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【マン島TTレース】公道レースでは「予選」はどのように行なわれている?

バイクのニュース / 2024年5月29日 12時10分

現存する世界最古のバイクレースとして知られる「マン島TTレース(Isle of Man TT Races)」が、2024年も開催となりました(5月27日~6月8日)。その予選はどのように行なわれるのでしょうか。解説します。

■マン島TTレースの予選は、どのように行なわれるのでしょうか

 1周60kmもの距離がある公道レース、「マン島TTレース(Isle of Man TT Races)」は、決勝レースは10秒ごとに1台ずつスタートする「タイムトライアル」方式で実施されますが、予選はどのように行なうのでしょうか。

ニューカマー(初参戦)のサイドカーを先導するベテラン・サイドカーチームとトラベリングマーシャル(写真は2023年/小林ゆき)ニューカマー(初参戦)のサイドカーを先導するベテラン・サイドカーチームとトラベリングマーシャル(写真は2023年/小林ゆき)

 TTレースは「タイムトライアル」レースですし、1レース180kmから360kmもの長い距離を走るので、クローズドサーキットでの一斉スタート方式のようにグリッド順はあまりレースの行方に関係しません。ホールショットも存在しません。

 しかもTTレース決勝のスタート順は、あらかじめ前年のラップタイムを考慮して定められたゼッケンのソロ(2輪のこと)上位20番とサイドカー10番まではゼッケン順にスタートとなります。このため、予選のラップタイム順位はレースの結果にはほとんど関係ないと言えます。

 では、何のためにTTレースでは予選を行うのでしょうか。

 TTレースにおける予選とは、ひとつは決勝進出できるかどうかの足切りタイムという意味があります。また、安全を考慮してソロ20番・サイドカー10番以降は、予選のラップタイムを考慮したグリッド順のスタートとなります。これは、レース中の追い越しがなるべく発生しないようにさせるための方策です。

ニューカマー(初参戦)のライダーに笑顔でアドバイスを送るベテランライダー、ジョン・マクギネス選手(写真は2023年/小林ゆき)ニューカマー(初参戦)のライダーに笑顔でアドバイスを送るベテランライダー、ジョン・マクギネス選手(写真は2023年/小林ゆき)

 そして、一番大事なのは、コースの習熟のためです。

 TTレースは公道レース、かつ1周60kmもある長大なコースを使うため、コースをレーシングアベレージで走れるのは公道が閉鎖されるレース期間中しかありません。

 もちろん、普段は公道なので、双方通行の左側通行でなら走行することはできますが、一部、速度規制もあるので(※マン島は基本的には速度規制がありません)法律を遵守しなければなりません。

 このため、予選は決勝レース前に5日間の日程が設定されています。

 2019年までTTレースでは長年、予選のことを「プラクティス」、つまり練習走行と呼んでいました。プラクティスは事実上の予選でしたが、TTレースならではの背景があったため、特別な名称となっていました。

 コロナ禍の休止を挟んで復活した2022年からは「クオリファイ(予選)」と名称が変更されました。これは、TTレースをよりトップクラスのモータースポーツとして印象付けたいという主催者の狙いがあると思われます。

ニューカマー(初参戦)の先導走行のスタートシーン。これから1周60kmのTTマウンテンコースを、初めてレーシングアベレージで走る(写真は2023年/小林ゆき)ニューカマー(初参戦)の先導走行のスタートシーン。これから1周60kmのTTマウンテンコースを、初めてレーシングアベレージで走る(写真は2023年/小林ゆき)

 予選は毎日、20分から95分のセッションがクラスごとに設定され、各セッション2~3周するのが普通です。ウィーク中、ソロは合計555分の走行時間が設定されていて、1周18分で計算すると最大30周を走ることができます。

 そして予選は義務周回数が定められており、ニューカマー(初参戦)はソロが6周、サイドカーが4周。TT経験者はソロが3周、サイドカーが2周を予選で走らなければなりません。

 また、各クラスのマシンはそれぞれ最低2周を走らなければなりません(転倒等によるスペアマシンを利用する場合などに備えたマシンのレギュレーション)。

 これに加えて、ニューカマーは予選ウィーク最初に行なわれる、ベテランライダー/サイドカーチームによる先導走行を走らなければなりません。

ライダーと主催者の世話役を務めるリチャード“ミルキー”クウェイルさん。元TTライダーで地元マン島在住のライダー(写真は2023年/小林ゆき)ライダーと主催者の世話役を務めるリチャード“ミルキー”クウェイルさん。元TTライダーで地元マン島在住のライダー(写真は2023年/小林ゆき)

 予選通過基準タイムは、ソロは当該クラスのファステスト・ラップ3位のタイムから112.5%以内、サイドカーは同じく117%以内のタイムとなっています。

 2024年のマン島TTレース予選は、マン島の祝日「バンクホリデー」となる5月27日(月)、現地時間10時40分からニューカマーの先導走行から始まる予定でしたが、朝からの雨天により、14時40分から走行開始となりました。

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