たとえ片足しか地面に届かなくても!! 走行性能と快適性はトレードオフなのか
バイクのニュース / 2024年2月14日 17時0分
レーシングドライバーの木下隆之さん(筆者)は、クルマやバイクの走行性能を堪能したいなら、身体的な不自由さは我慢できるのでは、と言います。どういうことなのでしょうか?
■走行性能と快適性は、トレードオフの関係?
僕(筆者:木下隆之)にとって、BMW Motorrad「R 1250 GS」は憧れのバイクです。アドべンチャーバイクにまたがってロングツーリングするのが、長年の夢なのです。
BMW Motorrad「R 1250 GS」のシートは2段階で高さ調整が可能。日本仕様ではローシート(800/820mm)が標準装備。写真は下段の800mmにセットした状態
ですが、シート高がことさら高いアドべンチャー系は、僕のような短足系のライダーにとっては厳しいものです。長距離移動を前提としているので、シートにも快適性が求められます。肉厚があり座面は幅広です。スペック表の数字以上に足つきが悪い。見果てぬ夢なのです。
ただ、そんな身体的に問題を抱えている僕のような人間を気遣ってか(?)、ローダウン仕様を選択することが可能なようです。サスペンションストローク等が本来の狙いとはズレてしまうことは覚悟しなければならないようですが、それでも夢を実現させくれるなら大歓迎です。シート高870mmもあるとお手上げですが、820mmまで下がれば、立ちゴケの不安も少しは和らぐというものです。
スズキ「Vストローム650XT」も同様に、憧れのアドべンチャーバイクです。ですがこれもシート高が835mmあるので、僕にはなかなか手強い。そんなユーザーのために、シートの厚みを抑えた「ローシート」がアクセサリーで用意されています。
シートの着座位置だけを下げることはライディングポジションが崩れ、そのために前後重量配分も変わってしまいます。しかし足つき問題を回避できるのであれば、それも歓迎すべきかもしれません。
マツダのロードスターの最大の特徴は、コンパクトなオープンスポーツカーであることです。搭載するエンジンは1.5リッターNAで、出力的には非力です。ですが、ボディは驚くほど軽量です。絶対的な速さはそれほどではなくても、爽快な気分でドライブすることができるのです。
コクピットも驚くほど狭い。ですが、それがクルマとの一体感をもたらしてくれます。バスタブのようなコクピットに包まれながらドライブに没頭していると、時間の流れを忘れてしまいそうです。
ちなみに、そのコクピットは僕が座ってややタイトです。ミッションが張り出しているので、足元のスペースも狭い。シートを最も後方へ下げた状態でも、アクセルペダルに足が届くほどです。
ですが、不思議なことにロードスター最大のマーケットは北米だと言います。次に販売が好調なのは欧州です。日本は3番目の市場でしかありません。
そこで浮かぶのは、こんなタイトなコクピットに、よくもまあ大柄な欧米人が座れるものだよなぁ……という疑問です。アドべンシャーバイクですら乗れない中肉中背の短足の僕がぎりぎりの空間に、欧米の巨漢が収まっていることが不思議でならないのです。でも、日本より欧米で売れているのは事実なのです。
勝手な想像ですが、コクピットの狭さには目を瞑っても、それを覆ってあまりある魅力がロードスターにはあるということなのでしょう。シートポジションを我慢しても、ロードスターの走りを楽しみたいと願うユーザーがいるということです。
そんなロードスターを走らせていると、「R 1250 GS」や「Vストローム650XT」をカタログを見ただけで諦めている自分を恥じることになりました。近いうちに、挑戦する気にさせられたのです。
ただ、やはり立ちゴケだけはしたくない……。
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