前に出たい!! バイクのすり抜けって違反じゃないの?
バイクのニュース / 2024年2月14日 9時10分
街中では、たびたびバイクが「すり抜け」をしている光景を目にすることがあります。意見すると危険な行為に見えますが、何かしらの違反にあたることはないのでしょうか。
■渋滞の中をするするとすり抜けるバイク…違反じゃないの!?
信号待ちなどで渋滞している道路では、バイクが「すり抜け」をしている光景をたびたび見かけます。すり抜けは一見すると違反行為のように見えるものの、「すり抜けで警察に捕まった」という人をあまり聞きません。クルマのドライバーからすれば迷惑といえるバイクのすり抜けは、違反行為にあたらないのでしょうか。
すり抜けは一見すると違反行為のように見えるものの、「すり抜けで警察に捕まった」という人をあまり聞かない
じつは、道路の交通ルールを定めた道路交通法には、「すり抜け」という言葉が存在しないため、バイクのすり抜け自体で直接取り締まりを受けることはありません。ただし、すり抜けをしたことで他の違反に該当する可能性があるので注意が必要です。
そもそもバイクのすり抜けとは、一般的に信号待ちや渋滞で停止またはノロノロ走行をしているクルマの脇や、その間を走り抜ける行為のことです。すり抜けをすると、場合によっては「追越し違反」「割り込み等違反」「通行区分違反」にあたる可能性があります。
追い越しを禁止する場所については、道路交通法第30条に規定されています。まず、追い越し禁止の標識や標示のある場所です。そのほかにも、道路の曲がり角付近や坂の頂上付近、急な下り坂、トンネル内、交差点(優先道路の走行中は除く)、踏切、横断歩道などの場所が該当します。これらの場所ですり抜けをすると、「追越し違反」になる可能性があるので注意が必要です。
また、センターラインの白い実線やオレンジ色の実線は、追い越し禁止を意味します。これらのラインをまたいですり抜けをした場合も、追越し違反になるケースがあります。
さらに道路交通法第28条では、前のクルマを追い越す際の正しい方法として原則、その右側を通るように定められています。ただし、交差点または路外へ右折しようと道路の右側に寄っている車両を追い越す場合は除きます。それ以外のケースで、左側からの追い越しはすべて違反となるため、これを守らずにすり抜けをすると違反になるケースがあるので気をつけたいところです。
そのほか注意したいのが、交差点の手前にある左折・右折専用レーンがある場所。方向ごとに区分された車線を正しく走行せずにすり抜けた場合も「通行区分違反」に問われる可能性があります。
また、道路の白線の外側に設置されている「路側帯」に入ってすり抜けをした場合も通行区分違反となり、取り締まりの対象です。路側帯とは、歩道がない道路の白線の外側に設置された歩行者用のスペースのことです。路側帯は、道路外の店舗などに出入りする場合を除いて、車両の通行が原則禁止されています。
高速道路にある路側帯は、故障車両が一時的に停止したり、渋滞時に緊急車両が走行するためのエリア
なお、高速道路にある路側帯は、故障車両が一時的に停止したり、渋滞時に緊急車両が走行するためのエリアで、一般車の通行は禁止です。混んでいるからといってバイクで路側帯を通行すると違反になるだけなく、故障車と接触したり釘などの異物を踏んでパンクするリスクがあります。
ちなみに、路側帯と似ている「路肩」は道路交通法ではバイクの通行は禁止されていません。路肩とは、歩道が別に設置されている道路の白線の外側のスペースのことです。つまり、路側帯と路肩の違いは、「歩道のある・なし」で見分けることができます。
また、道路交通法第32条では、クルマの前に割り込んだり、その前を横切ることを禁止しています。クルマのすぐ前を横切るようにすり抜けをしているバイクをよく見かけますが、このようなジグザグ運転は「割り込み違反」にあたる可能性があります。
そもそもバイクのすり抜けは、クルマの脇を走り抜けること。つまり、「追い越し」と「追い抜き」が大きく関係してくると言えます。この2つの違いを知っておくことが重要なポイントといえそうです。
まず、追い越しですが、道路交通法第2条の21で以下のように定義されています。
「車両が他の車両等に追い付いた場合において、その進路を変えてその追い付いた車両等の側方を通過し、かつ、当該車両等の前方に出ることをいう」
追い越しとは、進路を変えて前のクルマの横を通過し、そのクルマの前方に出て元の車線に戻ることをいいます。
追い抜きは、進路を変えずに前のクルマの前方に出ることをいう
一方、追い抜きは、進路を変えずに前のクルマの前方に出ることをいいます。クルマの場合は、車線を変えずに追い抜くのは物理的に無理がありますが、バイクの場合は可能です。また、2車線以上の道路で、隣の車線を走るクルマの前に車線を変えずに直進したまま出るのも追い抜きにあたります。ちなみに、追い抜きについて道路交通法の規定はありません。
つまり、「追い越し」と「追い抜き」の大きな違いは、“車線を変えるか・変えないか”
がポイントになると言えます。
なお、追い越しが禁止されているのは、先述した道路交通法第30条で規定されている場所です。さらに、道路交通法第38条では、横断歩道とその手前の側端から30m以内の部分は、「追い越し」と「追い抜き」の両方が禁止されています。
※ ※ ※
バイクのすり抜けは、その行為自体を直接規制する法律がありません。そのため違反になるかどうかは、居合わせた現場の警察官の判断に委ねられるのが現状です。しかし強引なすり抜けは、ほかの違反行為に該当する可能性があるだけでなく、停車中のクルマに接触したり、他車の死角に入るなど事故を誘発しやすい行為と言えます。
すり抜けで検挙されることは少ないようですが、安全第一を考えて極力バイクのすり抜けは控えるようにしましょう。
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