北欧デザインでスポーティな走り!! ハスクバーナ「ヴィットピレン401」「スヴァルトピレン401」が初の全面刷新
バイクのニュース / 2024年3月14日 11時10分
イタリア・ミラノで開催される世界最大規模のバイクの国際見本市「EICMA」で、ハスクバーナ「VITPILEN 401」のコンセプトモデルが発表されたのは2014年のこと。その後、2017年のEICMAで市販車を発表し、2018年から販売されました。そんな「VITPILEN 401」と「SVARTPILEN 401」の2機種が初のフルモデルチェンジとなり、スペインで開催された試乗会に参加してきました。
■攻めのデザインも魅力、初のモデルチェンジでどうなった!?
ハスクバーナ・モーターサイクルズ(以下、ハスクバーナ)の「VITPILEN 401(ヴィットピレン401)」と「SVARTPILEN 401(スヴァルトピレン401)」が初のモデルチェンジとなり、僕(筆者:小川勤)はスペインで開催された試乗会に参加してきました。
スペイン・マラガの峠でハスクバーナ「VITPILEN 401」(2024年型)に試乗する筆者(小川勤)。ライダーの操作にどこまでも応えてくれるスポーツシングルマシンは、スリムで軽快な運動性を楽しむことができる
スペインのマラガに到着すると、雲ひとつない青空と優しい日差しが迎えてくれました。空港からホテルに移動すると、エラントランスには新しい「ヴィットピレン401」と「スヴァルトピレン401」が置かれています。スウェーデン語で「ヴィットピレン」は「白い矢」、「スヴァルトピレン」は「黒い矢」を意味します。
エントランスに佇む2台を見ると、先代モデルより少し車体が大きいことが分かります。また、従来型の「ヴィットピレン401」はセパレートハンドル、「スヴァルトピレン401」はアップハンドルでしたが、ニューモデルはどちらもアップハンドルです。取り回しの軽さに驚きつつ、さっそく双方に跨ってみます。「ヴィットピレン401」の方が少しだけハンドルが低いのですが、大きな違いはなさそうです。
跨ってしまえば見た目の大きさは感じず、シート高は先代モデルよりも低い820mmになっているので、身長165cmと小柄な体型の僕でもバイクとの一体感はかなり高いです。
これまでの「ヴィットピレン401」はシート位置が高いうえに前傾もかなりキツかったため、なかなか乗りこなすのが難しかったのですが、新型にポジションの悩みはありません。SNS上では「セパハン」ではなくなってしまったことを惜しむ声が多いのも事実ですが、開発陣に聞いても「(前のヴィットピレンは)ポジションがアグレッシブ過ぎたよね」とのことでした……。
また、各部の仕上げはとても丁寧で、質感も上がっています。これは間違いなく所有感を高めてくれるポイントでしょう。
■400cc単気筒エンジンとしては、最高峰のスペックを搭載!
この2モデルはファッション性の高さがポイントですが、今回のモデルチェンジでは機能面も大幅に向上させています。エンジンは排気量を373ccから398.6ccにアップし、45PSを発揮。これは400ccクラスの単気筒としてはトップクラスのパワーです。
「VITPILEN 401」はホワイトを基調にしたシンプルなスタイリング。タイヤはアルミ製キャストホイールにミシュラン「ロード6」を履く
また、日常域の使い勝手とハイパワーを楽しむための電子制御も充実。パワーモードはストリートとレインから選択可能で、ABSはスーパーモトモードも用意。トラクションコントロールやコーナリングABS、アップ&ダウンに対応するクイックシフターまで装備しているのです。
もちろんフレームやスイングアームも新設計。ホイールベースを伸ばすことで安定感を求め、車格を少し大柄にしています。前後サスペンションは調整機構付きのWP製を採用。ガソリン容量は9.5Lから13Lにアップし、航続距離を伸ばすことも忘れていません。
オフロードイメージが強かったハスクバーナの印象をガラリと変えた「ピレン」シリーズは、好評だった北欧デザインを踏襲しつつ、スポーツ性をかなり強めてきたようです。翌日の試乗に期待が高まります。
■ファッションバイクの枠を超越した、本格スポーツシングル!
この日も晴天。スペインらしい青空に向かって、まずは「ヴィットピレン401」を走らせます。発進時は少しだけスロットルを大きめに開けるとスムーズな加速を得ることができます。走行中は3500回転以上をキープするようなイメージで走ると、スロットル操作に対して車体が忠実に反応。1万1000回転まで上昇する高回転型エンジンなので、頻繁にギアチェンジをしてベストな回転を探してあげる乗り方がオススメです。
「SVARTPILEN 401」は、ブラックとグレーを基調としたスクランブラースタイル。バイザースクリーンやアンダーガード、タンク上のキャリア、リアシートのグラブバーなどを装備。タイヤはワイヤースポークホイールにブロックパターンのピレリ「スコーピオンラリーSTR」を履く
まだキャリアの浅いライダーにとっては、そんな操作が不安になってしまうかもしれませんが心配は無用。アップ&ダウンに対応するクイックシフターが装備されているので発進と停止時、あとは小さな路地やUターンの時以外ではほとんどクラッチ操作が必要ないのです。
WP製サスペンションはよく動き、乗り心地も上々。ライディングポジションも自然でライダーは常にリラックスして乗ることができます。気温が低いことと、タイヤが冷えていたこともあり、ラウンドアバウトではたまにメーター内でトラクションコントロールの介入を示すランプが光りますが、その感触はとても自然でした。
スペインの街並みを眺めながら郊外へ。欧州の試乗会は峠に入るとペースがグンと上がります。すると使うべきエンジン回転数がワンステップ上になり、イメージとしては6000回転以上をキープする感じです。扱いやすさを求めるなら3500回転以上をキープし、速さを求めるなら6000回転以上を使う感じです。
驚いたのは、「こんなペースで走れるのか!?」というステージまですぐに行けてしまうところ。それは北欧デザインのおしゃれなバイクの振る舞いとは思えないほどのスポーツ性です。ライダーの操作にどこまでも応え、素早い向き変えも、高いコーナリングスピードも、高回転キープの走りも全てを許容してくれます。
ブロックパターンのタイヤを履く「SVARTPILEN 401」(2024年型)に試乗する筆者(小川勤)。タイヤのブロックは大きいがグリップは良好。このスタイルのネイキッドとは思えないほどよく走る
2台を何度も乗り換えながらの試乗では「ヴィットピレン401」の方がわずかに運動性は高い印象ですが、ブロックパターンのタイヤを履く「スヴァルトピレン401」も、とてもスポーティです。どちらもハイペースで走れることに変わりはありません。
「シングルスポーツの面白さとは何か?」その答えをこの2台が持っているのです。このスタイルのバイクでワインディングを自由に走り回る姿は少し違和感があるかもしれないのですが、デザインやファッション性と走りのギャップを楽しめるバイクとして無二の存在だと思います。
このスタイルとパワー、そして電子制御やハンドリングを考慮すると、両モデルとも価格(消費税10%込み)79万9000円はかなり頑張っていると思います。
ファッション性とスポーツライディングの両立。その似ても似つかない2つを、ハスクバーナは「ヴィットピレン401」と「スヴァルトピレン401」で実現したのです。
独創的なデザインだけでなく、そこにスポーツを組み合わせる発想はとてもクリエイティブ。この柔軟で自由な発想が、未来のカフェレーサーやスクランブラー、そして趣味性の高いスポーツバイクの形を作っていくのだと思います。
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