一体なぜ? 東南アジアでバイクが大人気な理由
バイクのニュース / 2024年5月26日 11時10分
現在、多くのバイクメーカーが東南アジアをメインターゲットに定めています。それは、東南アジア諸国が世界トップクラスのバイク普及率を誇ることが理由ですが、そもそもなぜ東南アジアではこれほどまでにバイクが普及しているのでしょうか。
■世界トップクラスのバイク普及率を誇る東南アジア
日本自動車工業会(JAMA)の調査によれば、2022年3月末時点における日本のバイク普及率は1台/12.0人。これはドイツ(同13.2人)とほぼ同じであり、中国(同19.0人)やアメリカ(同38.6人)よりも高い割合です。
一方、普及率上位の国を見ると、台湾(同1.6人)を筆頭に、マレーシア(同2.3人)やインドネシア(同2.4人)、タイ(同2.3人)とアジア、特に東南アジアの国々が名前を連ねています。
これらの国々では非常に多くのバイクが普及しており、近年主流となっている125ccクラスのバイクの多くはこれらの国々がメインターゲット。バイクメーカーも、東南アジア市場に力を入れていることがうかがえます。
では、東南アジアの国々では、なぜこれほどまでにバイクが普及しているのでしょうか?
東南アジアではかなりバイクが普及している
その最大の理由と言われているのが、これらの国々はいわゆる新興国であるため、経済的に余裕のある一部の人々以外は、クルマよりも安価なバイクを積極的に選ぶというもの。
これはまったくの的外れというわけではありません。たしかに、東南アジア諸国の国内総生産(GDP)は日欧米に比べておおむね低く、クルマよりもバイクのほうが基本的に安価であるのも事実です。
ただ、単に国民の所得レベルの違いが反映されているのならば、東南アジア諸国よりもGDPの低い国々ではさらにバイクが普及していることになります。
しかし、実際にはそのような傾向は見られません。したがって、所得レベルの違いだけで東南アジア諸国のバイク普及率の高さを説明することは困難です。
■バイクが普及するのは「米」のおかげ?
東南アジアにおけるバイク普及率の高さは、意外にも「米」と関係があると言われています。日本を含むアジア圏では古くから主食となっている米ですが、世界中どこでも育つわけではありません。
米の原料となる稲が育つためには、温暖な気候と豊富な水が必要不可欠であり、稲作に適した地域は決して多くはありません。
その点、東南アジアは一年を通して温暖な気候である上に雨季があることや、チャオプラヤ川やメコン川に代表される大河もあるなど、水資源も豊富です。
主食となる米が育ちやすいということは、人口が増加しやすいということ。東南アジア諸国に人口が多いのには、東南アジアのこうした地理的特徴が外せません。
東南アジアでバイクが普及している理由は、主食となる米が育ちやすい為
一方、東南アジア諸国の成り立ちを見ると、インドなどからの貿易船の中継地点として発展してきたという歴史があります。いわゆる「港市国家」と呼ばれるもの。
港市国家は河口付近や海岸線沿いに点在するかたちで存在するため、ひとつひとつの国(都市)はそれほど大きくはなく、港市国家と港市国家のあいだには熱帯雨林が広がっているというのが、かつての東南アジアの姿でした。
豊富な食料を背景に増えた多くの人々が、コンパクトな港市国家として発展した街に移り住むことで起こるのは、人口密度の増加です。
現在、東南アジア主要都市の多くが世界有数の人口密度となっていますが、その背景にはこうした地理的・歴史的要因があると言われています。
そして、都市部の人口が集中すると、渋滞をはじめとした移動の問題が生じます。また、東南アジアの場合、温暖かつ雨季が存在することなどから自転車や徒歩による移動は最適とは言えません。
そうした状況のなかでバイク、特に125ccクラスのコンパクトなものは、小回りのきく移動の道具としてこれ以上ないほど適しています。
もちろん、実際には個々の国ごとの事情が大きく関わっていることは言うまでもありませんが、東南アジア諸国でこれほどまでにバイクが普及している根底には、これらの地域は米が育ちやすい場所であるという事が、決して無関係ではなさそうです。
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