何を示しているのか知ってる? しましま矢印の正体とは
バイクのニュース / 2024年3月16日 11時10分
雪国の道路を走っていると、赤白の「しましま柄の矢印」が頭上に設置されているのを見かけます。一見しただけでは何を指し示しているのかわかりませんが、この矢印にはどのような役割があるのでしょうか。
■雪国で見かける謎のしましま矢印!これって何?
北国の道路を走っていると、赤白の「しましま柄の矢印」が頭上に設置されているのを見かけます。とくに北海道の道路ではあちこちに設置されているので、ツーリングで北海道を旅したことがある人は見たことがあるかもしれません。
しましま矢印は下を向いて設置されているのですが、一見しただけでは何を指し示しているのか不明ですが、一体どのような役割があるのでしょうか。
北海道の道路でよく見られる赤白のしましま矢印は、「固定式視線誘導柱」というのが正式名称の道路標識
北海道の道路でよく見られる赤白のしましま矢印は、「固定式視線誘導柱」というのが正式名称の道路標識。逆L字型のポールに矢印が下向きに取り付けられており、矢印は地上から5mほどの高さのところにあります。
北海道の道路では郊外を中心に設置されており、そのほかでは東北の一部の豪雪地域でしか見かけることはありません。これは道民の人々には馴染みのある標識で、「矢羽根つきポール」という名称で呼ばれ、雪国の生活に欠かせない存在となっています。
そんな矢羽根つきポールは雪のない時期にも設置されていますが、夏場はほぼ意味をなしていません。主に矢羽根つきポールが活躍するのは冬の時期。
豪雪地帯では雪が降り積もると中々とけないため、車道と路肩だけでなく路側帯などの境目もわからなくなるため、矢羽根つきポールは、こうした雪が積もって見えなくなった道路の端の部分を矢印で示しているのです。
具体的には、しましま矢印と真下にある車道の外側の白線が一致していて、白線がない場合は道路と路肩の境目を矢印が示している形。反対車線にも同じように矢羽根つきポールが設置されていて、約80mの等間隔で道路に並べられています。
そのため雪が積もって道路が見えなくなっても、頭上の矢印を目安に走行することで道路の幅がわかり、車線が見えずに脱輪してしまうのを防いでくれるのです。
北海道の道路でよく見られる赤白のしましま矢印は、「固定式視線誘導柱」というのが正式名称の道路標識
また、赤白のしましま柄が採用されている理由は、雪のなかでも目立つため。とくに、ホワイトアウト(猛吹雪)のなかを運転する際でも、矢印がなるべく見やすいように視認性の高い赤白のしましまが採用されています。
なお、赤白では派手すぎて景観を損ねるという理由で、景色に溶け込みやすい黄色に黒や緑のしましま模様の矢印が使われている地域もあります。
また、矢印の形ではなく棒状のものや、ソーラーパネル付きで夜になるとLEDライトが自動的に光る矢印など、メーカーによってさまざまなタイプがあるようです。
そんな矢羽根つきポールはもともと、安全に除雪作業をおこなうために設置されるようになったもの。矢印がなかったころは除雪車が縁石を破損させたり、側溝にタイヤがとられるなどして安全に除雪作業ができませんでした。
そうしたなか、除雪する範囲を分かりやすくするために、矢羽根つきポールが開発されました。除雪車でも雪が積もれば道路が見えなくなるのは同様なので、現在でも矢印を目印にして除雪作業がおこなわれています。
「固定式視線誘導柱」に赤白のしましま柄が採用されている理由は、雪のなかでも目立つため
矢羽根つきポールのほかにも、北国の道路でしか見られない少し変わった標識や設備があります。
北国では積雪で白線が見えなくなるため、停止線の位置も同様にわからなくなります。そのため、停止線の位置がわかるように、四角形の青地に「停止線」と書かれた標識が停止線の真横に設置されています。
また、北国の信号機は雪が積もる面積を減らし見やすくするために、「縦型信号機」がたくさん設置されているのも特徴。
そのほか、北国の道路で多く設置されているのが「融雪パイプ」で、冬でも水温が高い地下水がセンターラインからスプリンクラーのように出て、道路の雪を溶かします。
道路面を熱源で暖める「ロードヒーティング」も、近年になって雪国で増えている融雪設備。床暖暖房のように路面下に電熱線や熱パイプが埋め込まれており、道路の表面を加熱することで雪を溶かす仕組みになっています。
基本的に設置した場所の雪しか溶かす事ができないため、玄関前や駐車場の出入り口付近など、場所を限定して設置されることが多いようです。
※ ※ ※
雪がない道で「しましま柄の矢印」が現れると不思議な光景に見えますが、矢羽根つきポールは雪の積もった道路では道しるべの役割を担っている重要な標識のひとつです。
北海道でツーリングの旅をする際は、普段あまり見ることのできない矢羽根つきポールに注目しながら走ってみるのも楽しいかもしれません。
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