電動キックボードや普通のバイクとは区分が違う? ナゾの乗り物「ペダル付き電動バイク」
バイクのニュース / 2024年6月12日 10時10分
昨今、バイクにペダルが備わったデザインの「ペダル付き電動バイク」を目にする機会が増えました。一見すると自転車に見える乗り物ですが、どういう区分になるのでしょうか。
■自転車?バイク?ペダル付き電動バイクの区分とは
近年、ペダルをこがずに走る自転車のような乗り物を街中でよく見かけるようになりました。見た目はほとんど自転車と変わらないのですが、これは「ペダル付き電動バイク」というもので、バッテリーを充電して走行する乗り物です。
電動キックボードや電動アシスト自転車などと似ていますが、ペダル付き電動バイクは法律上、どの区分に分類されているのでしょうか。
ペダル付き電動バイクは、モーターを動力としてバイクのように手元のスロットル操作だけで走ることが可能
ペダル付き電動バイクは、モーターを動力としてバイクのように手元のスロットル操作だけで走ることが可能。その一方で、一般の自転車と同じようにペダルをこぐだけでも走行できるような仕組みになっているのが特徴です。
定格出力が0.6キロワット以下のペダル付き電動バイクは、道路交通法上で50ccの原付バイクと同じ「原動機付自転車」の車両区分に該当します。つまり、見た目は自転車のように見えますが、法律上は列記とした「バイク」に分類されるという訳。また、モーターの動力を使わずにペダルだけでの走行や、電動アシスト自転車モードに切り替えて走行することも可能です。
そんなペダル付き電動バイクは、ペダルを使って走っている時は、自転車と同じ扱いになると思われがちですが、いずれの方法で走行している場合でも、原付扱いであることに変わりはありません。
ただし、2023年7月に新設された特定小型原動機付自転車の区分に該当する車両や、普通自転車に切り替えができる車両については、条件を満たせば原付の区分から変更可能。
なお、普通自転車の切り替えについてはバイク本体の電源をOFFにすることが可能で、ナンバープレートが見えなくできるなどの仕組みがある車両でなければなりません。
ペダル付き電動バイクを運転する際は、原付と同じルールが適用される
ペダル付き電動バイクを運転する際は、原付と同じルールが適用されます。そのため自転車と同じように見えても、交通ルールを守り、それなりの装備が必須となります。
まず、原付バイクを運転できる運転免許証が必要。もし免許を所持していない人が運転すれば、無免許運転になってしまい「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」という重い罰則が科せられる事に。運転する際はヘルメットの着用も必須です。
自転車のヘルメットは努力義務となりましたが、ペダル付き電動バイクは原付バイクと同じ扱いなので、どんなに近い距離であってもヘルメットを被らなければなりません。
さらに、道路運送車両の保安基準に適合した、構造や装置がついている車両が条件。例えば、ヘッドライトやウインカー、バックミラー、ブレーキランプなどの原付バイクと同じ装備が必要になります。なお、これらの装備が一つでも足りないと整備不良とみなされ、「3月以下の懲役または5万円以下の罰金」が科せられてしまうので、しっかりと確認することが大切です。さらに、ナンバープレートを取得して取り付ける必要もあります。
そして、すべてのバイクに義務付けられている、自賠責保険の契約も必須。未加入のまま運転すると、無保険運行となり「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」。重い罰則を受けることになるので、忘れずに加入しましょう。
ペダル付き電動バイクは原付バイクに義務づけられている30km/hの制限速度や、指定された交差点での二段階右折のルールも守る必要がある
通行できる場所は車道のみで、歩道や自転車レーンを通行することはできません。また、原付バイクに義務づけられている30km/hの制限速度や、指定された交差点での二段階右折のルールも守る必要があります。
なお、定格出力が0.6キロワットを超えるペダル付き電動バイクは、出力に応じた車両区分の運転免許証が必要で、ルールも違ってきます。
たとえば、定格出力が0.6キロワット超1.0キロワット以下のペダル付き電動バイクは、普通二輪の車両区分となり、AT限定を含む小型限定普通二輪免許以上のバイク免許が必要です。そのため、もし原付免許しかない人が、知らずにうっかり運転してしまった場合でも、無免許運転になってしまうので注意してください。
ちなみに、ペダル付きの乗り物といえば電動アシスト自転車が身近な存在ですが、こちらはペダル付き電動バイクと違って運転免許は必要ありません。
では、電動アシスト自転車とペダル付き電動バイクは、一体なにが違うのでしょうか。
電動アシスト自転車は、ペダルをこがないと走行できない仕組みで、時速24km/hを超えるとモーターのアシストが停止するようになっている
電動アシスト自転車は、ペダルをこがないと走行できない仕組みで、時速24km/hを超えるとモーターのアシストが停止するようになっています。
一方、ペダル付き電動バイクは、ペダルをこがなくてもスロットルの操作だけで走行でき、時速24km/hを超えても電動アシストが働く仕組み。つまり、見た目は自転車と同じペダル付きでも、電動アシスト自転車、いわゆる軽車両の基準に該当しないペダル付の車両は、すべて原付バイクとして扱われることになります。
※ ※ ※
ペダル付き電動バイクは、ルールを守って正しく乗ればとても便利な乗り物です。しかし、無免許やノーヘル、整備不良などの違法走行が全国で後を絶ちません。
そんななか、警視庁のホームページでは注意喚起のため、ペダル付き電動バイクに関してのルールを公開。これから乗ろうとしている人や、現在乗っている人も、今一度ペダル付き電動バイクのルールを見直してみてください。
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