1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ

ライダーの気持ちを代弁してくれる重要なアイテム!モータースポーツ総合エンターテイナーの濱原颯道がデータロガーを徹底解説

バイクのニュース / 2024年3月9日 13時10分

国内外で活躍するモータースポーツ総合エンターテイナーの濱原颯道選手が、レースでは必須となっている「データロガー」について解説。その前編です。

■まずは3つのセンサーに絞って解説

 皆さんこんにちは。モータースポーツ総合エンターテイナーを勝手に名乗っている、濱原颯道です!

 今回はレースでは必須なデータロガーについてお話ししたいと思います。

 ロードレースをやっている人なら必ず聞いた事のある言葉ですが、オフロードバイクだと割と無縁な存在でもあるデータロガー。年々センサー類が安くなっていて、ひと昔前に比べると比較的購入しやすくなっている上に、バイクに搭載するだけでスピードなどをGPSで拾える機能が搭載されている物も出てきていたりと、年々身近な存在になっているかと思います。

 ですが「使い方がわからない」や「ちゃんとログを見れるかわからない」、「恩恵は何?」などと思う人もいるかと思います。すぐに誰でも読み取れるようなシステムなら、データロガーを読む専門の人も必要なくなってしまうので、使いこなすのは簡単ではありませんが、触りだけでも、この記事を読んで覚えてくれると嬉しいです。

 という事で、まず初めにデータロガーを見ると、搭載されているバイク上で行ったほぼ全ての操作が分かってしまいます。分からないのは、ハンドルに入れる力の量やステップを踏む方向など、本当に些細な操作系。その他の事は、大体わかってしまいます。

 僕も小さい頃、「ロガー見れば分かるんだから、嘘はつけないぞ」とよく言われたものでした。ちなみに、車体の開発時に使ったりする歪みゲージと言うものを装着すれば、手足やお尻の力加減が分かるようになります。

データロガーについて解説するモータースポーツ総合エンターテイナーの濱原颯道選手データロガーについて解説するモータースポーツ総合エンターテイナーの濱原颯道選手

 なお、データロガーというのはECU (Electronic Control Unit)と別に搭載するもの。そのデータロガーの機械に色んなセンサー類を付けていき、それらのセンサー類から来た情報を読み取っていくのがデータロガーです。

 そしてどんなセンサーがあるのか?今回はよく使われているセンサー類の説明をします。

●車速センサー 

 前後輪の車速を見るセンサー。車速センサー自体は、今のバイクはほとんど最初から付いています。前後輪に付いている事が多く、タイヤの回転数をセンサーで拾ってくれます。

●スロットルセンサー 

 アクセルを開けている量を見る事ができるセンサーです。

●A/Fセンサー 

 エキパイについているセンサー。空燃費計と言われるやつで、燃調の濃い薄いを見れるもの。僕が乗っていたホンダ「CBR1000RR-R」は4気筒のエキパイとそれが集合する場所の計5箇所に、A/Fセンサーが付いていました。

今回は誰でも入手できる台湾のaRacerというブランドのロガーをメインで画像を載せています。ロガーを積み替えたらメーターも変える必要があったりするので、このようなものを搭載します今回は誰でも入手できる台湾のaRacerというブランドのロガーをメインで画像を載せています。ロガーを積み替えたらメーターも変える必要があったりするので、このようなものを搭載します

 今回はこの3つのセンサーについての、僕なりのロガーの見方を書いていこうと思います。ちなみに次回は少しマニアックな、ストロークセンサー(サスペンションのストロークを見るもの)、液圧センサー(ブレーキの圧力を測るもの)、空気圧センサー(タイヤの空気圧を測るもの)について書こうかと思っているので、楽しみにしていてください。

 上記以外にもエンジン回転数を拾ったり、走行ラインをGPSで追ったり、とにかくレースをする上では多くのデータが必要になってきます。しかし、全部書くと本当に長くなってしまうので、今回は僕が必要と感じているものに絞りました。

