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電動バイクの未来を変える!?実用化待望の「全固体電池」とは

バイクのニュース / 2024年5月7日 13時10分

現在、電動バイクや電気自動車の駆動用バッテリーにはリチウムイオンバッテリーが使用されていますが、その後継となる「全固体電池」の開発が進んでいるようです。実用化されれば、電気自動車や電動バイクの未来を大きく変えるとも言われている全固体電池とは、どのような電池なのでしょうか。

■リチウムイオンバッテリーの上位互換!?各メーカーが開発を急ぐ「全固体電池」とは

 EUが2035年までに、ガソリンやディーゼルの自動車の販売を禁止する方針を打ち出したこともあって、自動車の電動化はいよいよ本格的に進もうとしています。

ホンダの原付一種スクーター「EM1e:」に採用されているリチウムイオンバッテリーホンダの原付一種スクーター「EM1e:」に採用されているリチウムイオンバッテリー

 現在、電動バイクや電気自動車の駆動用バッテリーとして用いられるバッテリーのほとんどはリチウムイオンバッテリーですが、その後継として現在注目されているのが全固体電池。

 実用化が実現されれば電動バイクや電気自動車の性能は大きく変化すると言われており、各メーカーが競うように開発を進めています。

 では、全固体電池とはどのような電池なのでしょうか。

トヨタ自動車が発表した全固体電池トヨタ自動車が発表した全固体電池

 全固体電池の最大の特徴は、液体を使用していないこと。通常、リチウムイオンバッテリーのような二次電池は、液体またはゲル状の電解質を使用しています。一方、全固体電池は固体の電解質を使用しており、その名の通り全て固体で構成されています。

 そんな全固体電池には、リチウムイオンバッテリーと比べた際、いくつかの優れた点があります。

 リチウムイオンバッテリーで使用されている液体の電解質は、可燃性の有機溶媒。そのため、過剰な負荷がかかった際には発火の危険性があります。事故などの外部からの衝撃によって発火してしまう事故も多く、安全性には課題がありました。

全固体電池の材料多なる硫化物系固体電解質全固体電池の材料多なる硫化物系固体電解質

 一方、全固体電池における固体の電解質は基本的に不燃性。また、衝撃にも強く発火の危険性は大幅に下がります。

 また、リチウムイオンバッテリーの苦手とする温度変化も、全固体電池は克服しています。

 リチウムイオンバッテリーは、低温の環境下では性能が一時的に低下します。冬場にスマートフォンの電池の減りが速いと感じたことがある人も多いはず。逆に高温すぎても発火の危険性が高まるほか、劣化も早まるため、発熱を伴う急速充電の充電速度には限度があります。

 一方、全固体電池の電解質は高温や低温の影響を受けにくく、リチウムイオンバッテリーでは不可能だった充電速度での急速充電も可能。電動バイクや電気自動車の課題であった「ガソリン車と比べて補給に時間を要する」という点の改善が期待されます。

 また、全固体電池のエネルギー密度は非常に高くなる余地があり、理論上の限界値はリチウムイオンバッテリーの4倍近くにもなります。現在試作段階にある全固体電池のエネルギー密度は限界値に遠く及ばないものの、今後技術の発展とともに高エネルギー密度が実現されることは十分にありえるでしょう。

全固体電池は、理論上の限界値はリチウムイオンバッテリーの4倍近くにもなる全固体電池は、理論上の限界値はリチウムイオンバッテリーの4倍近くにもなる

 エネルギー密度が高くなった場合、「従来のバッテリーと同じ重量で、より大きな容量」あるいは「従来のバッテリーと同じ容量で、より軽量」を実現することが可能。

 ガソリンタンクとエンジンの代わりにリチウムイオンバッテリーとモーターを用いる従来の電動バイクや電気自動車の場合、バッテリーが重い分どうしても車体重量が増加してしまいます。

 クルマと異なり、取り回しのしやすさが重要になるバイクにおいては、重量増は大きな問題。ガソリン車並の重量を実現しようとした結果、航続距離を非常に短くせざるを得なくなったモデルも数多くあります。

 また、クルマにおいても重量増による路面へのダメージやタイヤの消耗の加速が問題視されており、無視できない課題となっています。
 
 全固体電池に関する技術が発展すれば、ガソリン車と同等の重量、航続距離を実現することも可能になるかもしれません。そうなれば、電動バイクや電気自動車の普及はますます加速していくでしょう。

※ ※ ※

 クルマやバイクの電動化が進む今、リチウムイオンバッテリーに代わる次世代の電池が登場すれば市場は大きく変化するでしょう。全固体電池はEV界におけるゲームチェンジャーであるとも言われており、早期の実用化が期待されています。

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