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【バイク雑学】エンジンの馬力とは?

バイクのニュース / 2024年2月10日 13時10分

バイクのカタログにはさまざまな情報が記載されていますが、そのすべての項目が何を示しているのか、きちんと理解できている人は意外と多くないかもしれません。では「馬力」とは、何を表しているのでしょうか。

■「馬」の「力」と書いて「馬力」…何を表してる?

 バイクのカタログやウェブサイトのスペック表などには、「馬力」という言葉をよく目にします。バイクを比較するときに、多くの人は馬力の数字をチェックして性能の良し悪しを判断しているかもしれません。

 なんとなく、「数字が高いほどパワーがあり、スピードが出やすい」というイメージをもつことが多いのではないでしょうか。しかし、あらためて馬力の意味を考えるとよく分らないという人もほとんどかもしれません。

エンジンの性能を表す「馬力」とは、仕事率を表す単位エンジンの性能を表す「馬力」とは、仕事率を表す単位

 では、バイクのエンジンの性能を表す「馬力」とは、いったいどのような意味なのでしょうか。

 馬力とは、仕事率を表す単位のことです。この仕事率を簡潔に説明すると「ある一定の時間内に、ある重さの物を、どれだけの距離を移動させられるか」を馬何頭分に相当するかで表した単位になります。

 つまり馬力が大きくなるほど、重い物を、短い時間で、長い距離を移動させることができます。バイクのカタログなどでは「最高出力」を表す際に、この馬力の単位が使われるのが一般的です。

 なお馬力を表す単位は国によって違いがあり、いくつかの表記が存在します。日本で主に使われている表記は「PS(ピーエス)」と「kW(キロワット)」の2種類で、それぞれ計測単位が異なるため数値も変わってきます。

「PS」はメートル法に基づいて計算された馬力の単位で、日本では昔から使われている馴染みのある表記です。フランスがメートル法の発祥であるため仏馬力とも呼ばれます。なお、「PS」はドイツ語の「Pferdestarke」の略称で「馬の力」を意味する言葉です。

「kW」は、国際規格の仕事率を表す世界共通の単位です。もともと日本では最高出力の表記に「PS」が使われていました。しかし、1999年から国際単位の表記が義務づけされたため、現在はカタログなどに「kW」と「PS」を併記しています。ちなみに、1kWを仏馬力に換算すると1.36PSになり、カタログに表記された「kW」と「PS」の数字に差が生じるのはこのためです。

「馬力」と呼ばれるようになったのは、蒸気機関を発明したイギリス人のジェームズ・ワットが考案したのが由来。自身が発明した蒸気機関の性能を正確に示すため、当時の機械や交通の動力を担っていた 「馬」に荷物を引かせ、1馬力を「1秒間で75kgの物を1m動かす力」と定義しました。

 そのため日本でも、ワット氏と同じ定義に基づいて馬力を表記しています。なお、イギリスの馬力の表記は「HP」となっているのですが、これは「Horse Power」の頭文字をとった略称です。

GB350 / GB350 S 主要諸元一部抜粋(参照:ホンダHP)GB350 / GB350 S 主要諸元一部抜粋(参照:ホンダHP)

 ちなみに、カタログの最高出力の表記には「kW」と「PS」のほかに、「rpm」という文字も見られます。これは、1分間のエンジンの回転数を表す単位で、たとえば5000rpmと表記されていれば、1分間で5000回エンジンが回ることを意味します。また、これと一緒に15PSと記載されていれば、エンジンが1分間に5000回転するときに15馬力が出るということになります。

 バイクのカタログでは、最高出力(馬力)のほかに性能を表す表示として「最大トルク」があります。
 
 トルクは、「タイヤを回転させる力を表す数値」のことで、単位は「N・m(ニュートンメートル)」と「kgf・m(キログラムフォースメートル)」でカタログに併記されるのが一般的です。

 馬力とトルクは密接な関係があり、バイクの馬力を表す計算式は「馬力(出力)=トルク×エンジン回転数×定数(0.00136)」で算出できます。

馬力とトルクの関係は、自転車に置き換えて考えるとわかりやすくなります。自転車を動かすためにはペダルを踏み込む力(トルク)が必要です。この踏み込む力が大きいほど自転車は加速します。

 一方、ペダルを踏み込む力が弱くても、ギアを軽くして回転数を上げれば同じスピードを得られます。つまり、バイクの加速性能の良し悪しはクランクシャフトにかかる力(トルク)が非常に重要になるのです。なお、クランクシャフトとは、エンジンにピストン運動を伝える役割を担う回転軸のことです。

GB350 / GB350 S 出力特性イメージ(参照:ホンダHP)GB350 / GB350 S 出力特性イメージ(参照:ホンダHP)

 こうしたことから、トルク数値が大きくなるほどエンジンのクランクシャフトにかかる力が大きくなるので、パワフルな加速が可能です。そのため、パワーを必要とする坂道や悪路などではグイグイ進むことができます。

 一方、出力(馬力)の数値が高くなるほど、タイヤの回転も速くなりスピードを出すことができるため、最高速度が上がります。そのため、高速道路やサーキットなど速度を重視する場面で有利なエンジン特性といえるでしょう。

 したがって、馬力の数値が高ければ必ずしも性能が良いというわけではありません。つまり、出力が高ければ最高速度を重視したエンジンで、トルクが大きければ加速性能を重視したエンジンになります。あくまでもエンジン特性の違いになるのです。

 ちなみに、一般道では出力よりもトルクを重視したエンジンのほうが乗りやすいバイクといえます。なぜなら、最高出力が低いバイクでも、最大トルクの数値が大きければ、エンジンの回転を上げられない街中でもアクセルを捻れば力強く加速してくれるからです。そのため、ストレスを感じることなく、キビキビとスムーズに走ることができます。

 一方、最高出力の数値が高く、最大トルクが小さいバイクは、エンジンの回転を高く保たないと十分な加速が得られません。そのような特性のバイクは、街中では扱いにくくなります。

※ ※ ※ 

 性能を表す「馬力」は「kW」や「PS」で表記され、この数値が高ければ高いほどスピードの出るバイクといえます。ただし馬力は、加速性能に影響するトルクと密接な関係があり、最高出力の数値が高いエンジンが必ずしも性能の良いバイクとは言えません。

 したがって、高速道路をよく利用する人は最高出力(馬力)を重視し、街中を走ることが多いという人はトルクを重視してバイクを選ぶのも一つの方法かもしれません。

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