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ガソリンスタンドってなんであんなに臭いの? 無視できない給油時のガソリン蒸発量

バイクのニュース / 2024年5月22日 9時10分

ガソリンスタンドに行ったり、前を通ったりするたびに、ガソリンスタンド特有の匂いが漂っていることに気がつきます。では、この特徴的な匂いの原因は何なのでしょうか。

■ガソリンスタンドの匂いは蒸発したガソリンの匂い!どれだけ蒸発しているのか

 バイクに乗ってガソリンスタンドに行くと、特徴的な匂いがすることに気づきます。バイクやクルマに普段から乗っている人でなくとも、ガソリンスタンドの前を通った時に感じるあの独特な匂いを知っている人は多いでしょう。

 ガソリンスタンドからこのような匂いがするのは、ガソリンが蒸発しているから。そしてガソリンスタンドにおいてもっとも蒸発量が多いのは、顧客が給油するタイミングです。

ガソリンスタンドにおいてもっとも蒸発量が多いのは、顧客が給油するタイミングガソリンスタンドにおいてもっとも蒸発量が多いのは、顧客が給油するタイミング

 ガソリンを給油する際、燃料タンク内で気化していたガソリンが押し出されることによって大気中に蒸発していくのです。

 環境省によると、国内における1年間の給油時の蒸発量は、およそ7万トン。ガソリンの比重を0.75とすると、毎年9万kL以上のガソリンが蒸発している計算になります。

 ガソリンの年間販売量は、およそ5000万kL。つまり、販売したガソリンのうち、0.18%が給油時に蒸発している計算になります。

 例えば、燃費が20km/ Lのバイクの年間走行距離が1万キロだった場合、1年間のガソリン消費量は500L。その場合、年間0.9L、つまり18km走れる分のガソリンを無駄に蒸発させていることになります。

 また、ガソリンの蒸発はもったいないだけでなく、大気汚染の原因にもなります。ガソリンのような、揮発性が高い有機化合物は総じてVOCと呼ばれ、光化学オキシダントの原因物質のひとつとされています。

光化学オキシダントはオゾンなどを主成分とする大気汚染物質で、濃度が高くなると、光化学スモッグ注意報が発令される光化学オキシダントはオゾンなどを主成分とする大気汚染物質で、濃度が高くなると、光化学スモッグ注意報が発令される

 光化学オキシダントはオゾンなどを主成分とする大気汚染物質で、濃度が高くなると、光化学スモッグ注意報が発令されます。

 注意報が発令されたことにより、屋外での仕事や授業が中断されてしまったという経験のある人も多いのではないでしょうか。

 国内において排出される揮発性有機化合物のうち、最多は塗料由来のもので、全体の40%近くを占めます。そして次点で多いのが燃料の蒸発ガスであり、全体のおよそ20%を占めています。

■海外ではしっかり対策がとられている!では、日本は...?

 給油時のガソリンの蒸発や、VOCによる大気汚染は古くから知られており、海外では対策も取られてきました。

 例えば、アメリカでは、ほとんどのクルマにORVRと呼ばれる蒸発したガソリンを給油中に回収する装置が装着されています。

ヨーロッパやアジア諸国では、ガソリンスタンドの給油ノズルに回収装置がついているケースが多いヨーロッパやアジア諸国では、ガソリンスタンドの給油ノズルに回収装置がついているケースが多い

 一方、ヨーロッパやアジア諸国では、ガソリンスタンドの給油ノズルに回収装置がついているケースが多く、気化したガソリンの80%以上を回収できると言われています。

 このように、国外では給油中のガソリンの蒸発に対する対策が施されていることが多いものの、国内に目を向けてみると、こうした取り組みはまだまだ広がっていません。暑い日にバイクに給油すると、気化したガソリンが蜃気楼のようにタンクから出ていくのをみることができるでしょう。

 ノズルに回収装置を備えたガソリンスタンドもわずかに存在しますが、その数は欧米と比べると非常に少ないもの。ガソリンで走るバイクやクルマの環境負荷が大きな問題となっている今、蒸発するガソリンの対策は非常に重要であると言えそうです。

※ ※ ※

 ガソリンスタンドからあれほど特徴的な匂いがするのは、給油時に無視できない量のガソリンが蒸発しているから。アメリカや欧州では給油時に蒸発するガソリンに関する対策が進んでいますが、日本ではまだまだ馴染みが薄い状態です。

 もちろん完全に対策が進んでいないわけではありません。まれに、給油ノズルに黒い蛇腹の大きなカバーがついているガソリンスタンドがありますが、このノズルには回収装置がついています。

 回収装置の技術が発展すれば、ほとんど匂いのしないガソリンスタンドが誕生するかもしれません。環境保護の観点からも、こうした対策の普及が求められます。

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