停止することができます。

キルスイッチは緊急時に誰でもわかるように世界共通の仕様となっているキルスイッチは緊急時に誰でもわかるように世界共通の仕様となっている

 実はこのマークや使い方は、緊急時に誰でもわかるように世界共通の仕様。もしライダーが事故で転倒してケガや気を失うなどで動けなくなっても、救助する周囲の人たちがいつでも使えるように、同じデザインとなっています。

 キルスイッチは、普段の運転で使うことはほとんどありませんが、非常時に活躍する重要なもの。自分の身を守るためにも、使い方をしっかりマスターしておくようにしましょう。

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