昔はバイクに乗っちゃダメだった!? 今ではほとんど見ない「三ない運動」なぜおこなわれていた?
バイクのニュース / 2024年3月16日 13時10分
現代でも日常的に見かける、バイクに乗った若者たち。実はその昔、高校生がバイクに乗ることを禁止する「三ない運動」がおこなわれていました。実施に至った社会的背景を基に、現代との関係もふまえ、紹介していきます。
■「三ない運動」って、どんな運動?
現在は老若男女問わず、さまざまな人がバイクに乗っている光景を目にします。しかし以前の日本では「三ない運動」という、高校生のバイクの運転を禁止する運動がおこなわれていたと言います。
三ない運動とは、1982年に全国高等学校PTA連合会にて推進された運動のこと。その内容は、全国の高校生に対して「バイクの免許を取らせない」「バイクに乗らせない」「バイクを買わせない」といったものでした。しかし今では、実施している都道府県はほとんど見かけません。いったいなぜ、三ない運動がおこなわれていたのでしょうか。
三ない運動とは、1982年に全国高等学校PTA連合会にて推進された運動のこと
三ない運動が実施された背景には、1980年代のバイクブームと暴走族の増加が関係しています。
この運動が開始された1982年は、ちょうどバイクの販売台数がピークに達した時期でもあります。中でも売れたのが、原付バイク。原付バイクは1986年までヘルメット着用義務がなく、誰でも気軽に乗れるバイクとして人気を集めました。ただ、ヘルメットなしでも乗れてしまうということは、命に関わる事故につながるリスクが高いということを示します。
さらにレーサーレプリカブームや、峠道を猛スピードで走り抜ける走り屋が多くなった時代でもありました。スピードを落とさずカーブに突入したり、クルマの走行妨害になったりと、事故やトラブルが増加していったようです。
1982年は暴走族の最盛期で、構成員の数もピークに(写真:イメージ)
また1982年は暴走族の最盛期で、構成員の数もピークに。ヘルメットを着用しないことやバイクを違法改造するなどして、死亡事故やバイクの騒音、危険運転などが問題となっていきました。
これらの要因によって重大事故や迷惑行為が増え、「バイクは危険な乗り物」という認識が広まり、学生の命を守るべく三ない運動が促進されたというわけです。
なお、三ない運動開始後は高校生のバイク事故による死傷者数は減少しました。しかし、1980年代後半になると、また高校生のバイク事故による死傷者数が増加していったと言います。
さらに1989年には、全年齢のバイクの死者数が過去最多を記録しました。いったいなぜなのでしょうか。
三ない運動はバイクに乗ることを禁止しているだけであり、バイクの安全運転教育はされていません。そのため、卒業後にバイク免許を取得して事故を起こすケースが多くなり、バイクの死傷者数が増加したと考えられます。
このように、高校生の期間だけ禁止しても事故予防にはつながらないのではないかと、三ない運動へ疑問を抱く人が多くなりました。
実際、生涯にわたって安全に事故を起こさず運転することが重視され、2016年の「第10次交通安全基本計画」では、高校生に対する交通安全教育の推進として「二輪車の安全に関する指導については、実技指導等を含む実践的な交通安全教育の充実を図る」とされています。
少子化の影響で学区や学校が合併されるようになり、通学に時間がかかるケースが増えていきた
また、少子化の影響で学区や学校が合併されるようになり、通学に時間がかかるケースが増えていきました。三ない運動がおこなわれていると、公共交通機関が整っていない地域では保護者の送迎で通学したり、長距離を自転車通学したりと負担が大きくなってしまいます。つまり、少子化が進んでいる現代において、三ない運動は適してないと言えそうです。
加えて、三ない運動が推進された要因でもあるバイク人口と暴走族も、現代では減少しています。
このように、交通安全教育の推進や通学環境の変化、バイク人口と暴走族の減少により、三ない運動はほとんど見られなくなっているようです。
※ ※ ※
三ない運動とは、1982年におこなわれた高校生に対するバイクの免許を取らせない、乗らせない、買わせないという運動をさします。バイクを禁止するのではなく、安全運転教育の実施が重要だとされ今ではほとんどおこなわれていないようです。
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