「私はどこを走るの?」電動まわりの車両参入で道路がややこしい件について
バイクのニュース / 2024年2月22日 19時10分
いまの日本の道路には様々な車両が新規参入し、少々ややこしいことになっています。自転車で街中を走っていて見慣れない車両を目撃したときに「アレはあそこを走っていいの?」と、頭に疑問符が浮かんでしまうことがあるかもしれません。
■免許は必要? 不要? 交通ルールは?
すでに感じている人もいるかもしれませんが、いまの日本の道路には様々な車両が新規参入し、少々ややこしいことになっています。自転車で街中を走っている際に、何か見慣れない車両を目撃して「アレはあそこを走っていいの?」と、頭に疑問符が浮かんでしまうことがあるかもしれません。
「私はどこを走るの?」電動まわりの車両参入で道路がややこしいことに……
指折り数えてみれば、クルマやバイクをはじめ、自転車、電動アシスト自転車(e-BIKE)、電動キックボード、シニアカー(電動カート)など、種類自体はそこまでではありませんが、それぞれの種類の中で様々な見た目があるので、街で見かけた車両について一瞬で把握するのはなかなか難しいかもしれません。
もちろん、まとめて新しいタイプの車両が登場したわけではなく、法改正なども数年をかけて徐々に行なわれているので、一瞬で道路の状況が様変わりしたわけではありませんが、体感としては、ここに来て一気に増えた印象です。
自転車関連で考えると、近年の大きな変化と言えば、まずは2008年の道路交通法改正になると思います。このタイミングで「原則として、自転車は車道の左側を走る」と明確化されました。
そこから15年あまりの時を経て、自転車が車道を走ることは当たり前となり、道路利用者の多くもその認識を持っていることでしょう。
その当時、微妙に勘違いされていたのが「電動アシスト自転車(e-BIKE)」の存在です。
e-BIKEに搭載される電気モーターは、乗っている人がペダルを漕ぐ力を補助するためだけに働き、ペダルを漕がなければ前に進まないという自転車の延長線上にある乗りものです。
以前、不慣れな人が自転車屋で「免許は必要ですか?」と質問する姿を見かけることもありましたが、e-BIKEはあくまでも自転車であり、免許不要で自転車と同じ交通ルールを守れば問題ありません。
ただ最近は「電動自転車」の登場により、そのあたりに少し混乱が生じているようです。
字面だけ見ると「アシスト」が抜けただけですが、電動自転車は、いわゆるモペットなどとも呼ばれるモーターの力で自走することができる乗りものです。
人力を一切使わずに走行可能なので、カテゴリーとしてはバイク(モーターサイクル)の仲間です。つまり、運転するには免許が必要で、車体や乗る人の装備などを含め、バイクと同じ交通ルールに従わなければいけません。
ただ、ややこしいのが、この「電動自転車」にはペダルが付いていて、モーターを完全にオフにしてペダルを漕いで進めば自転車扱いになり、中にはモーターの出力を制限して(走行モードの切り替えなどで)e-BIKEと同様に補助機能だけを使うモードを搭載したタイプなどもあります。
ぱっと見でe-BIKEと見分けがつかないので、歩道を「自走」していても取り締まりを逃れる可能性があり、問題となっています。
さらに、「電動キックボード」も同じ道路を走る乗りものです。もちろん、電動キックボードも自転車と同様に、道路交通法上の「軽車両」に該当し、2023年の道路交通法改正でモーターの出力によってそれに応じた区分に分けられることになりました。
まず、モーターの出力が0.60kW以下の電動キックボードは、道路交通法上の原動機付自転車(原付)に該当します(その出力を超えるものは普通自動二輪車=バイク)。つまり、運転するには免許が必要で、原付バイクと同じ装備が必要です。
ただし、最高速度が20km/h以下で、大きさなど一定の基準に該当するものは「特定小型原動機付自転車」に区分され、16歳未満の運転は禁止ですが、免許不要で運転可能、ヘルメットの着用も努力義務になります。
なお、この区分では自転車と同じルールで歩道の走行はできませんが、最高速度が6km/h以下で、最高速度表示灯を点滅させる機能を備えていれば、「特例特定小型原付自転車」に区分され、自転車と同じルールに従って歩道の走行も可能になります。
これだけでもややこしいですが……つまり、基準に従っていれば、電動キックボードが歩道を走っていても即座にルール違反という訳ではありません。
なお、電動キックボードと言えば立って乗るのが一般的なイメージなので遠目でも区別しやすかったのですが、最近では腰を下ろすためのサドルが付いた電動キックボードも登場してきました。
遠目ではバイクとほぼ変わらないので、座って運転している「特例特定小型原付自転車」が歩道を走っていたら、「あ! 違反!」と思わず声をあげてしまいそうです……。
ちなみに、高齢者向けに作られた「シニアカー」は、大きな括りでいうと「電動車いす」の仲間です。扱いとしては歩行者と同じで、もちろん免許などは必要ありません。見た目は車両ですが、基本的には歩道を進み、道路を渡る時は横断歩道を使うことになります。逆に、車道を走行することはたいへん危険です。
もちろん交通ルールが守られることが前提ですが、多彩な車両が登場する中、乗っている人以外の人が車両を特定するのは、これからさらに困難になるでしょう。すべての利用者が安心・安全に道路を利用するために、ますます乗っている人のモラルが問われる状況になっているのではないでしょうか。
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