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スポーツ、クルーズ、クールさの三位一体。インディアンモーターサイクル「101スカウト」は良質なファンバイクだった

バイクのニュース / 2024年5月25日 11時10分

アメリカ最古のモーターサイクルブランド、インディアンモーターサイクルの「Scout(スカウト)」シリーズが、2014年の登場以来、2025年型でフルモデルチェンジとなりました。その中で最もパワフルなエンジン、スポーツ性能を持つ「101 Scout」に試乗しました。どのような進化を遂げているのでしょうか。

■シリーズ登場以来のフルモデルチェンジ

 プレミアムなクルーザー、アメリカンスポーツを探求するインディアンモーターサイクル(以下、インディアン)。そのラインナップの中で販売の屋台骨でもある「Scout(スカウト)」シリーズ。2014年の登場以来、2025年モデルとしてフルモデルチェンジを受けました。

インディアンモーターサイクル「101 Scout」(2025年型)に試乗する筆者(松井勉)インディアンモーターサイクル「101 Scout」(2025年型)に試乗する筆者(松井勉)

 今回紹介するのは、シリーズの中で最もスポーティな「101スカウト」です。その「101」ってなんですか? と思いますが、これはインディアンが1928年に販売した高性能モデル、同名の「101スカウト」が起源です。

 排気量750ccクラスのVツインエンジンを搭載し、最高速度はおよそ162km/h、そのマイル表記で時速101マイルだったことに由来します。

 つまり、由緒正しき高性能スポーツマシンの名前なのです。

 それでは「スカウト」シリーズのモデルチェンジの概要をお伝えします。

 カスタマイズしやすく、電子制御をアップデイトし、性能を上げ、伝統のスタイルでパッケージ。緻密で注意深く各部の進化が行なわれています。

インディアンモーターサイクル「101 Scout」(2025年型)インディアンモーターサイクル「101 Scout」(2025年型)

 まずはそのエンジンです。従来の排気量1133ccから1250ccへとアップ。60度のV角度などは同じながら、ボアを拡大し、燃焼室形状も刷新。圧縮比は12.5:1へと上昇させています。

 シリーズ中最もパワフルな「101スカウト」では、最高出力111馬力、最大トルク109N.mとなっています。その他の「スカウト」は105馬力となっていますが、これはECUセッティングの違いのみで出したと言います。

 車体では、メインフレームが従来のアルミダイキャスト製からスチールチューブ製へと変更。一部外観意匠にも使われているリアサブフレームは、薄肉高強度のアルミダイキャストを使い、シート高の低さを実現しながら、電子制御関連部品をシート下に綺麗に配置し、エアクリーナーボックスの容量拡大にも貢献しています。

 さて、「101スカウト」の特徴は前後に減衰圧、イニシャルプリロードをフルに調整可能なサスペンションを採用したことで、歴史的なネーミングにも合致したキャラクターと言えます。

 フロントにゴールドのアウターチューブを持つ倒立フォーク、リアにプログレッシブレートスプリングと、リザーブタンク付きツインショックを採用。フロントブレーキにはφ320mmのダブルディスクとラジアルマウントされた4ピストンキャリパー(ブレンボ製)というスポーツバイクの足そのものを備えているのです。

 合わせるタイヤはメッツラーのクルーズテックです。スポーツツアラー用のタイヤと比肩する性能で知られるこのタイヤ、そして専用パワフルエンジン、スポーツセットのシャーシがどのような走りなのか。楽しみでしかありません。

■伝統のクルーザースタイル、しかしその走りはスポーツバイク!?

 存在感のある専用グラフィックを纏った「101スカウト」。ビキニカウルがスポーティなルックスを醸します。低いシートとフォアードコントロールで足を前に伸ばすようなライディングフォーム。5インチのライザーに載せられた肩幅よりも少し広いハンドルバーに手を伸ばすと、なるほどクルーザーだな、と思わせます。

走りだせば249kgという車重は感じさせず、エンジンはスムーズ。市街地でも乗りやすい印象走りだせば249kgという車重は感じさせず、エンジンはスムーズ。市街地でも乗りやすい印象

 エンジンはスムーズ。排気音は先代の2本出しから1本になったサイレンサーから明確なパルス感が伝わります。振動ではなく音でVツイン感を乗り手に届ける手法です。

 丸型単眼のメーター内にはTFTモニターにアナログメーターが表示されます。スポーツ、スタンダード、ツアーという3つのライディングモードは、レスポンシブルにもマイルドにもアクセルレスポンスを調整してくれます。

 重心が低く安定感があり、249kgという車重は取り回し時こそ重たいものの、走り出すと意識することはありません。低速からスムーズな「101」のエンジンは、市街地でも乗りやすい印象で意外と気軽。

 ライディングフォームは特徴的なものですが、それでも身長183cmの私(筆者:松井勉)だと手足に余裕があるので一体感もあるのです。

 ブレーキはスポーツバイク的にシュッと効くタイプで、素直なコントロール性を持っています。力を込めれば130サイズの太いフロントタイヤを路面にしっかりと押しつけます。その時のサスペンションの動きも見事。吸収力があり、しなやかに動きます。リアサスペンションも同様のフィーリングで、良い足だな、と実感します。

想像以上のスポーティな走り。クルーザーをスポーツバイクに仕立て上げた新感覚のファンライドが楽しめる想像以上のスポーティな走り。クルーザーをスポーツバイクに仕立て上げた新感覚のファンライドが楽しめる

 試乗コースは山岳のワインディングへ。ここでペースを上げると、加速の鋭さが増してきます。

 エンジンは回すほど軽くパワーを引き出すタイプ。マフラーからの音も心地良いスポーツサウンドで、カーブに向けて車体を傾けても手応えのある向き変えを楽しめます。いや、攻めるレベルで走ってみても想像以上に走る!

 ステップ下側のバンクセンサーこそ着地するバンク角ですが、マフラーや車体下部から派手に火花を散らすことはめったにありません。ワインディングで遊べるクルーザーです。

 スポーツバイクとしてまとめた「101スカウト」。これは新発見でした。

 アメリカでの売価は1万7000ドルをわずかに切る1万6999ドル。現在の円ドルレートなら国内の価格は270万円程度か、ソレを下回るのか……と想像がつきますが、「スカウト」シリーズのトップモデルであり。乗ったら欲しくなる楽しさに、私はグっときたのです。

 走りに振ったパッケージ。日本の道ではどうなのか、楽しみです。

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