かつて父がサーキットを駆った第一回日本ロードレース選手権参戦マシンを復活! 「ノスタルジック2デイズ」のマニアなバイクをチェックしてみました!!
バイクのニュース / 2024年4月14日 11時10分
2月17日、18日にパシフィコ横浜で日本最大級のクラシックモーターショー『第15回 Nostalgic 2days 2024』(ノスタルジック2デイズ)が開催されました。そこで1962年に開催された「第一回日本ロードレース選手権」参戦マシンを発見! オーナーに再生ストーリーを伺いました。
■全国から国産旧車、絶版車が集まるノスタルジック2デイズ
国産旧車、絶版車を中心に、旧車ショップやパーツメーカー、レストアショップが集結する日本最大級のクラシックモーターショー「ノスタルジック2デイズ 2024」が、2月17日、18日にパシフィコ横浜で開催されました。
昔懐かしい国産車が並ぶほか、企画展示、ステージイベント、場内走行アトラクションなど見どころ盛りだくさん。今回のテーマは「MUSEUM」ということで、希少モデルが多く出展されていました。
「帰ってきた あぶない刑事」に登場する日産の1987年式F31レパード
見どころは、いすゞの1969年式117クーペ。そして5月24日に全国公開予定の映画「帰ってきた あぶない刑事」に登場する日産の1987年式F31レパードです。そのほか、愛知起業製の1949年式AA4型ヂャイアント三輪消防車も登場。博物館級の希少モデルが勢ぞろいし、観客の注目を集めていました。
車がメインのショーイベントというイメージがありますが、バイク業界からの出展も少なくありません。キレイにレストア、カスタムされたマニアックなモデルが多数展示されています。
旧車には車両そのものの希少さもありますが、それぞれの時代を走ってきた歴史があり、歴代オーナーとのドラマが隠されていたりします。ブースにオーナーがいれば、そのストーリーが聞けることも!
今回は1962年に開催された「第一回日本ロードレース選手権」に参戦していたマシンを発見! オーナーの横山佳功さんに再生ストーリーを伺ってみました。
■父が参戦した第一回日本ロードレース選手権参戦マシン、ホンダのCR93を復活!
今回のイベントの見どころとなっている企画展のテーマは「MUSEUM(ミュージアム)」で、希少モデルの展示が行われていましたが、出展ブースにもマニアックな車両が並びます。
「第1回全日本選手権ロードレース大会」の参戦マシン、ホンダのCR93ベンリィレーシング
「サーキットサービスオフィス」のブースに展示されていたのが、1962年に鈴鹿サーキットで開催された「第1回全日本選手権ロードレース大会」の参戦マシン、ホンダのCR93ベンリィレーシングです。
ベンリィレーシングCR93は、ロードレーサーCR93の公道走行可能モデルとして1962年に発売。レースに出場する認可を受けるために市販されたホモロゲーションモデルで、総生産台数は200台あまりといわれるほど少数です。当時、レースキットが販売され、実際に多くのレースに投入されていたこともあり、現存するモデルはごくごく少数といわれています。
発売された年の9月、全面舗装と観客席を備えた日本初の国際レーシングコース「鈴鹿サーキット」が開業。11月3日、4日の2日間にわたって開催されたのが「第1回全日本選手権ロードレース大会」です。
125ccクラスにゼッケンNo.28のベンリィレーシングCR93で参戦した横山敬三さん
当時、静岡県で「横山オート」を営んでいた佳功さんの父、敬三さんが、125ccクラスにゼッケンNo.28のベンリィレーシングCR93で参戦。当時、オープンしたばかりの鈴鹿サーキットを走ったそうです。
ブースにはキレイにレストアされたCR93とともに、当時の写真やガイドブック、記念盾などの貴重な資料も展示! 当時の様子を知ることができます。まさに博物館クラスの展示です。
■父の愛機を復元させようと決意!
キッカケは5年ほど前。2022年に鈴鹿サーキットが開場60年周年を迎えることを佳功さんが知り、かつての父の愛機を復元させようと決意したことからはじまりました。
「父親が生前に手放してしまっていたんです。売った先を知っていたので、頼み込んで買い戻させてもらいました。自分も歳を重ねてきたので『そろそろ売ってもらえませんか』って(笑)」
ホンダのCR93ベンリィレーシング、オーナーの横山佳功さん
こうして買い戻したCR93は、きちんと保管されていたものの、経年劣化もあって傷みが激しく、ボロボロの不動車であったそう。そこで、メーカーの旧車コレクションも手がける名工に依頼しました。
「当時のレーシングパーツはどんどん入手が難しくなってきますから、パーツがなくなってしまったら、もうどうにもならない。今復活させなければ、将来的に走らせることができなくなってしまう可能性もあります。やはりお金はかかりましたが、歴史的な価値があるからって家族を説得しました」
約3年がかりのプロジェクトで、姿かたちばかりでなく、エンジンも完全復活。無事、鈴鹿サーキットの開業60周年にデモ走行させることができました。
さまざまな人々の協力を受けて、蘇った父のかつての愛機CR93。プロジェクトを通して新たに人と人との縁が繋がり、旧車愛好家の仲間が増えていく中で、佳功さんは日本のモーターカルチャーをどう残していくかを考えるようになったといいます。
「頑張って復活させましたが、墓場まで持っていくわけにいかないので、どうやって次の世代へ残していくかがこれからの課題です」
近年、Z世代に再評価されている昭和文化。もちろんクルマ、バイク業界にもその影響はあり、今回のイベントにも昭和世代ばかりじゃなく、若い世代の人々も来場。展示されているCR93や資料に興味が集まりました。
ちなみに物販ブースではミニチュアモデルメーカーの「エブロ」が出展。偶然にもベンリィレーシングCR93のミニチュアモデルが展示販売されており、実車両も見ることができるとさらに注目を集めていました。
展示されたCR93ベンリィレーシングは、5月12日に富士スピードウエイで開催されるタイムトライアル形式の「ノスタルジック2&4TT」で走らせる予定
今回展示されたCR93レーサーは、5月12日に富士スピードウエイのマルチパーパスドライビングコースで開催されるタイムトライアル形式の「ノスタルジック2&4TT」で走らせる予定だそう。実際に走る姿やエンジン音を体感できるチャンスです。
日本のモーターカルチャーがどのように発展し、次の世代にどう受け継いでいくのか…。現代に蘇った60年前のレースマシンを眺めながら、過去と未来に思いを馳せるのもいいかもしれません。
■1962年式 HONDA CR93 BENLY RACING(公道仕様)
全長×全幅×全高:1,960 ×600×915mm
軸距:1,275mm
車両重量:127kg
エンジンタイプ:空冷4ストローク8バルブDOHC並列2気筒
総排気量:124cc
内径×行程:43×43mm
圧縮比:10.2:1
最高出力:16.5PS/11,500rpm
最大トルク:1.05kgf・m/10,700rpm
タイヤ:前 2.50-18、後 2.75-18
変速方式:リターン式5段変速
懸架方式:前 テレスコピック式、後 スイングアーム式
当時販売価格:30万円
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