ホンダ「CBR250FOUR」のレッドゾーンは17000rpmから!? レーサー直系の緻密なメカニズムが市販車に
バイクのニュース / 2024年3月25日 19時40分
1986年に登場したホンダ「CBR250FOUR」は、1980年代に排気量250ccクラスの熾烈なハイメカ争いを象徴する1台です。ホンダのテリトリーだったはずの4ストローク多気筒エンジンも、250ccクラスでは他社に出し抜かれ、その借りをカムギアトレーンで返したのです。
■250ccクラスにDOHC16バルブ+カムギアトレーンは反則!?
ホンダのロードスポーツモデルと言えば「CB」や「CBR」シリーズがお馴染みで、その長い歴史の中でたくさんの名車がありました。
排気量250ccクラスで「カムギアトレーン」採用の水冷4ストローク並列4気筒DOHCエンジンを搭載した「CBR250FOUR」(1986年型)
「CB」という車名は1959年の「ベンリィCB92スーパースポーツ」から始まります。排気量125ccですが、浅間火山レースの活躍で伝説的名車となりました。
ちなみに1979年に登場した「CBX」は、排気量1000ccクラスの並列6気筒エンジンを搭載した輸出車が最初で、国内では1981年にデビューし、現在でも大人気の「CBX400F」からスタートしました。排気量125ccクラスにまで展開した「CBX」シリーズですが、現在国内販売している車種はありません。
そして「CBR」シリーズは、カウリング装備のスポーツモデルというイメージですが、最初に「CBR」を名乗ったのは1983年に登場した「CBR400F」で、カウルは装備していませんでした。その後、ハーフカウルとフルカウルのバリエーションが追加されます。
今回紹介する「CBR250FOUR」は、1986年にデビューした水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブエンジンを搭載した、シリーズ第2弾的な存在です。
1960年代は世界GPでホンダの6気筒250ccエンジンのマシンが大活躍し、多気筒エンジンはホンダのお家芸でしたが、市販車の4気筒250ccエンジンでは他社が先行しており、「CBR250FOUR」は後追い状態でのデビューとなりました。
同年デビューのレーサーレプリカ「NSR250R」(写真手前)と「CBR250FOUR」(中央)、奥には1989年型の「VFR400R」が並ぶ
沸騰するバイクブームの中でも1986年は、全メーカーでラインナップ重複が普通でした。
ホンダは「CBR250FOUR」と同じカテゴリーに、先行している「VT250F」がありました。レーサーレプリカには「NSR250R」もあり、250ccクラスだけでもシングルや並列2気筒、Vツイン、並列4気筒、それに2ストも4ストも揃えながら市場を争っていたのです。
「CBR250FOUR」の特徴は、精密機械のようなエンジンです。直径わずか48.5mmほどの燃焼室に4本のバルブを詰め込んで、それを4つ並べています。注目はそれら吸排気バルブを駆動する「カムギアトレーン」方式です。
カムギアトレーンとは、レース専用エンジンが使用するような緻密なメカニズムで、ホンダは1960年代のクラブマンレーサー(ナンバー付きの市販車レーサー)の一部にも採用していました。
1980年代では「CBR250FOUR」の他にも「VFR」シリーズや「CBR400R」等にも採用されており、4ストローク車でも台頭してきた他社に対して、当時のホンダの奥の手のようなメカニズムでした。
それはカムチェーンの代わりにプライマリードリブンギアから3枚のギアを配置してカムシャフトを回す構造です。イメージとしては、機械時計のように無数のギアが詰め込まれた、精密な構造でエンジンを動かしているようなもの、とでも言いましょうか。
コックピットには17000rpmからレッドゾーンが始まり、19000rpmまで刻まれた回転計を中央に置き、左右に速度計と水温系が配置される
この構造もあって、最高出力は45PSを14500rpmで発揮し、レッドゾーンは17000rpmからという超高回転を楽しめるエンジンになっています。4気筒ならではのパンチのある鋭い吹け上がりが、カムギアトレーンによって未知の領域まで到達し、その味わいは「5感を刺激する官能rpm」と表現されました。
車体では75mm幅の極太な「目の字」断面構造のアルミ部材を使用したツインチューブフレームが目を引きます。エンジンヘッドを囲うようにうねるメインフレーム部分は、当時の最新GPレーサーのようでした。
新登場から3カ月後に限定販売された特別仕様車では、アンダーカウルやアルミ風カバー付きサイレンサーなどが装備されました。その後、フルカバードフェアリングの「CBR250R」にモデルチェンジとなり、1988年にデュアルヘッドライトのレーサールックとなって、1990年には「CBR250RR」へと続いていきました。
排気量249ccの水冷4ストローク並列4気筒エンジンを搭載。高回転時のより正確なバルブ作動を実現したカムギアトレーン方式のほか、高剛性のクロモリ浸炭コンロッドなどを採用
このカムギアトレーンを採用する4気筒エンジンはこれでお終いではなく。その後「ジェイド」や「ホーネット」へと受け継がれ、多くのライダーを「官能rpm」の虜にしてきたのです。
ホンダ「CBR250FOUR」(1986年型)の当時の販売価格は54万9000円です。
■ホンダ「CBR250FOUR」(1986年型)主要諸元
エンジン種類:水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ
総排気量:249cc
最高出力:45PS/14500rpm
最大トルク:2.5kg-m/10500rpm
全長×全幅×全高:2000×685×1120mm
シート高:750mm
始動方式:セルフ式
車両重量:138kg(乾燥)
燃料タンク容量:14L
タイヤサイズ(F):100/80-17 52H
タイヤサイズ(R):130/70-17 62H
フレーム形式:ダイヤモンド
【取材協力】
ホンダコレクションホール(栃木県/モビリティリゾートもてぎ内)
※2023年12月以前に撮影
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
「リターンライダー向けバイク」おすすめ3選 バイク趣味の再開にぴったりなモデルを厳選【2024年11月版】
Fav-Log by ITmedia / 2024年11月21日 20時45分
-
サウンドと匂いが懐かしい!? 過去に発売された2ストロークモデル5選
バイクのニュース / 2024年11月19日 9時10分
-
プロスペックを掲げたホンダ「VFR400R」 V4サウンドはレーシングスピリットの咆哮!!
バイクのニュース / 2024年11月12日 19時40分
-
足つき良好! 中型アメリカン/クルーザー5選
バイクのニュース / 2024年11月10日 13時10分
-
ホンダの自信作だった!? いいトコ取りの「コムスターホイール」ってナニ?
バイクのニュース / 2024年11月8日 11時10分
ランキング
-
1年収1,000万円なんてこんなもん…42歳で部長に抜擢の〈大企業エリート〉。質素すぎる毎日に、部下「夢がない」「このままこの会社にいても」と絶望
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月28日 7時15分
-
2「俺、無精子症だから」と避妊してくれない彼。生理が来ないことを告げると“まさかの反応”
女子SPA! / 2024年11月28日 15時47分
-
3「高齢で廃業」店内に放置された犬19匹、ふん尿にまみれ…荒稼ぎしたブリーダー業の末路に「胸が痛い」
まいどなニュース / 2024年11月28日 7時50分
-
4「トイレでスマホ」が招く危険...長時間座りっぱなしの健康リスクとは?
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月27日 17時50分
-
5とんでもない通帳残高に妻、絶句。家族のために生きてきた65歳元会社員が老後破産まっしぐら…遅くに授かった「ひとり娘」溺愛の果て
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月21日 8時45分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください