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エンジンの「可変バルブ機構」って、ナニ?

バイクのニュース / 2024年2月13日 11時10分

日々進化するバイクのメカニズム。英文字やカタカナで表記される最新機構も数多く、いったいどんな機構で、バイクに乗る上でドコに役立つのかいまひとつ解らない「コレってナニ?」という装備が盛り沢山。今回はその中から「可変バルブ機構」について解説します。

■低中回転で扱いやすく、高回転でパワフルに!

「可変バルブ」は、4輪車では相応にメジャーですが、じつはバイクでもけっこう昔から存在するメカニズムです。しかしバイクの場合、可変バルブを採用したエンジンは、過去から現在までそれほど多くありません。

BMW Motorradの水平対向2気筒エンジンが装備する可変カムシャフトコントロール「Shift-Cam(シフトカム)」BMW Motorradの水平対向2気筒エンジンが装備する可変カムシャフトコントロール「Shift-Cam(シフトカム)」

 まず可変バルブの「バルブ」とは、4ストロークエンジンのシリンダーヘッドに備わる「吸気バルブ」と「排気バルブ」のことです。そのバルブが開いたり閉じたりするタイミングなどをエンジンの回転数によって「可変」するのが「可変バルブ機構」です。それにはどんなメリットがあるのでしょうか?

【図解】4ストロークエンジンの構造【図解】4ストロークエンジンの構造

 4ストロークエンジンを簡単におさらいすると、まずピストンが下って混合ガスを吸い込み(1行程)、クランクが回転する勢いでピストンが上昇して混合ガスを圧縮(2行程)、点火プラグから飛ばした火花で混合ガスを爆発させてピストンが押し下げられ(3行程)、クランクが回転する勢いでピストンが上がって排気ガスを排出(4行程)、を繰り返してエンジンが回ります。

 その行程には吸気バルブや排気バルブが適切なタイミングで開閉する必要があり、その開閉タイミングをコントロールしているのがカムシャフトです。

 そしてバルブの開閉タイミングはエンジンの特性に大きく影響するのですが、ここが重要なトコロです。

【図解】4ストロークエンジンの作動行程【図解】4ストロークエンジンの作動行程

 たとえば、高回転まで回ってパワーが出るエンジン特性にするには、吸気バルブと排気バルブの両方が開いている時間(オーバーラップと呼ぶ)を相応に長くします。

 一方、低~中回転でトルクの大きな扱いやすい特性にするには、オーバーラップが短い方が有利です。

 これらを決定づけるのは主に吸気バルブのカムシャフトですが、従来のエンジンは高回転のパワー型か、低中回転のトルク型か、どちらの特性にするかでカム山の形状を決めていました。

 しかし理想を言えば、低中回転ではトルクがありながら高回転までビュンビュン回ってパワーが出るエンジンが良いハズです。

 そこで、低中回転域と高回転域に対応する2種類のカム山を設けて、それぞれの回転域でカム山を切り替え、吸気バルブの開閉タイミングを変化させる「可変バルブ機構」が生まれたわけです。

BMW Motorradの「Shift-Cam(シフトカム)」の仕組み。エンジンの回転域によってアクチュエーター(図中の左下の部品)でカムシャフトを左右にスライドさせて、低中回転用のカム山と高回転用のカム山を切り替えているBMW Motorradの「Shift-Cam(シフトカム)」の仕組み。エンジンの回転域によってアクチュエーター(図中の左下の部品)でカムシャフトを左右にスライドさせて、低中回転用のカム山と高回転用のカム山を切り替えている

 そして「可変バルブ機構」はパワーやトルクのような「動力性能」だけでなく、燃費や排出ガスといった「環境性能」にも影響するのが特徴です。そのため4輪車ではスポーツタイプだけでなく、省エネ目的の乗用車や商用車にも採用されています。

 ちなみにBMW Motorradが採用する「Shift-Cam(シフトカム)」可変カムシャフトコントロールは、吸気バルブの開閉するタイミングだけでなく、バルブの開く量も変化させています。

 このシステムはBMWの「R」シリーズが搭載する水平対向2気筒エンジンのほか、スーパースポーツの「S 1000 RR」や「M 10000 RR」などの並列4気筒エンジンも採用しています。

■注目のヤマハ「125」シリーズも可変バルブを装備!

「可変バルブ機構」はBMWの「Shift-Cam(シフトカム)」だけでなく、ドゥカティでは2気筒エンジン用に2017年から「DVT」というシステムを導入し、スズキも「GSX-R1000」(2017年~)に「SR-VVT」と呼ぶMotoGPワークスマシンからフィードバックした可変バルブ機構を備えています。

 また、ホンダは低中回転時は2バルブ(吸気×1/排気×1)で、高回転時は4バルブ(吸気×2/排気×2)に切り替える「可変バルブ機構」を、古くは1983年登場の「CBR400F」に採用し、近年は「CB400 SUPER FOUR」や「VFR(800)」などに装備していました。

 とはいえ、メジャーな「可変バルブ機構」はこれくらいで、採用したバイクはそれほど多くありません。理由はいろいろ考えられますが、メカニズムが複雑化することで重量増やコスト増を避けたかったからではないでしょうか。そのためか、比較的高額なバイクしか装備していませんでした。

 ところが! ヤマハが近年、スクーター用のエンジンに「可変バルブ機構」の「VVA」を開発し、国内モデルでは2016年に「NMAX」(排気量125ccクラス)に採用しました。さらに2023年秋から国内導入が始まり、注目を集めている「MT-125」や「YZF-R125/R15」、「XSR125」も「VVA」を装備しています。

ヤマハの「VVA(バリアブル・バルブ・アクチュエーション)」の仕組みヤマハの「VVA(バリアブル・バルブ・アクチュエーション)」の仕組み

 小排気量車こそスタート時や低中回転での力強さが求められ、コミューターなら低燃費も必須。そしてスポーツ車なら、やはり高回転の伸びの良さやパワーも気になります。

 それをプライス面でも厳しい目で見られる125~155ccクラスに投入したのは、ヤマハの技術力の高さと言えるのではないでしょうか。

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