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電気自動車だからこそサウンドにこだわる!?

バイクのニュース / 2024年2月7日 17時0分

レーシングドライバーの木下隆之さん(筆者)は、排気音の無いBEVにも、やはりサウンドが欲しいと言います。どういうことなのでしょうか?

■やはりサウンドは欲しい

 ハーレーダビットソンのVツインエンジンが奏でる独特の低周波ビートは、米国の特許商標庁に登録されています。日本の商標法には「サウンド」に関する記述はなく、「文字」、「記号」、「図形」に限られます。残念ながらサウンドは対象になりません。ですが、アメリカではあのサウンドは至宝であり、他のメーカーが真似できないように大切に保護されているのです。

独自開発のサウンドジェネレーターを搭載する「ABARTH 500e」独自開発のサウンドジェネレーターを搭載する「ABARTH 500e」

 音楽は、文章や絵画などのように著作権がありますが、サウンドはどうやら音楽としての扱いではなく、商標登録の対象としている点が興味深いですね。

 もっとも、Vツインというエンジン形式はハーレーダビッドソンだけが開発の権利を持っているわけではなく、世界中の多くのメーカーが生産しています。真似をする気がなくとも、自然に似てしまう事はあるでしょう。その線引きは難しいものです。

 ともあれ、内燃機関が僕らを魅了する要素のひとつはサウンドにあります。Vツインには独特の脈動があります。シングルには振動の鼓動のような感覚があり、惹かれます。一方で並列4気筒のような、粒の揃った滑らかなサウンドも抜けるような快感が味わえます。エンジンはシリンダーの数や機構、マフラーを束ねる方法などにより、サウンドやバイブレーションの違いがあって、それぞれがライダーを魅了して止まないものです。

 クルマに関しても同様です。大きなエンジンを搭載できるというクルマの性質上、V型8気筒やV型12気筒といったマルチシリンダーも現存しています。この僕(筆者:木下隆之)がそうなのですが、V型8気筒の、あの独特のサウンドにはただならぬ興味があり、これまで乗り継いできたマイカーの多くはV型8気筒モデルでした。

 2023年に日本導入を果たした「ABARTH 500e(アバルト・チンクエチェントイー)」は、バッテリーを搭載し、電気モーターで駆動するBEVモデルなのですが、まるでアメ車のカマロやコルベットであるかのような図太いV8サウンドが響きます。

「電気自動車なのにV8サウンド!?」

 不思議に思われるのも道理です。アバルト500eはハイブリッドでもなく、正真正銘ピュアな電気自動車ですから内燃機関は搭載していません。仮に搭載していたとしても、V型8気筒などという巨大なエンジンを搭載するスペースなどありません。疑似的にV8サウンドを響かせるサウンドジェネレーターが搭載されているのです。

 リアタイヤ付近に大きなスピーカーが組み込まれ、そこからサウンドが流れます。そのサウンドはアクセルの踏み加減と「ほぼ」比例するように調律させています。キュートなボディから響くその音に、多くの人が驚くことになります。というか、その可愛さに頬を緩めるようです。

 ちなみに、BEVは低速走行中に、サウンドを響かせなければなりません。車両接近通報装置による人工的な音で、歩行者などがクルマの存在に気がつかず、事故に遭う危険を低減するためです。

 それすらもアバルト500eの場合は、シンセサイザーで合成した電気サウンドではなく、著名なボイスアーティストが生身の口で響かせたボイスパーカッションを採用しています。さらに高速走行ではV8サウンドか響くのですから、電気自動車とはいえ、やはりサウンドが欲しいのですね。

 近い将来、アバルト500eがハーレーダビッドソンのようなVツインサウンドを響かせるかもしれません。あっ、それは特許商標登録されていたので使えませんね……。

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