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ホンダ初の本格オン/オフモデル「SL250S」はオフロードバイクブームの源流だった!?

バイクのニュース / 2024年2月12日 19時40分

1972年に登場したホンダ「SL250S」は、空冷4ストローク単気筒SOHC4バルブのハイメカ&本格的オフ車の足まわりを装備した、ホンダ初のオン/オフ車です。オフロード競技車両とは異なる、公道用オフロード車だったのです。

■「エルシノア」だけじゃない、オフロードを楽しく走れるモトスポーツ車

 1972年に発売されたホンダ「SL250S」は、その後の「XL」シリーズ、そして現在の「CRF250L」など、公道を走れるオン/オフ車の起点となるバイクです。

1972年発売のホンダ「SL250S」は、4ストローク単気筒エンジンを搭載したホンダ初の本格的なオン/オフバイクだった1972年発売のホンダ「SL250S」は、4ストローク単気筒エンジンを搭載したホンダ初の本格的なオン/オフバイクだった

 1960年代からオフロード競技車は先鋭化しており、2ストロークエンジンのスプリント専用車でした。1970年には日本のメーカーがモトクロス世界GPでタイトルを獲得したこともあり、オフロード車の競技志向は高まっていきます。

 ホンダもモトクロスに対して4ストロークエンジンの使用は困難と感じており、2ストロークの「エルシノアCR250M」や「エルシノアMT250」の開発を進めていました。

 オフロード車の概要が定まると、国内外のメーカーから公道用オフロード車が発売され始めますが、キットパーツに交換すると競技車両にできる性能重視の2ストローク車が中心でした。

 一方、ホンダは1962年にダート走行を視野に入れて開発した「ドリームCL72スクランブラー」を発売。その後ロードバイクをベースにした2気筒エンジンのスクランブラーを多数ラインナップしますが、未舗装路を含むバイク旅に適しており、ハードなオフロード走行は得意ではありませんでした。

 しかしホンダは「CL72」から「SL250S」に至るまでの10年間、数え切れないほどのユーザーに、競技ではなく娯楽あるいはスポーツとして走るダート走行の楽しさを提供していました。

 オフロードバイク特有の、幅の広いユーザーとマーケットを象徴するように、ホンダは1972年から「SL250S」「エルシノアMT250」「バイアルスTL125」と様々なタイプのオフロード車を順次発売します。

ライディングポジションを前後に動かしやすいスリムな車体。赤いストライプがタンクに映えるライディングポジションを前後に動かしやすいスリムな車体。赤いストライプがタンクに映える

「SL250S」は4ストロークエンジンの懐の深さを生かし、競技志向ではない一般のユーザーでもオフロードのスポーツ走行を楽しむことができ、ロードバイク同様に市街地走行にも適応することができました。ホンダはこの新しいオン/オフタイプのバイクを「モトスポーツ車」と呼びました。

 当時のカタログには、絶景を望む山の上に佇む「SL250S」とライダー、その上には大きく「Big Tour」と書かれており、オフロードツーリングの幕開けを感じさせるものでした。

 オフロードでの走行性能を向上させるために、エンジンは4ストロークの単気筒で、SOHCながら4バルブを採用しました。中低速でも粘るフラットトルクが売りのエンジン特性で、コンパクトに設計され、左右のクランクケースカバーは贅沢なマグネシウム合金で軽量化されています。

クランクケースの左右カバーはマグネシウム合金で軽量化。キャブレターは強制開閉式クランクケースの左右カバーはマグネシウム合金で軽量化。キャブレターは強制開閉式

 フレームは旧式なバックボーンタイプのクレドール式でしたが、足まわりには前輪21インチと後輪18インチのフルサイズオフロードタイヤを組み合わせています。

 またアルミ合金製リム、軽量で弾力復元性に富むポリプロピレン製の前後フェンダーなど、ホンダ初の本格的オフロードスポーツ車としてふさわしい装備となりました。

 オフロード性能向上と共に「CL」から「SL」へと車名が変わっていきます。北米に輸出された「SL250S」は「XL250」を名乗っており、国内でもモデルチェンジを機会に名称を「XL250」へと統一されました。

 ホンダのモトスポーツ車は「XL」から「XLR」や「XR」に受け継がれ、「CRF」シリーズへとバトンタッチします。

コンパクトな単気筒エンジンと、車体中央に収められたアップマフラーという本格的オフロードスタイルコンパクトな単気筒エンジンと、車体中央に収められたアップマフラーという本格的オフロードスタイル

「SL」の名称は、1997年に「SL230」で復活します。2023年には「XL750トランザルプ」が登場し、久しぶりに「XL」の名前が復活しました。

 オフロード走行を楽しめるユーザーフレンドリーなモトスポーツ車の精神は、現代にも受け継がれています。

 ホンダ「SL250S」(1972年)の当時の販売価格は20万8000円です。

■ホンダ「SL250S」(1972年型)主要諸元
エンジン種類:空冷4ストローク単気筒SOHC4バルブ
総排気量:248cc
最高出力:22ps/8000rpm
最大トルク:2.0kg-m/6500rpm
全長×全幅×全高:2120×840×1125mm
始動方式:キック
車両重量:136kg(乾燥)
燃料タンク容量:8L
フレーム形式:セミダブルクレードル
タイヤサイズ(前):2.75-21
タイヤサイズ(後):4.00-18

【取材協力】
ホンダコレクションホール(栃木県/モビリティリゾートもてぎ内)

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