【MotoGP第1戦カタールGP】Moto2初レースの佐々木歩夢選手、Moto3との違いを大きく感じ転倒リタイア

MotoGP第1戦カタールGPが、2024年3月8日から10日にかけて、カタールのルサイル・インターナショナル・サーキットで行なわれました。Moto2クラスに参戦する佐々木歩夢選手（ヤマハVR46マスターキャンプ・チーム）は、Moto2の初レースを転倒リタイアで終えました。

■初のMoto2クラスのレースは“洗礼”

　2024年シーズンのMotoGPで、Moto3クラスからMoto2クラスにステップアップした佐々木歩夢選手（ヤマハVR46マスターキャンプ・チーム）にとって、カタールGPは“洗礼”とも言えるレースウイークでした。25番手からスタートした決勝レースでは、7周目に1コーナーのブレーキングをミスし、ハイスピードのままグラベルに突っ込み転倒。初のMoto2レースは、リタイアに終わったのです。

2024年シーズンよりMoto2にステップアップした佐々木歩夢選手（#22／Yamaha VR46 Master Camp Team）。今季のヘルメットは、後方に富士山と「歩夢」の文字があしらわれている

　レース後、話を聞きに行くと、佐々木選手は「完全に僕のミスなんです」と、興奮したように状況を説明し始めました。もしかしたら、説明しながら、頭の中で転倒の理由を反芻していたのかもしれません。

「僕は体重が軽いので、レースウイークではレース距離以上にガソリンを積まなくちゃいけないんですね。スタートからバイクがすごく止まりづらくて……。チームにも『最初は止まりづらいから気を付けてね』って言われていたんですけど」

「僕が自分に怒っていることがあって、6周走って、1コーナーで3回くらい同じことをしているんですよ。1コーナーは気を付けよう、と思っていたのに、ジャックナイフしちゃって。ジャックナイフから元の状態に戻った時に加速してしまい、グラベルまでいって転倒したんです」

Moto2初レースは、25番グリッドからのスタート

「もう、自分でも理解不能！　Moto2の洗礼を受けたというか、『こんなに変わるんだ』って。Moto3では、ガソリンが入っていても1周目も予選と同じように走っていましたから」

　佐々木選手にとっては、Moto3との大きな違いを感じたMoto2初レースでした。Moto3との違いは、ライディングスタイルにもあります。カタールGPの週末を通して、佐々木選手はMoto2へのライディングスタイルに適応中だと語っていました。

　オフシーズン中にヤマハ「YZF-R1」などを使ってトレーニングしてきました。Moto2参戦に向けて、大きな排気量のバイクに慣れるためです。Moto3マシンは排気量250ccの単気筒エンジンですが、Moto2マシンのエンジンはワンメイクで、トライアンフが供給する排気量765ccの3気筒エンジンを搭載しています。

7周で終わった決勝レース。「せっかくだからレースを走り切りたかった。もうちょっと学びたかったから……」と語った

　パワーには慣れることができたものの、レーサーと市販車の違いは大きく、やはりMoto2マシンはMoto2マシンに乗って慣れていくしかないのです。

「びっくりするくらいに全然違いますよ！　Moto3のライディングスタイルでMoto2に生かせるところなんて、ほとんどないくらいです」

　予選ではアドバイスをもらって変更したことによって、Moto2の走り方に少しずつ近づいている、ということでした。佐々木選手は、いま必要なMoto2の経験を重ね、習熟している最中なのです。

開幕戦恒例の各クラスのグループフォト撮影。メインストレート上で行われる。当然ながら照明設備がかなりしっかりしているので、とても明るい

　次戦のMotoGP第2戦ポルトガルGPは、3月22日から24日、ポルトガルのアウトドローモ・インターナショナル・アルガルベで行われます。

■Moto2クラスとは……

　Moto2クラスは、トライアンフ「ストリートトリプルRS」の排気量765ccの3気筒エンジンをベースに開発されたオフィシャルエンジンと、シャシーコンストラクターが製作したオリジナルシャシーを組み合わせたマシンによって争われる。タイヤは2024年よりピレリのワンメイクとなった。クラスとしてはMotoGPクラスとMoto3クラスの中間に位置する。