 あくまでも、参考程度に見てみて下さい。まず車速センサーは、前後輪の車速を拾っています。信じられないかもしれませんが、1000ccくらいになるとストレートでもずっとリアタイヤがスピンしていて、常に10㎞/hほど前タイヤに比べて速い速度が出ている計算となります。そのため、実際のスピードはフロントタイヤの車速を見るのが正解。他にはコーナーの出口でリアタイヤが滑っている量(スリップ率)を見て、「リアのスピンが多いなー、でもスロットルはそんなに開いていないな。後ろの荷重が足りてない?リアのストロークセンサーを見てみよう」という流れになります。

 また、「コーナーの進入でリアタイヤがフロントタイヤより車速が遅い。スキット量(滑ってる量)が多いので、少しエンジンブレーキ弱めてみるか」みたいな感じで、僕は使っていました。

これがA/Fセンサー。エキパイに取り付けます。取り付ける穴の位置によっても数値が変わるのでかなりシビアなアイテムですこれがA/Fセンサー。エキパイに取り付けます。取り付ける穴の位置によっても数値が変わるのでかなりシビアなアイテムです

 次にA/Fセンサー。バイクには理想空燃比というものが存在します。エンジンのパワーがもっとも出るとされる理想空燃比ですが、綺麗に燃え過ぎて少しトルク感が薄かったりもします。
 
 例えばで言うと、スリップストリームを使ったような時は空気抵抗が少ないので速度が伸びていきますが、登り坂みたいな少し負荷のかかる場所だと、若干パワー感が足りないように感じたりもします。

 そのため、理想空燃比はあくまでも理想なので、僕はあんまり深追いしないようにしていました。他にもコーナーの開け始めでドッと出てしまう、通称ドン付きが起きたりすると「開け始めでちょっと燃調薄くない?少し濃くできる?もしくはその手前の減速時に燃料カットし過ぎてない?」みたいに、どちらかと言うと僕はA/Fセンサーから何かを把握する事よりも、自分の感覚でやって欲しい事を注文する、昔のロガーがついてないキャブ車のキャブセットのように使う事の方が多かったと思います。

 ちなみに、冒頭で「4気筒と集合部の5箇所に付けている」と書きましたが、4気筒エンジンともなると気筒毎に微妙に燃調がズレている事があり、それを綺麗に揃えると結構パワーアップします。そのため、気筒毎に付けていました。

スロットルを開ける量を説明している。「このくらい開ける」などとアナログな教え方もしますし、ロガーを見てデジタルな数値も教えたりしますスロットルを開ける量を説明している。「このくらい開ける」などとアナログな教え方もしますし、ロガーを見てデジタルな数値も教えたりします

 次にスロットルセンサー。読み取るのは簡単なのですが、実は奥が深いと思います。

 昔は「このコーナーの開け始めが遅いぞ!」みたいに言われる事がありました。しかし、ライダーは常に必死に走っているものだと考えられるので、開けてないのはバイクに何かしらの開けにくさがあるという訳。

 僕はそう言う時に「アクセルを開ける前から、サスが入り過ぎてない?もしくはパワーモード(実際に開けている量とインジェクター側のバタフライの開いている量を変化させるもの)トルクカーブが盛り上がり過ぎていて、いつパワーが出るかわからないから開けにくくなってないかな?」と考えたりするので、ライダーの心境を把握するのに、もっとも必要なセンサーです。

 こんな感じで、データロガーからわかることは結構あります。

 結局、何が言いたいかと言うと、バイクで本気で走っている時に、自分がどんな操作をしているかなんて、全部をメカニックさんに伝える事は不可能。リアブレーキなんて、「踏もう!」と思って踏んでいるライダーは、あんまりいないかと思います。

 ほとんどの人が無意識に操作をしていると僕は思うので、データロガーは自分が実際に走った際にバイクから感じた事が実際にセンサーに現れていて、「あ、間違っていない」というような、答え合わせのためのシステムであり、他のライダーと比較して勉強になる事もある。ライダーの気持も分かるなど、とにかく何でもバレてしまうアイテムです。

 いかがでしたか?今回も少し長くなってしまいましたが、まだ後編があるので次回も楽しみにして頂けると嬉しいです!今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください