さすがはアプリリア! 良いにキマっている270度パラツインの軽量ミドルSS!!
バイクのニュース / 2024年5月28日 12時10分
スポーツライディングを満喫しようと愛車を選ぶとき、技量を問わず幅広い層からベストチョイスと高く評されるのが、ミドルクラスのスーパースポーツモデルたちです。アプリリアには4発ではなく、並列2気筒エンジンを積む「RS660」があります。限定上級仕様「エクストリーマ」はカーボンパーツなどでさらに軽量化。バイクライターの青木タカオさんが乗りました。
■プレミアムな限定仕様
標準モデルから3kg減の166kg(乾燥重量)とした軽量な車体に、最高出力100PSを発揮するパラレルツインエンジンを搭載。イタリアの名門「アプリリア」がリリースするミドルクラス・スーパースポーツ『RS660 EXTREMA(エクストリーマ)』です。
アプリリアのミドルクラス・スーパースポーツ『RS660 EXTREMA(エクストリーマ)』にバイクライターの青木タカオさんが試乗
『RS660』は2018年のEICMA(イタリア・ミラノモーターサイクルショー)でコンセプトモデルが発表され、スタイルをそのままに欧州市場へ投入。日本では2020年12月より受注を開始し、翌2021年5月よりデリバリーが始まりました。
全米選手権の最高峰モト・アメリカ「ツインズカップ」にて、2021年度のチャンピオンを獲得。2022年にはアメリカ選手権でのタイトルを記念し、星条旗をモチーフにしたグラフィックを採用する『RS 660 リミテッドエディション』も1500台の限定で生産されています。
今回乗った『RS660 EXTREMA(エクストリーマ)』もまた上級仕様の限定版で、2023年の夏にリリースされました。
チェッカーフラッグをあしらった専用グラフィックが外装に用いられ、フロントフェンダーやアンダーカウルをカーボン製にしています。
さらに、リヤ周りをシングルシートフェアリングにてよりスポーティに際立たせています。パッセンジャーシートも付属され、タンデムにも対応。エキゾーストシステムをSCプロジェクト製にしているのも見逃せません。
■SSながらゆとりあるライポジ
シート高は820mmで、身長175cm/体重66kgの筆者の場合、片足立ちならカカトまでシューズのソールがベッタリと地面に届きますが、両足を下ろすとつま先立ちになります。
シート高は820mm、身長175cm/体重66kgの筆者(青木タカオ)の場合、両足を下ろすとつま先立ちになる
トップブリッジから持ち上がるセパレートハンドルは、グリップ位置が600ccクラスの標準的なスーパースポーツより若干高めに設定され、前傾姿勢はさほどキツくありません。
ステップ位置も後ろすぎたり高すぎることなく、このセグメントにしては膝の曲がりは緩やかで、窮屈ではないライディングポジションとしています。
■V4を半分にしたパラツイン!?
アプリリアのスーパースポーツには、MotoGP譲りのエアロダイナミクスと217PSのハイパワーを誇るV型4気筒1099ccエンジンを備えた『RSV4』がありますが、そのV4パワーユニットのフロントバンクをベースに切り離し、再設計したのが『RS660』用のパラレルツインです。
排気量659ccの並列2気筒エンジンを搭載し、最大トルク67Nm(6.83kg-m)/8500rpmを発揮
81mmのボアをそのままにストロークを52.3→63.93mmにのばして、659ccの排気量を獲得しています。
48mm径のツインスロットルボディを持ち、最大トルク67Nm(6.83kg-m)/8500rpmを発揮。スイングアームピボットがフレーム本体にないピボットレス構造によるしなやかさやも相まっているのでしょう。90度Vツインと同じ不等間隔爆発をもたらす270度位相クランクの並列2気筒エンジンは、トラクション性能に長け、加速時に駆動輪が路面を蹴ったときのグリップ力が高く感じられることからライダーは積極的にアクセルを大きく開けられます。
スロットルレスポンスは全域で鋭く、元気よく高回転まで吹け上がり、パンチの効いたヒット感がある
低中速トルクがあり扱いやすいのですが、スロットルレスポンスは全域で鋭く、元気よく高回転まで吹け上がり、パンチの効いたヒット感があるのはイタリアンブランドならではといったところです。
■サーキットユースにも対応
APRC(アプリリア・パフォーマンス・ライド・コントロール)とネーミングされる先進的な電子制御が採用され、ライディングモードはストリート用に「ダイナミック」や「コミュート」があります。ハンドル左の十字キーで、4.3インチのカラーTFTディスプレイを見ながら設定できます。
ライディングモードはハンドル左の十字キーで、4.3インチのカラーTFTディスプレイを見ながら設定できる
応答性をシャープにする「ダイナミック」、穏やかに快適なライドフィールとなる「コミュート」、それぞれでトラクションコントロール、ウィリーコントロール、エンジンブレーキ、エンジンマップ、ABSの設定が切り替わり、ライダー自身で電子制御の介入度を細かく決められる「インディビジュアル」も備わります。
トラックモードもあるほか、さらに『RS 660 エクストリーマ』には逆シフトパターン時でもクイックシフターを有効にできるソフトウェアも搭載。サーキットユースにも対応しています。
■前後サス&ブレーキも死角なし
足回りも強力に武装されています。インナーチューブ径41mmのKYB製の倒立式フロントフォークは120mmのストローク量を持ち、プリロードと伸び側減衰力の調整が可能。前輪ブレーキはラジアルマウントキャリパーと320mmディスクの組み合わせです。
サーキットでなくても切れ味鋭いハンドリングは大きな魅力のひとつ
アルミ製スイングアームはクランクケースにて支持され、リンクレスでモノショックと接続。130mmのホイールトラベル量を確保しました。
サーキットでなくても切れ味鋭いハンドリングは大きな魅力で、ワインディングを目指すツーリングも楽しいはず。ポテンシャルは高いけれども、剛性が高すぎないシャシーやフレンドリーなハイパワーエンジンはストリートをメインにした用途にも最適です。
もし、ミドルクラスのスーパースポーツを選ぶなら、超有力候補であることは間違いないでしょう。『RS660 エクストリーマ』の車体本体価格(税込)は、181万5000円です。
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