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一体何のためにある? 高速道路のトンネル内にある緑に光る非常口

バイクのニュース / 2024年3月16日 9時10分

ツーリングなどで高速道路のトンネル内を走行していると、緑色に光る看板を目にしたことがあると思います。あの看板はトンネル内に設置された「非常口」の場所を示すもの。では、それらの非常口は、一体何のために設置され、どこにつながっているのでしょうか。

■トンネル内にも非常口が!その役割とは

 日本は、国土の約7割が山地といわれているほど森林の多い国です。山が多く自然にめぐまれている為、景色の良い峠道でツーリングを快適に楽しむことができます。

 そんな山の多い日本の高速道路には長いトンネルがいくつか存在するため、バイクで通ったことがある人も多いと思います。しかし、トンネル内の緑色に光っている非常口を使ったことがある人は、ほとんど居ないでしょう。

 高速道路のトンネル内にある非常口は一体何のために設置されていて、どこにつながっているのでしょうか。

緊急事態に備え、安全に脱出できるように高速道路のトンネル内には非常口が設置されている緊急事態に備え、安全に脱出できるように高速道路のトンネル内には非常口が設置されている

 長いトンネル内を走行中に交通事故や火災、地震などが発生した場合に、前後の行く手が塞がれてしまう可能性があります。こうした緊急事態に備え、安全に脱出できるようにトンネル内に非常口が設置されています。

 ただしすべてのトンネルに非常口が設置されているわけではなく、トンネルの長さや交通量、交通方式(対面通行または上下線分離通行)などによって、設置する基準が決められています。

 短いトンネルには非常口はありませんが、長いトンネルでは約750m間隔で非常口が設置されているのが一般的。都市部のトンネルにも、約400mごとに設置されています。

 例えば、東京湾アクアラインの海底トンネルには300mおきに設置されており、首都高速の中央環状線 山手トンネルでは350mおきに非常口が設置されています。

■非常口の先にあるものとは

 トンネルの非常口は一体どこにつながっているのでしょうか。

 非常口の先にある避難経路には、「避難坑」と「避難連絡坑」の2種類があります。避難坑とは、本線トンネルとは別に退避できるように整備されたトンネルで、基本的に外に出られるように造られた避難通路のこと。

 一方の避難連絡坑は、トンネルが並走している場合に反対側のトンネルに退避ができるよう、つながっている設備のことです。

 避難通路は救急車や消防車などが通れる大きさとなっており、緊急車両の通行が可能。非常口の入口には、シャッターと扉が設置されており、通常時は扉のみを開いて歩いて避難し、緊急車両が通る際はシャッターを全開にして救護活動をおこなう仕組みです。

 例えば、新潟県と群馬県をまたぐ関越トンネルでは、全長10㎞にもおよぶ上下線のトンネルの間に避難坑が本線に平行して設置されています。さらに、反対側のトンネルへ退避できるように避難連絡坑も設置されており、照明も完備され安全に避難できるように工夫されています。

非常口の先にある避難経路には、「避難坑」と「避難連絡坑」の2種類がある非常口の先にある避難経路には、「避難坑」と「避難連絡坑」の2種類がある

 一方で、東京湾アクアラインの非常口は少し変わった構造をしています。

 東京湾を横断するように約10㎞の海底トンネルと、約5㎞のアクアブリッジで成り立ちますが、非常口は車道の真下に沿うように緊急避難経路につながっています。なお、避難経路は気圧を高く調整してあるため、本線で火災が発生しても煙が流れ込んでくることはありません。

 また、避難通路に降りるときは階段ではなく、すべり台で滑って降りられるようになっています。これは避難する際に押し合うことなく、小さな子どもから年配の方、身体の不自由な人でも安全に降りられるようにするための配慮です。

 すべり台を降りたところには非常電話が必ず設置されており、受話器を取るだけで道路管制センターにつながり通話することが可能。非常口の扉が開くだけで道路管制センターに通知されるようになっており、即座に場所が特定される仕組みになっています。

 このように高速道路の長いトンネル内にある非常口は、避難経路や反対車線などにつながっていて、安全に避難できるようにさまざまな工夫が施されているという訳です。

 では、実際にトンネル内で事故や火災などが起きて脱出する際は、どのように行動すればよいのでしょうか。

高速道路の長いトンネル内にある非常口は、避難経路や反対車線などにつながっていて、安全に避難できるようにさまざまな工夫が施されている高速道路の長いトンネル内にある非常口は、避難経路や反対車線などにつながっていて、安全に避難できるようにさまざまな工夫が施されている

 トンネルという閉鎖された空間で非常事態に遭遇すると、パニックになってしまう人も少なくありません。もしものときに備えて、正しい行動と避難経路を覚えておき、冷静になって行動することが重要です。

 まず、バイクを停車させ、サイドスタンドをかけてエンジンを切ります。救助活動のためバイクを動かすことがあるので離れる際はキーを残したままにしましょう。

 また緊急車両が通行できなくなる可能性があるので、バイクを左右に寄せることも忘れてはいけません。そして火災が起きている場合は、煙の流れとは逆の方向の非常口に向かって避難しましょう。

 なお、バイクで通れるからといって、火災現場をすり抜けて通過するような行為は、二次被害を引き起こす可能性があるので絶対にしてはいけません。トンネル内の情報板やスピーカーなどで指示が伝えられるので、それに従って冷静に避難してください。

 非常口に入ると、本線トンネルに沿った横または地下にある避難経路を、出口に向かってしばらく歩くことになります。避難経路は安全に作られているので、慌てることなく落ち着いて行動するようにしましょう。

※ ※ ※

 普段なかなか使う機会のないトンネル内にある非常口ですが、万が一のときに安全に避難できるよう、しっかりと整備されています。もしもの時のために、さまざまなシチュエーションを想定して準備しておくようにしましょう。

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